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18/21

<18>動くな。動いたら……。

 帰り道にあったスーパーで食材を買い込んで、アパートに帰り着く。


「お野菜は1番下、だったよね? 卵は1番上で、冷たい物は……」


 普段は何も入っていない冷蔵庫の前に座って、モモが真剣な表情で戦利品の仕分けをしていく。


 その姿をベッドに寝転がってただぼんやりと眺めて居るのだけど、なんとも可愛らしくてほっこりする上に、なんだか新婚生活のようで心が弾む。


 何というかもう、あれ、マジで幸せ。


 卵のパックを持ち上げて、どこに入れるの? って感じで首をかしげている姿とか、

 これ、野菜で良いんですよね? って感じでうなずいている姿とか、


 ベッドの上からモモを眺めて居るだけで、これ以上無いほど心が安らいでいく。


「今日は色々あったしな……」


 何日も一緒に居る気がするけど、思えば出会ってから1日も経過してないんだよな。


 本当に、モモと出会えて良かったと、心の底から思う。


「ごめんだけど、先に寝るよ」


「はい、わかりました。後のことはお任せください」


「うん、よろしくね」


 ふんわりとした感情と、幸せな暖かさに誘われるように、モモの可愛い姿をぼんやりと眺めながら、俺はゆっくりと意識を手放していった。



 それから何時間が経過したのだろうか。


 不意に、俺の直感が、『目を開け! 後悔するぞ!!』と訴えてくる。


 何がだよ、なんて思いながらぼんやりと目を開くと、不意に感じたのは、ふんわりとした暖かさ。


「うぉっ!?」


――動くな! 動いたら死ぬぞ!!


 どうやら俺の直感は、正しく機能しているらしい。


 いつの間にか朝が来ていたらしく、カーテンの隙間から入り込んだ光が、部屋を静かに照らしていた。


 見えるのは、普段通りの天井と、ぷにぷにとしたモモの頬。


 淡く閉じられた唇から漏れた吐息が、俺の首元をくすぐっている。


 距離は本当に、目と鼻の先。


「ご主人様……。美味しいです……」


 左手を口元に当てたモモが、唇をもにゅもにゅと動かしながら、俺に寄りかかるように眠っている。


 寝言から推測すると、何かを食べる夢でも見ているのだろうか?


――だがそんなことはどうでも良い!!


「超柔らかいんですが……。もうね、ふわっふわ……」


 なぜかはだけている俺の首元に押し当てられた頬はムニムニで、膝に乗った太ももはスベスベ。


 そして何より、


「お腹に当たる、おっぱいがやばい……」


 右の膨らみと、左の膨らみで、俺のわき腹を包み込んでいる。


 モモが息をするたびに幸せな柔らかさが動くし、くっついている左半身に彼女の暖かさ伝わってくる。


 無防備に閉じられた瞳。

 楽しそうな表情。

 ゼロ距離の暖かさ。


「うん、無理」


 俺の理性さんは、行方不明です。

 見つけた方は、そのまま放置してください。


「まずは、前菜から頂くとしよう」


 ゴクリと唾を飲んで、高鳴る心臓に身を任せる。


 全身に回り続ける血流の高ぶりを感じながら、俺はゆっくりと右手を持ち上げた。


 中指だけをピンと伸ばして、モモの左の頬をツンツン、と突いてみる。


 感じるのは、スベスベてプルプルの肌の弾力。


「んんー……」


 イヤイヤ、とばかりにモモが少しだけ身をよじった。


 膝に乗っていたモモの足が、すりすりと上の方にずれてくる。


「ご主人様、……もっと」


 なっ……!?


「もっと、食べてください……、わたし、ばっかり……」


 …………。


 少しだけ落ち着こうか。


「いや、無理だな。どう考えても無理だ」


 彼女は昨日と同じように、裾の短いワンピースを身につけている。


 ただでさえ短い裾が、口元に伸ばされた手のせいで、上の方に引っ張られていた。


 左足を俺の太ももの付け根辺りにまで持ち上げたせいで布が肌に張り付き、可愛いお尻のシルエットが完全に見えている。


 相変わらず、おパンツ様の痕跡は見えない。


 そんでもって、真っ白い太ももが、俺の左足を挟み込んでいる。


 そんな状況にあって、落ち着くとか不可能だろ!


 ……いや、ちょっと待て。


「モモ、起きてるよな?」


 確実にわざとだと思う。

 そうじゃなきゃ、こんなにエロ可愛い状態になることなんてあるはずがない。


 胸元からスースーと寝息が聞こえるけど、多分、タヌキ寝入りだ。


 どう考えてもモモは俺を誘っている。


 わき腹をおっぱいで挟み、太ももをとらえて離さないなんて、絶対にそうだ。


 そうに違いない!!!!


「本当に寝てるのか? 誘ってるんだよな?」


 …………反応は、ない。


 ないけど、誘ってるならOK。

 もし寝てたとしても、この状況なら事故だよな。


 うん、俺にエロい気持ちはない。これは事故なんだよ。うん。


 俺の意思とは関係なく、頬を突いた指先がゆっくりと下に降りていく。


 目的地は、どうやら幸せな膨らみらしい。


「事故ですよー、うん、事故なんですよー」


 小さく口の中でつぶやいて、ゴクリと唾を飲む。


 指先が素敵な谷間に吸い寄せられて――


「ご主人様……?」


「ひゃい!!!!!!!!!!!!!!」


 ピクンと震えた体の上で、大きな瞳がパチパチと開いていた。


 モモが不思議そうに首をかしげながら、ぼんやりと俺の目を見詰めて居る。


 やばい、バレた?

 奴隷解消!? もしかして、罠だったのか!!!!


 いや違うんだ! これは、事故で……。


「はわっ! ごめんなさい! おはようごさいます!!」


 ぴょこんと飛び起きたモモが、ずり落ちる左肩の布を引き寄せながら、泣き出しそうな瞳で俺を見詰めていた。


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