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14/21

<14>ちょっとくらいなら、良いよね?

 慌てて立ち上がったモモが、拾い集めていた官能小説(えろほん)をもちもちとしたおっぱいに押し当てながら身を縮める。


 俺を見上げる瞳には、大粒の涙がたまっていた。


「ごめん、なさい……。見苦しい格好をしました……」


「いやいや、見苦しくなんてないよ。俺のことは気にしなくていいから」


「それに……。触ったらダメな本があるなんて知なくて……」


 細くて小さい、消え入りそうな声だった。


 モモが官能小説(えろほん)をぎゅっと胸に押し当てて、身を縮めている。


 一番上にあった本は、やわらかい膨らみに埋もれているように見える。


「いやいやいやいや、そういうんじゃなくて! えっと、あれだ。……順番、そう順番! 最初は洗面所から掃除して欲しいんだ」


「洗面所、ですか? それってあのお水が出てくる魔法具、ですよね?」


「そうそう。魔力がこっちに入らないようにドアを締めて洗ってくれるか?」


「ドアをしめて、最初は洗面所から……。わかりました、頑張ります!!」


 ごめんなさいでした、ともう1度頭をさげて、モモがスカートを揺らしながら洗面所へ駆けていく。


 パタンとドアが閉まり、ジャーと水を流す音が聞こえ始めた。


「……罪悪感、半端ねぇ」


 はぁ、と息を吐いて、荒れ放題な自分の部屋を見詰める。


 大慌てでベッドの下に手を突っ込み、やばい表紙のお宝たちを引っ張り出した。


 まとめて机の引き出しに押し込んで、ガチャリと鍵をかける。


 そんでもって偽造のために、清く正しい本をベッドの下に滑らせておく。



「ご主人様。洗面所のお掃除、終わりました」


「う、うん。お疲れ様、俺もギリギリ終わった」


「んん??」


 間一髪でした。


 巨乳の写真集なんて絶対に見せられねぇよな。


 逆に貧乳の写真集を見られても、あらぬ誤解を生みそうだ。


 ホッと息を吐いてベッドに腰掛ける。


「今日は色々あって疲れたからさ。ちょっとだけ横になるよ。モモも疲れたら休んで良いからね」


「はい、ありがとうございます。私がんばりますね」


「うん、よろしく」


 可愛らしく気合いを入れた彼女の胸が、ちいさく揺れていた。


 そんな姿を横目に見ながら、俺はベッドに倒れ込む。


「ふん、ふふふん♪」


 多分無意識なんだろうけど、モモの口から可愛らしい歌声が聞こえてくる。


 たった1人で住んでいた俺の部屋に、可愛らしい女の子がいる。


 しかも、甲斐甲斐しく掃除をしてくれているだなんて、すげー奇跡だと思う。

 なんて幸せなんだろうか。


 それもこれも、あの素晴らしい世界に行けたからだろう。


 モモ、最高。異世界最高。


 なんて、ぼんやりとまどろみながら音を探して、寝返りをうつ。


「っぁっ……!!」


 そして俺は、太平洋よりも深く後悔した。


「んゅ……? ご主人様、どうかしましたか?」


「いっ、いや、何でもない。うん、何でもない」


 なんと言うべきか、ベッドの高さが悪い。


 寝転がって横を向くと、ちょうど良い高さにモモのおっぱいがある。


 本を拾い集めながらぞうきんで床を拭く彼女は、当たり前のように前傾姿勢だ。


 楽しそうなモモの微笑みの少し下に、大きく揺れる谷間が見える。


 彼女が雑巾を持った右手を左にずらすと、谷間もつぶれなから左にずれる。


 彼女が手を右に戻すと、つぶれていた谷間が、たゆんたゆんと元の位置に戻ってくる。

 でもって、服からこぼれるくらい大きく揺れている。


 しかもモモは、すけーかわいい笑顔なんだ。


 どう考えでも、俺を誘惑しているとしか思えない。


『吸い付くような手触りのおっぱいです……。触りたく、ないですか?』


 間違いなくそう言っている!

 そんなん、触りたいに決まってんだろ!! 


 おまえとずっと一緒にいたいから我慢してんだよ!!!!


 ……でも、ちょっとくらいなら、いいよね?


 おっぱいはさすがにダメだろうけど、ちょっとくらいなら命令しても、良いよね……?


 だって、モモは俺の奴隷だもんね? 命令は絶対だからね!!


 俺はグッと布団を握りしめて、ゴクリとツバを飲んだ。


「なっ、なぁ、モモ」


「んん?? どうかしましたか、ご主人様?」


 なんて言うべきか……。


 わかりやすく言ってみるか?





「……なめて、くれないか?」




「なめる……? 何をですか??」



 床にペタンとお尻を付けたモモが、くりくりとした瞳で俺を見上げてくる。


「それはもちろん……!」


 俺はガバリと布団をめくって、どっしりとベッドの縁に腰掛けた。


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