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入寮の儀式

作者はどの設定が王道なのか、もうわからなくなっています。牛車の歩みでの更新になります。おつきあいいただける方よろしくお願いします。

 俺はこの春地元を離れ山奥の全寮制男子校「桐生学園」高等部に入学することになった。実家からかなり離れているので今日初めて足を踏みいれる。

 取り寄せたパンフレットを見ると広い敷地にきらびやかな建物、寮もホテルかと思うほどの豪華さだ。さすが金持ちの子供ばかりが通っている学校だ。と思ったが、いざ目の前に来てみると半端ない金のかけ方に圧倒された。

 よく手入れされた庭に、ここはフィレンツェか、と思うほどの(行ったことはないが)彫刻が施されていた。モチーフとしてはバラやユリの花が多く、あまり芸術がわからない俺でも見入ってしまう。

 そしてこの華やかな門扉から校舎の入口までは結構長い。その道すがら、この葉はきっとバラであろう木々が両脇にずらりと植えられている。花が咲けばバラの道だ。咲いたらすごいだろうな。さらに学校の敷地を形どるように桜の枯木が見事に花をつけている。すげぇな。あまりに遠いため母さんは来られなかったけど見たらきっと喜ぶだろうな、花好きだし。



 「すみません、こんにちは。」

寮館の、入り口にある受付らしき所に来ているのだがなかなか出てこない。いい日和の午後で昼寝でもしているんだろうか。豪華な外見とは反対に中は温かみのある木材仕様だった。床はフローリングで、スリッパ持参とあったから持ってきたのを履いた。レトロチックな、でも新しいとわかる木のドアをノックする。

「こんにちは。これからお世話になる君嶋真尋きみしままひろといいます。どなたかいらっしゃいませんか」

 ドアを開けてみるも机やソファ、テレビはあるが、人が見当たらない。どうしようかと思っていたところへ、なんとも可愛らしい男の子とかっこいい眼鏡の生徒が歩いてきた。

「あれ、1年生?今日来た人?」

小さくてかわいいが、先輩かもしれないので敬語にした。

「はい、1年の君嶋真尋と言います。」

「わあ君嶋くんだー!ちょっとー吉沢センセーまた寝てんでしょ!!」

と中へ入って行ってしまった。

「いま入っていった秋元とおまえ同室なんだ。秋元のやつ楽しみにしてたんだよ。あ、俺小澤拓巳おざわ たくみ。拓巳でいいよ。二人とも1年だからよろしくな。」

俺と同じくらいだから178cmくらいかな、目は切れ長で細く、鼻筋が通っていて落ち着いている感じがあって、これはもう誰が見てもかっこいい部類に入るであろう顔立ちで笑った。

「こちらこそよろしく。俺も真尋でいいよ」

握手をしているところへあきらかに寝ぼけている先生を秋元が引っ張ってきた。

「あーずるいー、僕が先に見つけたのにー。僕ね秋元理央。同じ1年で一緒の部屋なんだよ、よろしくね。」

顔を上げて真尋を真っ直ぐに見る姿勢は可愛らしい顔をしているのに利発そうで快活な感じがした。

「こちらこそよろしく。君嶋真尋って言うんだ。真尋でいいよ。」

「じゃあ僕は理央ね。」

「自己紹介終わったか、吉沢だ。ここの世話をしている。一応教師だ。」

背の高い体躯のがっしりした顔半分がヒゲの先生だった。年齢不詳だが、優しそうである。

「届いた荷物は部屋に運んでおいた。1階には食堂、コンビニ、書店がある。3階に娯楽室、まあ、卓球台とか玉突きとかそんくらいな感じな、あとコインランドリー。各部屋にシャワーは付いてるが大浴場もある。ここの大浴場は温泉だ、気持ちいいぞ。6階は教師やここで働いているコックや庭師の部屋、7階は理事長の寝泊まりする部屋と生徒会の奴らの部屋だ。7、8階はカードキーと暗証番号ないと行けないから関係ないか。あとは秋元と小澤に聞け。2人とも中学から寮生活だからわからねえ事はねえよ。俺はだいたいここにいるから、何かあったら起こせ。」

寝てるの前提なんだ。

俺は吉沢先生から料金精算ができるというカードキーを受け取り理央と拓巳と共に部屋へ向かった。




部屋は2階の224号室。

「はいった、はいったー」

秋元に背中を押されつつ入った部屋は、右に浴槽とトイレ、廊下を抜ければ共有スペースと思われるリビング。そして左右にドアが1枚づつ。

「僕右側にしちゃったけどよかったかな…」

「ああ、いいよ。入学式1日前に来た方が悪いんだし、この部屋が個人の部屋なのかな?」

「うんそう。ベッドと机、本棚はあるよ、ダンボール入れておいたから。」

「ありがとう。じゃあ、ひと休みしたら荷解きするよ。」

「その前にお風呂行ってくれば?気持ちいいよ?」

「うっっ、あ・・・いや、風呂入っちゃうと眠くなっちゃうからさ、まだいいや。」

「そう?じゃあ、夕方食堂にいこうよ。」

そう言って秋元は小澤と共に本屋へ行った。


みんなと一緒に風呂なんて入れるかよ。

絶対裸にはなれないな…あれを見られたら…

色々と思い出し暗くなっていく真尋であった。

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