<10>柔らかなそうなお肉
「マスターさんとのお話は終わったんですか?」
「あぁ、飯ももうすぐで出来るそうだ。一緒に座って待ってようか」
「一緒に……? 私も座ってて良いんですか?」
「もちろん。一緒に食べるんだろ?」
「……はい!!」
なぜか椅子から降りようとしていたモモが、俺を見上げて笑ってくれる。
「わっ……」
その笑顔が可愛くて我慢出来なかったから、彼女の髪に手を伸ばして、ちょっとだけ撫でた。
さて、どこに座るべきか。
……俺の膝の上に、モモを乗せる??
あの幸せそうなお尻と太ももが、俺の膝の上に来る!?
ありだよなっ!!!!
「なぁ、モモ」
「はい。どうかしましたか?」
「…………いや、何でもない」
「んん??」
いや、なしだろ。落ち着け俺。
最高だと思うけど、通報案件かもしれねぇ……。
そもそもあれだ。
膝の上に乗せたら、甘噛みしたくなる首筋が目の前に来るだろ?
でもって、ちょっと視線を下げると、手を伸ばしたくなる場所にあのおっきなおっぱいだ。
我慢なんて出来るはずがねぇ!!
「モモは可愛いなー、って思ってさ」
「ひゅっ……。//////」
俺のよこしまな気持ちになんて気付かずに、モモは頬を赤らめて視線をうつむかせてくれた。
うん。なんとか、ごまかせたらしい。
そんな可愛いモモの姿を眺めながら、俺は正面の席に腰を下ろす。
モモの隣に座ろうかな、とも思ったが、無意識のうちにあの太ももに触れていそうで怖い。
「わっ、わたし、お店屋さんって初めて来ました! 美味しそうな香りでいっぱいなんですね!!」
「そうだね。料理もきっと美味しいと思うよ」
「はい! 楽しみです!」
モモが両手を頬に当てて、唇をふにゃふにゃと動かしていた。
わかっていたことだが、正面の席にも落とし穴がある。
まず、モモの無邪気な笑みが目の前にあって、大きな瞳で俺を見上げてくる。
そして最大の罠が……。
「モ、モモ……」
「はい。どうしました?」
「あっ……、いや……。机、綺麗だな、って思ってさ」
そうその机が問題だった。
モモのおっきなおっぱいが、机の上に乗っている!!
無意識? やっぱり、大きいから重たいのか!?
重たいから机に支えてもらってんのか!!??
これはもう、俺が支えるしかねぇぇぇえええええ!!!!!!!!!!!
「この机、スベスベで気持ち良いですよね」
「そうだね。手触りの良い、机だよねー……」
きゅっきゅっ、と机の表面を確かめながら、俺の手が徐々に前に出る。
この手をこのまま、あのたわわな果実にー……。
「はっ……!!」
いや、待て。
もしかするとこれは、モモからのメッセージなんじゃないか!?
この机は、料理を載せるものだよな?
つまり!!
『私の胸、食べても、いいですよ……?』
そう言うことかーーーー!!!!
「モ、モモ――」
「おまちどうさん」
「わっ、おっきなお肉です!!」
「…………」
伸ばしかけた手を避けて、俺とモモとの間に巨大な肉がどーんと置かれた。
未だ熱々の鉄板に載せられた肉からは、美味しそうな香りと共に湯気が立ち上り、ジュー……、という幸せな音が聞こえている。
「ダイヤウルフのワイルドステーキだ。ゆっくり食えよ」
「はい! ありがとうございます、マスターさん!!」
「お、おぉ。サンキューな、マスター……」
軽く手を上げて、マスターがカウンターの奥に帰っていく。
モモの大きな瞳は、目の前に置かれた肉の塊に釘付けだった。
そこには残念だとか、未遂で終わったしまったとか、そんな雰囲気はどこにもない。
これは、あれか? 俺の解釈が間違っていたのか??
開店前とはいえ、ここにはマスターもいる。
そんな中で、モモがOKを出すはずがない。
危なかった。俺はもうちょっとで――
「ご主人様。切り分けても良いですか??」
「あぁ、もちろん。頼んでもいいかな?」
「はい! 任せてください!!」
ステーキと共に置かれたギザギザのナイフを手に取って、モモが足を組み替える。
椅子の上で膝立ちになって、身を乗り出しながらお肉にナイフを入れた。
「わっ、柔らかいお肉ですね!!」
こんがりと焼かれたお肉をモモが幸せそうにギコギコと切っていく。
「あぁ、やわらかそう、だな……」
テーブルの上にはこんがりと焼かれた大きなお肉。
そのすぐ上で、丸くてムチムチなお肉が2つ揺れている。
分かるだろうか?
モモが前傾姿勢で、お肉を切っている訳だ。
俺の目の前で。
無論、服が重力に引っ張られるよな?
見え隠れする素敵な谷間が目の前だよな?
もうね、たゆんたゆん、って揺れるんですよ。
たゆんたゆんですよ。
まじで柔らかそうなお肉だなぁ……。




