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13/21

<13>後で隠しておきます

 そのまま彼女の手を口元に引き寄せて、柔らかい指先に、チュッと口付けをしたくなる。


 湧き上がる己の欲求をグッとおさえて、俺はモモの顔をのぞき込んだ。


「ごめんね。痛くない?」


「はっ、はい。大丈夫です……」


 頬を赤く染めた彼女が、恥ずかしそうに視線をそらす。


 その仕草に心まで温められながら、俺は小さくステータスとつぶやいた。



――――――――――――


 六吏 司 (むつり つかさ)


レベル : 1


 職業  : なし


 スキル : 異世界のとびら


 仲間  :  モモ(奴隷)


――――――――――――



 再使用までの時間が消えていて、仲間にモモの名前が追加されている。


 良し、炸裂しろ、俺のスキル!



 彼女と一緒に日本に行って、いちゃいちゃしたいんだ!!


 このもちもちでエロかわいい彼女と、いちゃいちゃしたいんだよ!


 一緒に行かせてくれ!!



「異世界のとびら」


 必死に祈りながら、そうつぶやいた。


 気が付くと、あのときと同じような“黒い球”が浮かび上がって、風が俺たちの周囲を吹き付けて行く。


 来るときは感じなかった風の強さに、目を開けていられない。


「きゃっ……!」


 小さな悲鳴が聞こえるけど、彼女の姿を見ることは出来そうもなかった。


 だけど、ぎゅっとつないだ指先からは、柔らかくて頬ずりしたくなる手の感触が伝わってくる。



 行きよりも長かっただろうか?


 体全体に感じていた風がなくなり、うっすらと周囲が見えてくる。


 目の前にあったのは、パチリと開いた大きな瞳。


 つつきたくなるやわらかい頬に、重ねたくなる唇。


「えっと、ここは……? さっきまでいた、お肉のお店はどこですか……??」


 いつの間にか吐息が届きそうな距離にまで近付いたモモが、キョトンと首を傾げていた。


 風で服がずれてしまったのか、甘噛みしたくなる肩が丸出しだ。

 肩を噛むのは、……ダメだよな?


 うん、知ってる。わかってる。大丈夫だ。

 

 そんな彼女の背後に見えるのは、見慣れたアパートの部屋。


「ここは俺の家だよ。そんでもって、今日からはモモの家でもあるね」


「わたしの……?」


「そう。寝起きして、帰ってくる場所だね」


 積み上げられた小説に、本棚からはみ出した漫画たち。


 ベッドの下からはみ出しているエロ本と、パソコン周りに積み上げられたエロゲー。


 ……あとで隠しておこうと思う。



「ステータス」


 

――――――――――――


 スキル : 異世界のとびら

    (再使用まで1時間58分)


――――――――――――



 どうやらこっちの世界でも同じ時間で良さそうだ。


 でもまぁ、せっかくならゆっくりしたいよな。


 向こうじゃ寝る場所もないし、発泡酒を買うのも明日で良いだろ。


「今後、どうするか何だけど……」


 あー……、まずは部屋の説明からかな?


 机代わりのコタツとベッド、パソコンくらいしかないから、説明なんてあってないようなものだけどさ。


 モモはどこに座って良いのかもわからずにキロキロしてるし、紹介くらいは必要かな。


「狭い家だから部屋ってここしかなくて、そこがお湯を沸かすくらいにしか使ってないキッチン。で、あとはお風呂場だね」


 ガチャリとドアを開いて見せる。


 ガスコンロに火をつけて、消して、空っぽの冷蔵庫もすべて開けて見せた。


「すっ、すごいです! どれもキレイで素敵な魔法具ばっかりです! 壁とか床とかも、なんかこう、すごいです!!」


「ふふっ、そうかな? まぁ、ここじゃ一般的な感じだけどね」


 マスターの酒場を見て、そのレトロな感じに感動したけど、向こうから見たらそう見えるのか。


 年相応な感じで目をキラキラさせてるし、あとは好きに見てもらった方が早いかな。


「それじゃぁ、モモは――」


「お片付け、ですね? 頑張ります!」


 ぎゅっ、と手を握ったモモの胸が、大きく揺れていた。


 なぜか彼女の瞳が輝いている。


「本なんて高級品だもんね。丁寧にがんばらなきゃ」


 そう小さくつぶやいて、モモは落ちていた小説を拾い上げた。


 タイトルは『貧乳のキミとおっぱいが嫌いな僕』


「ご主人様は本が好きなんですね。すっごく高いって聞くんですが、いっぱい持っててすごいです」


 もう一冊手に取った。


 タイトルは「6人の姉と8人の妹たち。全員の太ももを抱きしめて2」


 続けて持ち上げたのは「団地妻は幼女な養女と絡み合う(新装版)」


 軽く肘を曲げて、左手とふっくらとしたおっぱいで支えるように、小説を積み上げていく。



「ん? ベッドの下にも本が――」




「わわぁあああああああ!!!!」


「ひゃっ……!!」


 伸ばしかけていた手が、びっくりしたように引っ込んだ。


 四つん這いになっていたモモが、やわらかそうなお尻を俺の方に突き出している。


 顔をうずめたくなるような太ももが、お尻で持ち上げられたスカートからはだけていた。


 パンツはいつものようにギリギリだ。


「ふゃっ……!!」


 どうやら自分で気が付いたらしい。


 彼女の手がスカートの裾を手で隠す。


 俺を見上げていた大きな瞳に、うっすらと涙が浮かんでいた。


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