第5話 ミーティング
あの『青春部』から呼び出しをくらっていた。
「放課後、青春部部室に集合!!」とのことだった
部室は俺たちのクラスがある1階の裏の少し離れた人気のない場所にある。
このまま何も言わず帰るのも悪いと思い、とりあえず行ってみることにした。
部室に向かう為、教室を出ようとした時…
「あの…!」
振り返ると、クラスメイトの杉森が居た。
「一緒に部室に行きませんか?」
どうやら杉森も同様に青春部から呼び出されているようだ。
「ああ、いいけど」
「あの青春部とかいう部活、入るのか?」
「まだわかりません。希島くんは入るの?」
「いや…俺もわからない」
「…希島くんが入るなら私も入ろうかな………なんて」
「え?」
そんな会話をしている間に、部室に着いてしまった。
「来たなーーっ二人共!もう皆集まってるぜー?ほら、入って入って」
無理やり背中を押され、部室に入室した。
室内には、胸元ぐらいの高さのローテーブルと複数のイスが真ん中に置かれていて、周りには漫画が並べられた本棚がある。見たところ、学園物が多いようだ。
そのローテーブルの席には、既に宇佐美と青春バカと一緒に居た女子が座っていた。
俺たちも席に座らされたが、
「遅れましたー」
とそこに、さっきの金髪男子が遅れて登場した。
「遅い!遅刻だぞ〜」
「いや〜、本当はボイコットしようかと思ったんだけどね。その方がヤンキーっぽいじゃん」
でも、来たのか。
「じゃあ、皆揃ったから___、自己紹介してくれ!」
【席の並び】
[ホワイトボード] 太星はホワイトボードの前に移動
↗→___
太星 | |未来
ひな | |春斗
月奈 | |直樹
↑
ローテーブル
「まずは青春部部長のオレから!
オレは“青春”をこよなく愛す男、金田太星だ!以上!」
••••••••••。
一瞬沈黙した後、\/ パチパチパチパチ /\
まだらで小さな拍手が鳴った。
奴は三白眼で前髪のいち部がツンツン跳ねているのが特徴的だ。
「えぇっとー、あたしは太星の幼馴染で
柴咲未来。未来って書いて"みき"って言うの。よろしくね」
ずっと青春バカと一緒に居たクリーム色のウェーブのかかった髪型の女子だ。
\/ パチパチパチパチ \/
「私は杉森月奈です。
えっと、図書委員をやってます。よろしくお願いします」
俺と同じ図書委員で黒髪おさげの、さっき不良に絡まれてた眼鏡っ子だ。
\/ パチパチパチパチ \/
•••••••。
「次!お前だぞ!ヘタレの!」
「ひゃい!?へ、ヘタレじゃないよ!
僕は…じゃなくておれは、高野直樹っていうヤンキーなんで夜露死苦」
無理やりだが、一応(自称)ヤンキーらしい。
真ん中分けの金髪をしているが、性格はヤンキーには見えない。
「私は宇佐美ひな。
外国から転校してきました。よろしくお願いします」
「気になってたんだけど、外国ってどこの!?」
「え…え〜っと……ヨ、ヨーロッパ…かなぁ?(昔本に書いてあった…)」
「そうなんだ!」 \/ パチパチパチパチ \/
•••••••••。
「次、希島くん」
宇佐美に言われて、ハッとした。
なんだかんだ皆の自己紹介を聞いていたら、俺が最後になってしまった。
「…俺は希島春斗。…よろしく」
自分で言うのも何だが、そんなに性格が暗い訳ではないのだが
特に言うことがないだけだ。
「今日はここまで〜!また明日の放課後全員集合!解散!」
「ちょっとまて。まだ入ると決めたわけじゃ…」
「鍵閉めるから皆出ろ〜」
皆ぞろぞろと帰っていく。俺も帰るか…。
こうして青春部の1回目のミーティングが終わった。