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青春部。  作者: シャピア
1/6

プロローグ


__________ここは魔女界。


赤く染まった空に不気味に光る月。


度々、ホウキに乗った魔女が飛び交う姿がシルエットとして映し出される。ドラゴンも飛んでいる。


この日、国の中央にそびえ立つ城が異様な空気を放っていた。


多くの魔女·魔法使いがいる中、"それ"を赤髪の長いツインテールをたなびかせながら、紅の眼で睨むように見つめる少女の姿があった。


その立ち姿は、どこか凛とした印象を与える。


少女はこの日、大賢者様に呼び出されていた。

大賢者様はこの魔女界の王とも言える存在、なのだが……


「はぁ……今度は何の用かしらね、もうあのじじぃの話し相手をするのは嫌だわ」


城の前まで来たものの、立ち止まって溜め息混じりに呟いた。


「嫌な予感がするわね…シャナ」


少女の横にパタパタと浮いているのは、小さいデビルの羽が生えたシルクハットを被った黒猫だった。


「シルク、行くわよ」


「ニャ!」




______________________________





コンコンッ




「シャナ•アグレヴィスです。失礼します。何の用でしょうか。………大賢者様」



一室の重い扉が開いた。

そこには玉座に腰を掛けた白髪の大賢者様がいた。

目つきは悪いが、その顔には笑みを浮かべている。


その横には、若い少年の従者しもべ。周りには、複数の兵士。


「シャナ•アグレヴィスよ」

あごの少し伸びた髭を触りながら、シャナに話しかける。


大賢者様「わしの妃となれ」


   ···················。


あまりにも突然で想像もしていなかった言葉に、シャナは絶句した。


周りの兵士は微動だにしなかったが、大賢者様の横にいる少年の従者は驚いているようだった。


一瞬しらけてから、「……はぁ!?婚約??い、嫌よ!!!!」


思わず叫んだシャナの声が、部屋中に響き渡る。


大賢者様「相変わらず威勢がいいのう」


少し笑みを浮かべ見下したように見つめてくる顔は、さらにシャナをイラだたせた。


「……なぜ婚約しなければいけないの?」


「わしはな、魔女の中でも最上級の魔女のお前と組み、この世界を守り、発展させていきたい。そう考えておる。悪い話ではないじゃろう」


「婚約する必要はどこにあるのですか?そんなめちゃくちゃな話、お断りします」


シャナがそう言った瞬間、周りの複数の兵士が一斉に槍を突き立てた。


「まぁそうすぐには決断出来ないじゃろう。少しの猶予はやる。もう下がってよろしい」


「エンマよ、お見送りしてやりなさい」


「はっ!」


大賢者様の横にいた少年の従者が、扉を開け、シャナと共に部屋を出た。



___________________________




城の外。





シャナ「あんたも大変ね、じじぃのお世話係なんて」


エンマ「………‼ あ、ああ」


一瞬驚いて、次に顔を赤らめて、返事をした。



シャナはホウキに乗り、シルクも一緒に飛び去ってしまった。




________________________







沈黙のあと、ホウキに乗ったシャナが重い口を開いた。


「あんなじじぃと婚約なんて、冗談じゃないわ」


シルク「婚約する必要なんてどこにもニャいのに。ただのロリコンじじぃってことニャのかしらねぇ」


「城に閉じ込めたいのよ。婚約は、逃げないようにする為。国を守りたいなんて嘘。私の魔法を利用したいだけ。」


「きっと何か企んでいるに違いないわ」


シャナが、思うままに言った。





______________________






シャナ「お爺様!私、人間界に行くわ!」


「どうしたんじゃ、急に?」

    

お爺様と呼ばれたローブを着た髭の長い老人は

顔をしかめて訪ねた。


彼はシャナの祖父であり、彼女の魔法の師匠でもある大魔術師だ。


「本で見たんだけど こことは違う、人間界っていう世界があるの。私、その世界を知りたい。行ってみたいの」


「……駄目じゃ。人間界には行ってはならん」


お爺様が、重たい声で言った。


「……っ……実は……大賢者様から、婚約を迫られていて……」

「逃げ出したいっていうか……逃げる場所が欲しいの。お願い!」


頼み込むシャナを見て、お爺様は少し考えてから


「……………三年。三年だけじゃぞ」


「!!ありが…「ただし!人間に魔女だということがバレないこと。バレたら、早々に帰って来ること」


「それが守れるのならば、行ってよろしい」



____________________





それからシャナは、お爺様から人間界に行く為のゲートを召喚する魔法を習得した。


「やってみなさい。出来るな?」


「はい!お爺様」


シャナは先端に魔法石がついたホウキを前に振りかざし、

呪文を唱えた。


その瞬間、魔法陣と共に円状のゲートが出現した。


「行ってきます、お爺様」


シャナは、ゲートの中へと消えていった。




辺りが静かになり、


「人間界か……わしの友人が学校の先生をしておるのう」


お爺様が呟いた。




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