7-3 異変と探索3
すっと目が覚める。
気づいたら眠っていたようだ。
(船の揺れが心地よくて、それに天気もいいから眠くなるよね。)
自分で言い訳?をしてまわりをみる。
目の前には既に魔界いや、元魔界?が見えており、後5分位でつくような距離だった。
頭の上にアイテムボックスから取り出した麦わら帽子を取り出して被る。
船が止まり大陸に続く橋が船からおりた。
私も降りる人に混ざって元魔界にいく。
ちなみに光学迷彩はしない。
こんなにもたくさんの客?な冒険者たちがいるから大丈夫だと判断した。
それに、コソコソするのもめんどくさい、というのもある。
まずは魔界にある冒険者ギルドに行くことにした。
同じ船に乗客していた冒険者たちについていきギルドへ向かう。
(魔物が出たと言っていたけど、特に変わった場所がない、まだ知らされていないのかな?)
街にいる人は活気があり、この前見た時と特に変わったところがなかった。
ギルドについて情報掲示板をちらっと見たけど、異世界の魔物のことは全く書いておらず、嘘なんじゃないかと思っていた。
だが、机で話をしていた冒険者がキサラギさんが魔物に殺されたという噂をしていた。
「すいませんその話詳しく聞かせてもらってもいいですか?」
「え、あ、ああいいけど。
噂といってもあやふやでね、キサラギ様が異世界から来た魔物に殺されたっていうんだ。
それで誰かがそれを確認するためにお城に入ろうとしたのだけれど、いつ行っても多忙だということで断られているらしい。」
「そうなんですか、ありがとうございます。」
その後も数人から噂を聞いてみたが、最初に聞いたものと特に変わりがなかった。
(ん?あれはテイナーさん達、情報をもらいに来たのかな?)
ギルドの扉からテイナーさん達が入ってきた。
テイナーさんはギルド内を見渡すと私のことを見つけて近づいてきた。
(え?なんでこっち来たの?)
「船の時はクラーケンを倒してくれてありがとう、助かったよ。
どうしても礼が言いたくてね。」
「いえ、そんな大したことじゃないですよ。」
少し驚きながらも対応をする。
「そう言えば名乗ってなかったな、俺はテイナーだ。君は?」
「シャルです。」
私がそう名乗ると受付にいた豪華な装備をつけた奴がこちらを振り向いた。
「あ!俺の獲物を横取りしやがった奴じゃねぇか!」
「何のことでしょうか?」
「すっとぼけやがって!」
「まず、獲物と言ってますがあなたじゃ倒せなかったでしょう?」
私がそう言ってあげると豪華な人はぴくぴく震えながらさらに怒りをあらわにしてきた。
「なめやがって!俺はな、あんなに弱いやつ何度も倒したことがあるんだよ!
でも今回は周りのヤツらが邪魔だったから本領を発揮出来なかったんだよ!」
「何度も倒している、」
私はその言葉を聞いていいことを思いついた。
「それならギルドカードを見せてくれませんか?」
ギルドカードは登録しているものが今まで倒した魔物の名前と数が記録されている。
ギルドカードを持つ前から倒したものもカウントされているので、どれだけ倒したのかがわかる。
(あ、でも私今ルティじゃないからあのギルドカード使えないんだ、今から新しいの作ろう。)
私は受付に行ってギルドカードを作ってもらった。
「私もいま作ったからどちらの力量が上か分かるんじゃないの?
もしも信じられなかったら決闘でもしてあげるけど?」
私はそう言って相手を挑発する。
「だまれ!俺のカードを見せてやる!」
そう言って私にカードを渡してきた。
そこには今まで討伐してきたであろう魔物の名前と数が書かれてあった。
「え、少な、、」
ついそんな言葉が出てしまった。
ゴブリンなどの低級魔物は合計で10匹程だし、中級と上級は1桁だ。
「何これ?こんなに少ないの?すいません受付嬢さん?これ故障してないですか?」
あまりにも予想外すぎて受付嬢に聞いてみた。
「いえ、故障などはしていないですよ。」
「、、、」
私は絶句してしまった。
「まあ、これから頑張っていけばいいよ。」
そう言って哀れむような視線とともに男にカードを返す。
「ふ、ふ、ふざけんな!!
バカにしやがって!!お前のやつを見せてみろ!!!」
男がそう言ってきた。
これには船に乗っていた冒険者も興味があるようで聞く気満々だった。
「見ても気持ち落とさないでくださいね?」
そう言って作りたてほやほやのカードを男に渡す。
「な、なんだ、これ、」
私は女王をしてるから魔物が狩りに行けない、なんてことは無く書類ばっかでストレスが溜まっていたりするのでよく狩りに行く。
ダンジョン発生の時も大量に殺したし、ダンジョンを解放していくために、1人でいろんなダンジョンに潜っていたりするので大量に殺している。
「上級魔物、十万越え、、」
男が呟いたその声に冒険者たちに、受付嬢まで驚いていた。
「え!それって本当ですか!?
ちょっと見せてください、本当ならSランクですから。」
そう言って受付嬢が男からカードを取り確認して、本当だとわかった途端ギルドの奥に引っ込んでしまった。
数分で戻ってきて渡されたカードはSランクとなっていた。
「な、」
男が絶句していると周りの冒険者たちがまた驚いていた。
「俺、Sランク初めて見たぞ、、」
「今1人って言うことはパーティー無しであそこまで、、」
「それに可愛いし、、」
最後のは関係ない気がしたが、噂を適当に流させる。
「こ、こんなの偽物だ!」
男がまだ諦めずにそう言ってきた。
(めんどくさいなー、ちょいと脅すか。)
私は木魔法で木材を出す。
「ブラックホール」
それを闇魔法で消失させる
「あなたもこうなりたいのなら決闘しますけど?」
私がそういうと男は股を濡らして床に座り込んでしまった。
「汚い。」
私はそれだけ言い残してギルドから出た。
時間帯はまだ午後2時くらいなのでお城に行くことにした。
「関係者以外立ち入り禁止です。」
どこぞの警官のようにそういってきたのでギルドカードでSランクであることを示す。
確かSランクであれば王との面会も認められるはずだ。
「どうぞ。」
私は無事通してもらえた。
(無事っていうか、偽装はしてないんだけどね。
あれ?変装してるから偽装なのかな?
うーん、セーフにしとくか。)
脳内でそう結論づけておく。
「キサマナニモノダ。」
軽く歩きながら謁見の間まで行くと人に爬虫類のような鱗が生えた者がいた。
「貴様何者だ。」
私は聞かれたことを全く同じ言葉で返す。
「ワレハイセカイカラキタオウトナルモノダ。
コノクニハイタダイタ、ココニイタモノハミナシンダ。」
そうなんですか、と言いたいところだけれど、どうして名前を聞いたはずなのに私は現状報告を受けているのか分からなかった。
「はい、それで何ですか?」
「キサマナニモノダ?」
「脳みそ詰まってる?」
私はついそんなことを聞いてしまった。
「キサマワレヲオコラセタナ、キサマガウゴケナイヨウニシテカラ、オンナニウマレタコトヲコウカイサセテヤル。」
「ごめんなさい、何を言ってるのかわからない。」
喋り方があまりにも変なせいで聴き取りずらく、パードゥンミー?とか、ワンモアプリーズ?とか言いそうになった。
「フザケヤガッテ、」
「膝、かけやがって?」
そう聞き返す。
「チョウシニノルナ!」
「超シリアスな?」
私はまた聞き返すと相手は何も言わずに怒りのままに突っ込んできた。
(怒らせたら簡単に突っ込んできたな。
相手が強力だって言ってたから念には念を入れたけどいらなかったみたいだな。)
ダークボールを顔面に叩き込むとあっさり倒れて動かなくなってしまった。
(あ、死んだフリ?もう1、2発撃っとくか。)
さらに追加で倒れている相手にぶつける。
1回目で悲鳴が聞こえて、2回目を喰らうと本当に動かなくなってしまった。
(本当にこんなやつにキサラギさんのかが負けたのかな?とりあえず事情を聞こうかな?)
そう思い、ネクロマンサーを使いその男を復活させる。
「何があったのか言って。」
「コノセカイヲウバイニヒトリデキタ。
ジカンヲアヤツルヤツハテコズッタガタオセタ。
ジョウホウガモレナイヨウニオドシテチカラヲタクワエテイタ。」
うんうん、聞きにくくて内容が頭に入ってこない。
(翻訳魔法、翻訳魔法、)
魔法を使い同じことを喋らせると今度はとてもわかり易かった。
「そっか、キサラギさんは死んでしまったのか、弔ってあげたいけど、死体を食べたのか。
うん。殺そう。ってもう死んでたか。
キサラギさん、安らかに眠ってください。」
後日談。
あの後、この事件は大陸中に広がった。
結果、勇者キサラギが死んだこの日は勇者の日として、黙祷を捧げることとなった。
本当は勇者の死でもっと騒がしくなったりするのだが、その魔物をSランク冒険者が倒したということでパニックなどは起きなかった。が、魔界に大きな石碑が建てられた。
これで一件落着だと思いたいのだが、ネクロマンサーを解く直前に他にもこの世界に来た魔物がいるということを聞いたのでまだこの事件は続きそうであった。




