<21> 2人なら……。
牛乳、超うまい。
今まで飲んでた物とは全然違って、すげー濃厚だった。
さすが高級品だ。
どこから入手したのか分からないが、すごくうまい。
どこから入手したのかは、分からないが……。
「どう、ですか……?」
「美味しいよ。ありがとう」
「いっ、いえ……//////」
目の前に座るモモが恥ずかしそうに頬を赤らめてモジモジしてるから、余計にうまかった。
もうね、ほんとモモを買って良かったと思ったよ、マジで。
でもって、今飲んでいる牛乳に関しては、数量限定の貴重品たがら、味わってじっくり飲もうと思う。
「の、飲みながら、見ないで、ください……」
「あっ、ごめんね」
「いっ、いえ……」
じっくり味わっていたら、怒られちゃいました。
まぁ、たしかに悪いかな、とは思う。
なぜかは分からないけど、確かに恥ずかしいと思うし。
でも、後悔はしてない!!
いやー、ほんとに幸せだ――――!!
牛乳、超うまい!!
「自分で作ったホットケーキはどう? 美味しい?」
「はい! すっごくあまあまです! 貴族様の仲間入りした気分ですね」
「そっか、それは良かった」
なんでも、甘味は貴族に許された特権らしい。
本当はホイップクリームで飾り付けをー、なんて思っていたんだけど、さすがに俺の技術じゃ無理でした。
それに、高級な牛乳が俺を待っていたから、時間も無かったしね。
見よう見まね、って感じでナイフとフォークでもちゃもちゃ食べるモモがすっごく可愛いから、牛乳のお礼もかねて、今度はクレープのお店にでも連れて行ってあげようかと思う。
ついでにタピオカドリンクでも買ってあげれば、今時のデートって感じがしない?
モモとふらふらとデートが出来れば、すごい楽しいだろうなぁ。
「まぁでもそれは、すべてを終わらせてからかな」
「んゅ? どうしました?」
「いや、そろそろ発泡酒を届けなきゃな、って話し」
まずは異世界に戻ってしなきゃいけないことを終わらせる。
これっぽっちも後悔なんてしてないけど、借金をしてモモを買ったようなものだからな。
マスターには明日かも、なんて伝えたけど、早い方が良いだろ。
「ご主人様、準備できました」
なんて考えている間に、皿洗いと着替えを済ませたモモが、着替えの入った鞄をパタンと閉める。
「それじゃぁ、行こうか」
「はい!」
俺が右手を差し出すと、モモが微笑みながら握り替えしてくれた。
目の前に出現させた玉に触れて、手に持った発泡酒を異世界のマスターに渡す。
そうれば、やらなきゃいけない事は、すべて終わり。
この後の予定なんて何にも無い。
どっちの世界でもお金を稼ぐ手段があって、行き来も自由。
日本でも異世界でも、幸せに生きていく事が出来る。
「なぁ、モモ。どこか行きたいところとかあるか?」
「んん? 行きたいところ、ですか?」
んー……、なんて声をふっくらとした唇から漏らしながら、モモが小さく首を傾げた。
だけど、結論は出ないらしい。
「どこでも! ご主人様と一緒なら、どこにでも行きますよ」
「そっか、それじゃぁ気ままに行こうか」
「はい!!」
モモの真っ白い手を握り直して、俺たちは2人で一緒に、黒い玉へと手を伸ばした。
「ご主人様、ありがとうございます」
「ん? あー、うん。こちらこそ」
2人で顔を見合わせて笑い合う。
ずっとひとりで生活して、頑張って来た仕事にも見捨てられて、人生のどん底だった。
異世界に行って、モモと出会って。
今は、これ以上無いほど幸せだと思う。
モモと2人ならどこへだって行ける。
やっぱり奴隷を買って良かった。
心の底から、そう思う。
以上で第1部 完結となります。
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