<7>もしかして、履いてない!?
「もしかして……。見えそうで見えない、じゃ、ないのか……!?」
ここまで来る間にも思っていたのだが、ここに居る女性たちは、極端に短いスカートを履いている。
それなのに、見えたら駄目な布を一切見なかったのだ。
モモのように座っている女性も居たし、中には立て膝をしている女性も居た。
それなに、いつもギリギリで見えたら駄目な布が見えなかった。
角度的にはギリギリ見えていてもおかしくない場面があったにもかかわらずだ。
そう、おパンツ様の事だ。
そして何より今! モモのお尻のラインがくっきり見ているのに、そこにあるはずのラインがどこにも見当たらない。
パンツをはいているであろう痕跡が、どこにもないんだよ!!!!
もしかして、ノーパン、なのか……!?
あの中が見えそうなほどめくれたスカートの中は、もしかすると布の1枚も――
「私、美味しい物が食べてみたいです。1度だけで良いので、お腹いっぱいになるまで……。ダメ、ですか?」
「ふぁっ!?」
いつの間にか、両手を口の前で組み合わせたモモが、俺の瞳を見上げていた。
「ひぅっ……。ごめんなさい……」
唇をギュッとしぼめて、彼女が小さく目を伏せる。
口元を押さえたモモの大きな瞳から、止まりかけていた涙がにじみ始めていた。
体を小さくしているから、両手で押さえつけられたおっぱいがつぶれて――ってそうじゃねぇ!!
「あっ、いや、ダメじゃない。うん、大丈夫だ! 俺に任せろ! お腹いっぱい、だな? 大丈夫、毎日腹一杯、食べさせてやるよ」
落ち着け……。俺は何も見なかった。
なにも気が付かなかった。
モモはちゃんとパンツをはいているし、胸もこぼれそうになってはいない。
大丈夫だ。
横乳がマジでやばいとか、そんな状態じゃない。
柔らかそうな二の腕に、ぷるぷるのおっぱいが乗っかっているとか、そんなことあるはずがない!!
目の前に見えるのは、いつも通り俺の妄想だ。
静まれ俺のグングニル! まだ時ではないのだぞっ!!
それにしても、
お腹いっぱい、か……。
「俺の故郷はな、うまいものがいっぱいあるんだ。
この世界の誰も食べたことない美味しい物をお腹いっぱい食べさせてあげるよ。
1度だけなんて言わないさ。
好きなだけ、もう食べれません、って言うまで食べさせてあげるよ」
「美味しい物を……、好きなだけ……」
「あぁ、うますぎてびっくりするぜ? 手始めに寿司、天ぷらなんてどうだ?」
「すし? てんぷ……??」
目をぱちぱちさせながら、モモが俺の顔を見詰めてくる。
その姿は思わず守って上げたくなるような、可愛らしさにあふれて見えた。
彼女の髪にもう1度だけ手のをばす。
今度は手を放さないように、ゆっくりと撫でる。
「俺と一緒に来ないか? 自分じゃ作れないから外食ばかりだと思うけど、好きなだけ食べさせてあげられるよ」
「おにく……、も?」
「あぁ、鳥でも牛でも豚でも、なんでも食え。イノシシや馬なんてのもあるんだったか?」
こっちの世界の飯なら、発泡酒と交換すればいいし。
日本なら、これまでの貯金がある。
最悪、金色コインを売ればいいしな。
「ご主人様は……。お料理が出来ないのですか?」
「ん? あぁ、まぁ、カップラーメンぐらいなら作れるけどな」
「かっぷ……?」
んん?? と声を漏らしながら、モモがコテリと首をかしげて見せた。
やばい、可愛い!!
てか、突然のご主人様呼び!!
ご主人様とか、おまえ、まじか!!
妄想が! 俺の妄想が止まらなくなるぞ!!
なんて危険なエロかわいい生物なんだ……。
「料理は得意じゃないって話。モモは料理って出来るのか?」
「はっ、はい! 得意ってほどじゃないんですが、お母さんのお手伝いはずっと……」
はじめは大きかった声が、お母さんと言った当たりから小さくなっていった。
彼女はひとりで自分を売りに来た。
親族は居ないのでしょう。
たしか、そう言って居たな……。
「食材ならいくらでも買ってくるよ。それを使ってモモが手料理を作る。そんでもって俺と一緒に食べる。楽しそうじゃないか?」
「いっしょに……?」
「あぁ、2人で同じ物を食べて、お腹いっぱいになるんだ。幸せだろ?」
「……はい! すっごく幸せだと思います!!」
うん、頬がぬれているけど、可愛い笑顔だな。
年齢は15歳くらいで、可愛らしい素直な女の子。
右と左に1本ずつ小さな角があるけど、それ以外は日本にいる中学生や高校生と変わらなく見える。
親族がいなくて、奴隷になる、か……。
「モモに会えて良かったよ。俺と一緒に暮らしてくれないかな?」
「はい! 私をご主人様の奴隷にしてください!!」
檻の向こうで、モモが大きく頭を下げてくれる。
おっぱいが大きくて、すっごく可愛い女の子。
こんな子と出会えるなんて、やっぱりこの世界は素晴らしい、よな……?