第2話 転校生
「もう……なんでホウキのコントロールが効かないのよ?」
「急に環境が変わったからニャ」
「ま、何はともあれ 無事に人間界に来れたし、そのうち環境に馴染んでホウキも飛べるようになるニャ。シャナなら、すぐに出来るニャ」
「そうね」
「まずは…人間界の『学校』とやらを見てみたいわ。さっきの人間もいるかもしれないし」
「何にゃ?さっきの人間が気になるのかニャ」
「べ、別に? ほら、行くわよ」
シャナはホウキに跨り
フワッ
と飛んだ。
「よし、正常に動くわ」
一気に上昇し、その都度、シャナは辺りを見渡した。
「わ……綺麗………」
シャナが瞳を大きくし、見つめている方には
綺麗な青い海が広がっていた。
「あれは『海』ニャ。あ、その近くに学校もあるニャよ」
「行ってみましょう」
この世界は何だか……美しい。
“あっち”とは違って、空気が澄んでいて…
まだ慣れないけど、とても清々しい。
風が、気持ちいい。
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私達は、学校の周りをゆっくり飛び回り、様子を伺っていた。
「あ、
さっきの人間……」
「シャナ、この学校に入学してみるのはどうニャ?」
「え?」
「いつ大賢者様かその手下が追ってくるか分からないニャ。しばらく人間に紛れていた方がいいニャ」
「なるほど!」
「シャナ、この学校の制服は見たかニャ?」
「ええ、覚えたわ」
シャナ達は学校の“屋上”に降り立ち、呪文を唱える。
すると、シャナの身体が光に包まれ
たちまち、魔女服から制服に変わっていく。
空色のセーラー服だ。
「うーん、でもその髪色だと…」
「目立つかな?」
シャナは、もう一度呪文を唱える。
光に包み込まれ、 パッ と髪色が変わった。
「うーん、赤よりはマシかニャ」
「この髪色、気に入った!」
シャナは全身を見せるように、くるっと一回転してみせた。
「似合ってるニャよ」
あの海のような、綺麗な青髪だった。
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「まずは、教室に侵入よ」
シャナ達は、学校の裏庭に周った。
その時、飼育小屋が目に止まった。
「わ、何この生物!?…でもよく見たら本で見たことあるわね。確か……『うさぎ』っていうのよ!」
「へぇ〜、じゃ、このうさぎと遊んでるから、シャナは“校長室”に行くのニャ」
「校長室?」
「校長室に行って手続きしてもらうのニャ」
「分かったわ。」
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ザワザワ………
「えー、皆さん静かに!入学初日じゃが…転校生が来おったわい」
ガヤ…
うおお、誰?
男か?女か?
ガヤ…
「入って来てよいぞー」
ガラッ
「よろしくお願いします!」
しーん、、、
「名前を言って下さい」
「え、あっ」
(名前…!?どうしよう…えっと…シャナ…じゃこの世界では変か)
(シャナ…シャナ…ひな…)
「ひ、ひなです!」
「名字は?」
(み、名字??)
シャナがどうしようか困っていると、教室の窓から
ぴょんっ と飛び跳ねた“うさぎ”が見えた。
(あ、さっきのうさぎ!! シルクと遊んでいるのね)
思わず クスッ と笑ってしまったが、そのあとに
「宇佐美ひなです!」
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なんとか言えた、と安堵して前を見たら
一人、見覚えのある人間がいた。
さっき出会った人間だった。