表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ティアドロップ・クライノート 〜グッドモーニング、ティア〜  作者: 秋葉ぬき
第1章【少年と少女は運命に導かれて】
4/31

これが運命に導かれた少年と少女の出会い

頑張って書きました。読みにくく拙い文章ではありますが、どうかどうかよろしくお願いいたします。

 いくつもの街を、村を、山を越えて私は逃げ続けた。


 途中で何度も挫けそうになったが、その度に命を懸けて道を作ってくれた城の皆の顔が浮かんだ。


 顔が浮かぶたび涙が零れた。


 涙が零れるたびに前へ前へと突き進んだ。


 また後ろで奴らの足音がする。


 何体も何体も追ってくる。


 これまでに何体もの魔獣達を殺してきたのだろうか。

 

 兵士から託されたいたって普通の一本の剣。


 この剣が私の命を何度も救ってくれた。


 きっとあの兵士が守ってくれているのだろうか……


 そう考えると胸の奥が熱くなった。


 だが油断はならない。


 魔獣が一匹スピードを上げ私めがけて飛び込んできた。


「くっ・・・!いい加減しつこいのよ!”ロ・ブレイド(水の刃)!”」


 少女が得意とする水の属性の魔法を迫りくる魔獣に放つ。


 いくら魔獣といえど練度の高い私の魔法を避けることは出来ないようで、その体は真っ二つに切り裂かれる。


 しかしこの魔法で倒すことができたのは一体のみ。

 

 残りは数えるほどなのだがもう体力も魔力も尽きかけているこの状態で倒すのは不可能に等しかった。


 私は残り少ない魔力の消費を効率よく最小限に抑え再度放つ。


「これで少しは大人しくなりなさい!バン・リエール(蔦の呪縛)!」


 水に次いで相性のいい木の属性の魔法を魔獣達に放つ。


 上手く魔法が発動したようで、地面や木々から伸びる蔦が魔獣達の体を捕らえ縛る。


 最大効率でこの魔法を放てばたちまち体は千切れるが今の魔力量では捕らえるのが精一杯だった。


「今のうちにこの山を抜けなきゃ・・・」


 もう私に走る体力なんて残っていなかった。


 頭が回らなくなり体がズンと押しつぶされるように重い。


 典型的な魔力欠乏症の病状が出ていた。

 

 それに加え豪雨で熱を奪われる。


 もう倒れる寸前なはずなのに体は自然と前に進む。


 一歩一歩ぐちゃぐちゃにぬかるんだ地面に足を取られながらも歩く。


 剣を支えにゆっくりと歩きだす。


 すると遠くの方に微かにポゥと灯りが見えた。


 今度は街や村じゃなくただ一軒ぽつりと家があるようだ。


 けれど関係のない人を巻き込むわけにはいかない。


 灯りのついた家を避けて移動しようとしたがもう身体は動かかず立つことすらままならない。


 そして私はとうとう力尽きた……


「何だか山のほうが騒がしいなぁ……畑も心配だし、見に行かなきゃ」


 今日は酷い雨が降っていた。


 ボクは街への買い出しや日課の農作業を早めに切り上げて晩御飯やお風呂の支度をしていた。


 すると家より少しだけ離れたところにある山の方から誰かの叫ぶような声が微かに聞こえた。


 今日は土砂降りだからボクは無性に心配になって山へ向かう準備をした。

 

 もう辺りはすっかり闇に包まれていて家の灯りだけがポゥと温かみを帯びた光がついていた。


 けれど山までこの灯りはとどかないのでボクはランタンを取り出した。


 それと念のために手斧と両親の形見である宝石のようにきれいなナイフを持ち、山へ向かう。


 闇の中をランタン一つで進んでいくことにボクは何の恐怖も抱かなかった。


 ボクは小さい頃に両親を亡くしている。


 両親はボクが物心つく前に小さな村にボクを預けてそのまま死んでしまったらしい。


 その村でボクは育てられて土地を与えてもらいそこに一人で暮らしている。


 だから、ボクはこの雨もこの暗闇も何も怖くなかった。


 一人であることも、怖くなかった。


 そう昔のことを考えながら歩いていると、山を抜けるすぐ手前に白い服を着た人のような影がうっすらと見えた。


「あ、あれって……女の子!?何で倒れてるの!?すぐに助けなくちゃ!」


 ボクは咄嗟にその人影へと駆け出した。


 大丈夫!?と声をかけるも反応がない。


 身体も冷たくなっていてこのままでは危ないと思い


 身体を抱え家へ運ぼうとしたが、山の少しだけ上の方から犬の唸り声のようなものが耳に入った。


 不安ではあったが、女の子が少しでも雨に当たらぬよう木の下へ移動させ音の正体を確かめに向かった。


「これって野犬……? でも野犬とは少し違うような……それに蔦に絡まってはいるけどまだ生きてる」


 その野犬に似た生物は今にも飛び掛かってきそうな気迫だ。


 ふと少女のことが頭によぎる。


「きっと野犬に襲われてあそこまで逃げてきたんだ……」


 正直、こんな状況どうしていいか分からなかった。


 あまりにも突然で、信じがたい出来事だ。


 けどこの少女だけは何としても助けなければいけない。


 ここで救えなかったらどうしようもないくらい後悔する。


 それだけじゃない、もっと大きな()()を失う気がするんだ。


 そして決意した。


 ボクは手に握った手斧を振りかざして野犬の頭部めがけて振り下ろす。


 ドチャッ、と不快な音と感触が五感に響き渡る


 可哀想ではあったが、残りの野犬も目を背けながら手斧で頭部を潰した。


 これでもう大丈夫。


 ボクは少女のところで急いだ。


「もう大丈夫だからね」ボクはそう声をかけ少女を抱えて急いで家を目指した。


 心なしかさっきより冷たくなっている気がしてまた足を速める。


 今まで通ってきた道を急いで戻り家の出入り口に着くと、バタン!と大きな音をたてドアを閉めて少女を抱えたまま家の中に入った。


「困ったなぁ……女の子相手に看病するのは気が引けるよ……」 


 この濡れて冷たくなった身体をどうにかしなければと思い


 ボクのベットに寝かせてビショビショにぬれた女の子の泥と血で薄汚れた白いドレスを脱がせた。


 恥ずかしくはあったがそんなことを言っている場合ではない。


 ボクは倒れている人の処置なんて分からなかったが身体を拭いたり暖炉の火を強くしたり、出来るだけのことは尽くした。


 ボクも必死に看病してはいたがいつの間にか眠ってしまっていたようだ。


 ふと気が付くと窓の外から太陽の温かい光が窓から差しこんでいた。


 ボクは目をこすりながら昨日のことを思い出しベッドに目をやった。

 

 少女はスヤスヤと寝息を立ててまだベッドの上にいるようだ。


 ボクは背筋をぐっと伸ばすと台所へ向かった。


 トントントンとリズムよく刻まれる野菜。


 ぐつぐつといい香りを漂わせながら沸く鍋の具たち。


 そう、ボクは朝食を作っている。


 少女が無事なことを確認できたので安心して朝食を作り始めたのだ。


 あわよくばこの香りで目が覚めれば面白いのだけれど。


 ボクがそんな平和なことを考えながら朝食を作っていると寝室の方からガタンっ!と大きな物音がした。


 ボクは料理をする手を止めて寝室へと向かった。


「あなた……何が目的?ここはどこ?質問に答えなさい」


 少女は下着姿をシーツで隠しながら剣をこちらに向けてそう言い放った。


 ボクは何から言おうか迷ったが、少女にむかって笑顔でこう言う


「おはよう! ボクはレノン。”レノン・エルピス”! 君はなんて名前なの?」


 少女は少し戸惑ったような顔をしてボクの質問を返す


「私は……”ティア・ナイトドロップ”よ」


 ボクはすかさず少女に言う


「ティアちゃんかぁ……いい名前だね! とりあえず、朝ご飯たべよっか!」


 少女は呆気にとられたような顔をしたが”ぎゅるるるる”と大きな音がお腹から鳴らせた。


 少女は恥ずかしそうに顔を隠したが、ボクはそれを気にせず笑顔で少女と朝ご飯を食べることにした

第三話となりましたティアドロップ・クライノート。ティアちゃんは金髪ツーサイドアップ貧乳つり目八重歯とてんこ盛りとなっております。これからもっと物語が面白くなっていくので読んでいただけると光栄です。では四話でまた

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ