第1話 入学
俺は希島春斗。ごく普通の人間。
季節は春。遊涙高校 1年
俺は今日、この学校に入学する。
高校に入っても、普通に勉強して、普通に大学行くんだろうな。
新しい学校でも、普通に過ごしていよう。そう、思っていたのに……_______
「そこの人間、どいてどいてーーーーーっ!」
「え?」
ドサッ
「うわっなんだ!?」
突然だった。空から、赤髪の女の子が降ってきた。
「イタタ…」
気がつくと、倒れ込んだ俺の上にその人が乗っかっていた。
すると、目が合った。綺麗な赤い髪が風になびいていた。美人だった。
あまりにも突然で、この訳わからん状況に呆然としていると
彼女は立ち上がり、
「ごめんなさい、大丈夫…??」
目つきは鋭かったものの、心配そうに手を差し伸べてきた。
「あ、ああ…」
彼女の手を取り、立ち上がる。
「本当にごめんなさい、急いでたから…!」
そう言って、彼女は足早にこの場を立ち去った。
その間、初めて彼女の全身を見ることができたが、
『魔女』の格好をしていたのがどうも引っかかった。
「何だ…?コスプレ…?ホウキも持ってる…」
(しかも魔女…今はハロウィンじゃないぞ…)
疑問に思いながらも、俺は気を取り直して学校へ向かった。
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入学式が終わり
教室に入ると、室内はガヤガヤしていた。
丁度空いていた1番後ろの席に座り、窓際から見える海をなんとなく見つめながら、曖昧だったさっきの出来事を徐々に思い出していた。
何故、人が空から降ってきたんだ…??
何故、魔女の格好を…??
それに……
それに…
これから新しい高校生活が始まるというのに
皆いち早く声を掛け合って友達を作っているというのに
この後の自己紹介、係、部活……………………
色々と不安だったのだが…
俺は、“あの人”のことが気になり、忘れられずにいた____________。