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ティアドロップ・クライノート 〜グッドモーニング、ティア〜  作者: 秋葉ぬき
第1章【少年と少女は運命に導かれて】
6/31

大いなる歴史

「ティア! ボクこれ読めるよ!」


 レノンはそう言ってティアの驚いた顔を見つめた。


 ティアは目を丸くして口をパクパクしていて驚いていた。


「レノン……嘘ついてないわよね……?」


 ティアは期待と疑いの眼差しでレノンを見つめたが、すぐにレノンに天の書(グリモ・アンゲルス)の中を解読するように急かした。


「ねぇ、気になるじゃない……早く続き読んでよ」


 急かすティアにレノンはうるさいぁと怪訝な顔をするもすぐに、天の書(グリモ・アンゲルス)と書かれた表紙をめくり、指で文字をなぞりながらそれを声に出す。


「じゃあ…読むね……」

---------------------------------------------------------


 これは1000年前の突如として現れた神と我々人類との闘いの歴史”人界大戦”を記した天の書(グリモ・アンゲルス)である。


 我々人類は、様々な種族が協力しあって世界を築いてきた。


 まずは平均的な頭脳・身体能力だが世界の半分がこの種族で占められている「人間」


 次に長命であり聡明、身体的特徴としてすらりと細く美しい体に長くとがった耳。


 争いを好まず、自然を愛し共存する森の賢者「エルフ」


 そして気性が荒く大地を割るような剛力を持つ者。


 また果てない海を自由に泳ぎ回る者。


 立派な翼で風に乗り、大空を舞う者。

 

 この種族は様々な見た目で存在し、獣そのものの者もいれば半獣人であったりと血統が色濃く表れる種族。


 強さこそが全てと謳い強き者を長にする種族「獣人(セリアン)


 最後に数こそ多くはないが寿命は約1000年。


 今の生態系ができるはるか昔から存在する旧人類「古代人(ルイン)


 このように世界には様々な種族が生活していた。


 美しい緑があり澄み渡る青があった。


 だが時には大地が赤に染まるときもあった。


 自然の中にできた美が、人々が作り上げた結晶があった。


 街があり村があり都市があり、悠々と長い時間をかけて作り上げた世界。


 そんな長い歴史を断ち切るように“それ”は現れたのだ。


 弄ぶ為なのか破壊する為なのか我々の犯した罪を罰する為なのか。


 その真意は誰にも分からない。


 神は一言も告げなかった。


 ただ破壊の限りを尽くすのみで我々の問いには何一つも答えなかった。


               天から光が降り注ぎ人々を裁いた。


         まるで大地の怒りのように地は裂け我々の歴史を否定した。


       ありとあらゆる生命は灰と化し魂は悲痛の叫びとなって空に鳴いた。


     その威圧に抵抗しようとする者は無くただ地に伏し終焉を待つばかりだった。




世界は終わろうとしている。


 ただ一つの強大な存在に成す術もなく崩れ去ろうとしている。


 ただ我々は諦めなかった。


 どんな事があろうと乗り越えてきた我々だからこそこの脅威に立ち向かう決意をし、様々な種族が立ち上がり世界を取り戻すために戦った。


 諦める者や無謀だと笑う者もいた。


 それでも抗った。


 それぞれの長所を活かし短所を補いながら抵抗し少しずつではあるが状況を変えていった。


 少しずつ少しずつ前に進み長い戦いの末に神を打ち倒すことに成功した。


 だが失ったものがあまりにも多すぎた。


 大地も歴史も人類も、無事だったものは何一つもなかった。


 神を打ち倒し歓喜するもの、犠牲になった者たちを悲しむもの、愛するものを抱きしめる者たち。


 色々なものたちがいたが皆同時に空を見上げた。


 突如として空が光輝き、神が消滅する寸前に“自身を五つの存在に分けたのだ”


 1つは北へ、1つは南へ、1つは西へ、1つは東へ、1つは私たちの目の前へと世界各地に飛び散った。


 我々は急ぎ数の多い人類と獣人(セリアン)を北・南・西に向かわせ、エルフを東に、そして我々古代人(ルイン)は目の前の“落とし子”を対処するように話し合い即座に行動した。


 神の中心から生まれた“それ”は涙の形をした宝石のようだった。


 それは眩い光を放ち宙に浮かぶだけであったが突如として“それ”は姿を現した。


 “それ”は美しく輝く金色の長髪をたなびかせ、背には純白の翼、白く透き通った肌、瞳は宝石のように光り輝き、一片の穢れもない半透明の美しい天の衣を纏った少女の姿で我々の前に現れ、こう告げた。


「私は【序列第一位・再生の権能(リィンティア)・女神ティアドロップ・クライノート】神を打ち倒し人類への試練と救済のため私達“クライノート”は顕現いたしました」


 その神々しさと美しさを前にした我々は武器が手からすり抜け戦闘の意思が抜け落ちる。


 我々のその行動を見て安心したのか女神ティアドロップ・クライノートは和らいだ笑みを浮かべ我々に告げる。


「“我が父”はこの世界で破壊の限りを尽くしました。その真意は私達クライノートにも分からないのです。ですが消滅の寸前に5体の私達を生み出しこの世に残しました。その5体にはそれぞれ神の権能が宿っています。


まず【序列第五位・審判の権能(スディア)・聖騎士シュヴァリエ・クライノート】彼は命あるものを裁き正義を貫く者。


次に【序列第四位・原初の権能(イニシピオ)・巨人ギガ・クライノート】大地や植物、ありとあらゆる生命の祖。彼の怒りは母なる大地の怒りとなり貴方達に降りかかることになるでしょう。


次に【序列第三位・死の権能(アンヘル)・冥王ゲヘナ・クライノート】生命の死を司る冥界の王。彼の手によって殺められると魂は永遠に囚われ、二度と光を浴びる事は出来ません。


そして【序列第二位・破滅の権能(ジーニエ)・帝龍オメガ・クライノート】彼はこの世の悪そのものです。破壊の限りを尽くし彼の炎に焼かれるということは存在の消滅を意味します。


最後に【序列第一位・再生の権能(リィンティア)・女神ティアドロップ・クライノート】私は再生と祝福を司りクライノート達の能力の抑制や生命の再生を行うために舞い降りました。


今の私達クライノートはとても弱っています。そのうち皆、宝石(コア)の姿に戻ります。そして各地で封印を施してください。そうしないと完全な状態で各地に再誕しこの世界を終わりへと導きかねません……。特に【アンヘル】と【ジーニエ】は少しでも封印に綻びがあるとすぐに行動に移すことでしょう。私は一時力を回復させ世界の再生を行います。再生が終わり次第私も封印をすることをお願いしてもよろしいですか?」


その場にいた我々はただ頷き【ティアドロップ・クライノート】の言う通りに動いた。


そして時は流れ世界は美しい景観と幾億の生命で溢れ我々の世界は取り戻された。


 【スディア】は“騎士国家フィルメーラ”に。


 【イニシピオ】は“大霊峰ダイヤモンドクリスタ”に。


 【アンヘル】は“光の都ヴロン”に。


 【ジーニエ】は“大帝国アリアネドル”に。


 【リィンティア】は“王都アルフラン”へと封印した。


 世界は救われた。


 もう二度と崩壊することはない。


 だが、一度でも【リィンティア】の封印が解かれてしまったのならそれは5つの権能の目覚めを指す。


 もし、もしもそうなってしまったら我が息子「レノン・エルピス」を頼りこの世界の崩壊を止めてくれ。


                    レド・エルピス   天の書(グリモ・アンゲルス)



-----------------------


 とても厚い本をパタリと閉じレノンは少し暗い顔をして俯きながら「父さん」と小さく呟いた。


ゆっくり投稿しております。どんどん読みにくくなっているような気がしてなりません。それはさておき物語の重要な部分になりました。次回から二人の壮大な旅が始まりますよ!

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