サクサクプレイ
次の日、7時30分に集合したミアとアキトは早速ダンジョンに潜った。
20回層からである。
ダンジョンは、10階層ごとでしか入ることは出来ない。出る時も同じだ。
そのため、21階層までいったとしても20階層まで戻ってから帰らなければならないし、入る時も20階層からしか入ることができないのだ。
ミアは、ヒット&ヒット&ヒットという形でどんどん
モンスターのヘイトを稼いで、自分の方向にモンスターがこないようにしてくれるので自分は魔法を放つことに集中、出来とても楽だ。
二人でやるのも、二日目にして慣れたもので
どんどん進んでいける。
僕が使うのは、ファイアーアローが多い。
なぜなら、ファイアーアローは線が細いからだ。
前提として、前に剣士後ろに魔法師という形になると
魔法師は魔法が剣士に当たらないように気をつけなければならない。フレンドリーファイアーになりかねないから。
しかも、ミアは短剣を使って戦うため
素早く動き回る。
大きな魔法を撃てば、当てかねないのである。
その点、ファイアーアローは矢の形をして飛んで行くのでほとんどミアに当たらないのでどんどん攻撃出来る。
「ぼっ ふぇ〜 痛いよー!」
「ごめん!」
まぁ、たまに当たることもある。
完全に当てないようにするにはまだまだ、厳しいようだ。
「もう。モンスターより断然アキト君の攻撃の方が痛いしきついんですけど、、、まぁ仕方ないですけど。うぅぅ〜。」
「気をつける。」
こんな感じで、順調に?一階層ごと上っていく。
今日の目標は30階層まで行くこと。
午前中に25階層まで行くことが出来、昼ご飯にする。
アキトは干し肉をかじる。これは、露店で大量に購入したものだ。
ミアは、弁当を持っていた。
なかなか、ダンジョンに弁当を持ってくる冒険者は珍しいのではないかと思う。
女性だからなのかな?
「ねぇ。アキト君食べる?」
「えっ、いやいいよ。悪いから」
「いいよ。いいよ。食べて!」
「じゃあ、いただきます。、、、美味しい。」
卵焼を摘んで、食べた。
「本当に?よかった。」
ミアは、ニッコリと眩しい笑顔を見せる。
「こ、これ、お母さんが作ってくれたの?」
「いや、自分で作ったの。」
「おーー、すごいね。ミアは。」
「そんなことないよ。お母さんが病気だから、自分がしなくちゃいけなかっただけだし。」
「いや、それでもすごいよ。僕には出来ないや。」
「お母さん大丈夫?」
「、、、、うん、大丈夫だよ。多分。」
暗い顔をして言う。
アキトは大丈夫じゃないんだろうなぁと感じたがこれ以上そのことについて触れないようにした。
何かあったら、自分で言うだろうと思ったから
そっとしておいた。
「よし!そろそろやろっか。」
「うん。30階層まで行くぞー!おぉー!」
26回層に入ると、いきなりボアが突っ込んできた。
普通は、階層に入ったらすぐのところにはモンスターはあまりいないのだが運が悪かったようだ。
しかし、ミアは冷静に横に飛び移りながら短剣で頭を切りつける。
それにより、ボアが怯むとその瞬間に
アキトから、ファイアーアローが飛ぶ。
「ボッ ハァ〜」
と鳴きながらボアは倒れた。
そして、ボアの毛皮がぽとんっと落ちる。
そして、ボアは消えてしまった。
連携は、バッチリのようだ。
基本的に、ダンジョンの中で倒したモンスターは消えてしまう。
ダンジョンが、吸い込んでいるのだろうとか
消化しているのだろうとか、魔素で出来ているから
死ぬことで形を失ってしまい、散るのだろうとか
いろいろ言われているが冒険者にとってはあまり関係ないことかもしれない。
そして、時々アイテムを今回のように残して去る。
毛皮をしっかり回収し、
次のモンスターへと向かう。
26階層からは、ゴブリン、ボア、バイソンの混合で攻めてくる。
しっかり対処しなければ、例え、ソロで30階層まで到達していたとしても足元を崩されかねない。
まず、最初に一番遠くから攻撃してくるゴブリンメイジをアキトがすぐに倒す。
そして、ボアやバイソンなどはミアが受け止め
攻撃していく。
次次と倒さずに、モンスターを攻撃していくので
ミアの元に10体ほどのモンスターのヘイトが溜まる。
それを一発ずつ、ファイアーアローを入れていき
バンバン倒していく。
あぁ、気持ちいい。
この、分かってる感じ。
ミアは信頼して、アキトに背を任せて
自分のやるべきことをやっている。
自分も、ミアを信頼して仕留めていく。
こんなに幸せなことはあるだろうか?
この一体感はなかなか得難い感覚だ。
きっちり嵌っているというのだろうか。
相手の位置を、予測しながら後ろから撃つのは
難しいなと思っていたが、合うようになると
快感でしかない。
楽しい。
心からそう思った。
無事、30階層まで到達し今日を終えることができた。
二人でならどこまでいけるような気がした。