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始まり
何の前触れもなく広大な黒の世界に無数の星光。
流星群が夜空を駆け抜ける。数十秒程の時間、夜空に光の線が描かれてた。今、流星群を見ているのは僕一人。下にいる人達は上を見る事なく自宅への帰路を歩いて行く。静かな夜の街の光が僕を照らし、少し湿った屋上を肌寒い風が通る。くたびれたフェンスの上で風吹かれ、短いながらも過ごした日々が脳裏に浮かぶ。
「僕には星みたいに輝く事も、人の心を動かす事も出来ない...。」止まる事なく溢れ出る涙を拭く事もせず、静かに願い事を唱えた。
『幸せになりたい』
そう呟き数億とあるであろう星見ながら、僕は僕を殺した...。
グシャッ!!
目の前が真っ暗になり、今までに感じたことのない違和感を覚え、僕は暗闇に至る。何も見えない中、ただひたすらに漂い続け自分の無力さを噛み締めた。
どれ位時間が経っただろう...。時間も、生きてる、死んでるも分からないこの空間。一つだけ分かるとしたら漆黒の闇という事。
突如全てが金色の光に包まれ、僕は金色の光に呑み込まれた。