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冒険者とダンジョンマスターの二刀流  作者: 月を好むもの
転生したら、ダンジョンマスターになりました。
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薬師のお店


「ここよ!」


そうやってミアが紹介した店は、路地の奥の方にあった。店は、蔦に覆われていて植物が至るところにあった。


店の中に入ると、独特な薬の香りが漂っている。


「来ったよ、エミリー婆。」


「はいはい。まぁ、ミアちゃんじゃないかい。」

「ついに彼氏でもできたのかい?」


「えっ、いやっ、ちっ違うよ。もう。この人は私の新しいパーティーメンバーでアキトって言うの。」


「アキトにも、紹介するね。このお婆ちゃんは私がいつも世話になっているエミリー婆ちゃん。」


「まあまあ、昔からミアのことを知ってるからね。」


「よろしくお願いします。パーティーを組んでるアキトと言います。」


「はいはい。元気のいいことと礼儀の正しいことはいいねぇー。それで恋人なの?」


「いやいや、違いますよー。でも、ミアさんの昔のことは知りたいです。」


「はっはっ。そうかそうか。ならなぁ、ミアは昔赤ん坊の時はなぁ、」


「もーーーう、お婆ちゃんそんなこと言っちゃダメー。それに、なんでアキトは聞いてんの?」


「いや、興味あったから。」


「興味あったからじゃないよ〜。恥ずかしい。」

「えっと、それより今日はポーションを買いにきたの。」


「はっはっ。あからさまに話変えたねぇー。また、今度一人で来たらその時教えてやろうかね。」


「あっわかりました。また、すぐ来ます。」


「ダメーーー。いっちゃダメだから。絶対だよ。

この薬屋に行く時は絶対今度から二人の時しかいっちゃダメだからね。」


「えーーー。」


「えーーーじゃない。もう。」


「それで、今日は何を買いに来たのかね。」


「初級治療ポーションを10個と、中級治療ポーションを50個かな?アキトは、何か買う?」


「じゃあ、MPポーションの上と上級治療ポーションを50個ずつ買おうかな。」


「えっ?上級ポーション何かいるの?中級ポーションで充分じゃない?」

「でも、上級の方が良いポーションなんじゃないの?」

「いや、それは関係ないよ。確かに上級になれば傷とかも一瞬で治るけど瀕死の状態で使うのが普通よ。もったいないじゃない。」

「MPポーションも、MPが普段から余りまくってる人が使い切った時に使うのよ。Cランクなら、中級で充分だよ。そうだよね、エミリー婆ちゃん。」


「そうじゃなぁ。ちょっと手を貸してご覧。」


エミリーさんは、手の指の付け根を親指から順番に少し強く押していった。

これで、どのくらいその人が魔力を持っているかわかるらしい。


「ほぉ。じゃあ、あたいが特別にポーションを作ってやろう。ちょいと待ちな。」


「ありがとうございます。」


お婆ちゃんは、ちょうど腕でひと抱え出来るぐらいの大きさの甕を取り出して深い緑色の液体と、青紫色の液体と水を入れてそこに茎に細い葉っぱがたくさん付いている植物を入れ、温めながらゆっくりかき混ぜた。



時間が、掛かると言われたのでミアに婆ちゃんの庭を見せてもらうことになった。

店の裏はどうやら広い庭になっていて、ところ狭しと植物が生えている。

意外にも、薬の匂いはしない。

もしかしたら、店の中の匂いで鼻がおかしくなったのかもしれないが、、、


そこは、一面緑色だった。

と言っても、最初ダンジョンマスターとして外に出た時に感じた木々の緑とは違う鮮やかな黄緑色の植物たちが、そっと撫でるように吹く風に揺られ心地よい。


今の季節がちょうど春であることも関係しているのかも、知れないが気持ちいい。


美しい紺桔梗色の蝶々が、ふわふわと優雅に飛んでいる。とても、落ち着いてぼぉっと眺めてしまった。


「ふっ。」


「ん、どうしたの?」


「いや、アキト君がすごい穏やかな顔をしてぼーーとしてたから面白くて。」


「そんな、面白いものじゃないよ〜。でも、綺麗で感動しちゃったから。」


「ごめん。そうでしょ、自慢の庭で、よく遊びに来るの。」


「ミアの庭じゃないでしょ。そんな胸張らなくても。」


「いいの。そこはほっといて。」


「おーーーい、出来たよー。」

「あっ、行かなくっちゃ。いこうっ。」

「もう、都合のいい時だけ素早いんだから。行くよ。」


店に戻ってみると、ちょうど甕からガラス瓶にお婆ちゃんがポーションを移していた。

綺麗なシアンブルーのMPポーションだった。


「ちょっと飲んでごらん。」

「いいの?」

「全部、お前さんにやるんだからいいも悪いもないわい。」


「いただきます。ゴクっ、、、えっ、美味い!」


普通ポーションは、薬の扱いである。なので、治療ポーションでもMPポーションでも薬独特の味がして当然なのだ。しかし、これはハーブティーのような爽やかな旨みがある。


「すごいでしょ。お婆ちゃんのポーションは効能だけじゃなくて美味しいのよ。」


「すごい。こんな美味しいポーションはじめて飲んだ。ありがとうお婆ちゃん。」


「どういたしまして。そんなに喜んでくれると作った甲斐があるってもんだよ。はっはっ。」


ミアはちょっとお婆ちゃんと話すことがあるからと言っていたので、自分だけ先に店を出る。買ったポーションを拡張魔法袋に詰める。この袋とても便利でまだまだ、いっぱい入りそうな上に軽いから重宝していた。


出てきた、ミアの手にはさっき詰めてもらっていたポーションの袋以外にももう一つ袋が握られていた。



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