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19/21

<19>彼女のベッド

 大きな瞳に涙を貯めながら、モモがぴよんと跳ねた寝癖を手で隠す。


「えっと、えっと。寝る場所はここって聞いてて、お布団もふかふかで、暖かくて……」


 寝癖を整える小さな手、


 乱れて肩がずれ落ちた服に、


 スカートの裾からチラリと覗く柔らかそうな太もも。


「ごめんなさい……」


 そのすべてをモモの可愛さが調和する。


 もうね、マジで天使じゃない!?

 すげー可愛くない!?


 しかもこの子、俺の命令を聞く奴隷なんだぜ!???

 やばいでしょーよ!!


 抱きついて良いよな?

 ほっぺをなめなめして良いよな!?


 ってか、このまま押し倒すべきだよな!?


 だってここ、ベッドの上だもんな!


 押し倒さなきゃダメだよな!!!!


 フルッフーーー!


 やってやる!! 俺はここであの大きなおっぱいを――


「ひゅっ!」


「あっ……」


 ……またしても、見つめ続けたのが悪かったらしい。


 不意にモモの頬に赤みが差して、ずれ落ちた服から素敵な肌艶を覗かせていた左胸が、白い両手で隠された。


「ごめん、なさい……!」


 ふわふわの髪を揺らしながら、モモがくるりと背中を向ける。


 髪の隙間に見え隠れする真っ白なうなじ、思わず抱きしめたくなる華奢な肩。


 乱れた服をいそいそと整える姿も可愛くて素晴らしい。


 こちらはこちらで、また別の幸せな味わいがあって、背後から力一杯抱きしめたくなる。



 けど、それはダメだ。



 背中から押し倒すなんて行為は、変態のする事だ。


 正直な話し、あんな奴らと一緒にされるなんて絶対に嫌だ。


 俺はすー……、ふー……、と大きく深呼吸をして、心を整える。


 戦闘準備を整えていた俺の仕込み槍も、静かに落ち着いていく。


「ゆっくりで良いからね。俺は気にしてないよ」


「はい、ありがとう、ございます……」


 背中越しに聞こえるモモの声もやっぱり可愛い。


 擦れる服の音に、誘うように揺れるモモの髪。


 見え隠れるうなじを見ていると、やっぱり甘噛みしたくなる騒動が襲ってくる。


 そんな湧き上がる感情を『俺は変態じゃない! 変態じゃない! 変態じゃない!』そう言い聞かせて、グッと唇を噛み締めた。


 そうして待つこと数十秒。

 幸せな光景を眺め続けていると、なぜかモモが、パタパタとベッドから降りていく。


 ペタンと床に足を付けて、彼女が深々と体を折り曲げた。


「本当に、ごめんなさいでした……」


 声をふるわせながら、額を床にこすりつける。


 大きなおっぱいが床に押し付けられて、当たり前のようにふんわりと形を変えていた。


 だが、今はそれどころじゃないだろう。


「どうした?」


 慌ててベッドの縁まで移動して声を掛けると、モモがピクリと肩をふるわせた。


 可愛い顔がゆっくりと持ち上げられて、瞳から流れ落ちたしずくが、くしくしと拭われる。


「お見苦しい姿を、見せちゃっい、ました。ご主人様より遅く起き、ちゃって……」


 嗚咽を混じらせながら、モモが視線をうつむかせる。


 要するに、自分の行動が奴隷失格だからと恥じているらしい。


 すー……、っと大きく息を吸い込んで、ほっ、とした感情と共に吐き出していく。


「見苦しい訳がないだろ? 最高に可愛いよ」


「えっ……?」


 俺も床に膝を付いて、モモと視線の高さを合わせる。


 怯えた様子を見せる彼女の髪に手を伸ばして、湧き上がる感情と一緒に、ふわふわな髪をゆっくりと撫でた。


 そんな俺の行動に、なぜかモモは驚いたらしい。


 最初はギュッと閉じた瞳を大きく開いて、不思議そうに俺の顔を見上げていた。


「怒らないのですか?」


「んー……、何に対してかな?」


「奴隷なのに、一緒に寝ちゃいました……。ご主人様より早く起きなきゃなのに……。見苦しい姿も――」


「良いんだよ。可愛いは正義だからね」


 ふふっ、と微笑むと、手のひらの下に隠れながら、モモがキョトンと首を傾げて見せる。


「可愛いモモと一緒に寝られて幸せだった、って話し。それに布団は1つしかなかったからね。問題ないよ」


 むしろ、布団が1つしかない状態で先に眠った俺がダメだろ。


 だが、後悔はしていない。

 むしろ、良くやった昨日の俺!!


 無論、そんな感情は心の中だけに押し止めて、優しい笑みを心がける。


「でもそうだね。モモには罰を与えようか」


「はっ、はい! どのような罰でもお受けします! だから、捨てな――」


「これから毎日、俺の隣で寝ること。俺より先に起きないこと。もし目が覚めちゃっても、ずっと隣にいること。いいね?」


 買いに行こうかと思っていたモモ用のベッドは、無しだ!!


 なんと言おうが、それが罰だからな!


「どんな罰でも良い。そうだよね?」


「はっ、はい……。でも、……良いんですか?」


「うん。それが罰だから」


「……はい! ありがとうございます」


 ホッとしたような表情を見せたモモが、指先で涙を拭って、幸せそうに微笑んでくれた。


 やっぱりご主人様は優しいです。なんて小さく口にしているが、もしかして、受け入れられたのか?


 もしかして、今日の夜から一緒なベッド!?


「本当にいいんだね?」


「はい。ご主人様と一緒に寝られるなんて、幸せです」


「そっか、それは良かったよ」


 フルッフーーー!!!!!


 やってやったぜ!!


 毎日、もちもちのふわふわに包まれて眠れる!!


 問題は理性さんの行方不明だが、それはそれ。


 俺の奴隷が天使すぎる!!!!


「それじゃぁ、朝ご飯にしようか」


 激しく脈打つ血の高ぶりを全身に感じながら、俺はモモの前に手を差し出した。

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