レッドホークと転生者
俺の名はサーディン……
現代から異世界にやってきて、女の子達にモテモテになって
しかもギルドマスターにまで上り詰めた……
渡辺 誠也
それが前の世界での俺の名前だった
俺は正義感溢れるこの町のヒーロー的存在……
この前も、教会に幼女を奴隷の様に使う悪魔に魂を売った悪人を一人捕まえる協力をした
だが、何故かアイツは俺の
いかした、クールな名前を聞いて大爆笑していた……
何故だ!?
サーディンといえばこの町の女子達の憧れる
この俺の格好いい名前の筈だ……
だが、俺は表面上は取り乱さない
爽やかなハーレム主人公だ
「サーディン様!!」
おやおや……俺の部下が血相変えて走ってきたぞ?
「どうしたんだ?
そんなに慌てて、落ち着いて何があったか話したまえよ」
「そ……それが!
臆病ですがレベルが上がると危険なヴォーパルバニーという種族に進化する
ウサギが!」
「なんだ?
全部倒されて肉の流通ルートが狂ったのか?」
「いえ!!
何故か臆病な筈のウサギが何者かに先導されているかの様に
大移動を開始してまして!!」
「ブッフォ!?
ふっざけんな!!
ウサギが大移動だと!?」
▽▽▽
「みんなついてきてる?」
「あーい♪」
「hOI!!!!」
「いえーい♪」
【今しがた変な掛け声のウサギがいましたね】
【人間の耳には聞こえ無い声ですが】
ん?
何だろう?
地面に影が……
「ねえ、システムガイドさん、あれなに?
あの上の……赤い鳥?」
【隠れてください】
「みんな隠れて〜!」
「あーい!」
よし……みんな隠れたね?
【あなたも隠れるんですよ、トリック?】
えっ?
その時、僕は空を飛んだんだ……
人類の夢の一つらしい空を飛ぶ事は容易く完遂された……
「ってか……鉤爪ェ!!
痛い!!」
【トリック、変身を使ってください】
「変身ー!!」
種族【レッドホーク】
容姿:紅い鳥
――説明:肉はスパイシーで唐辛子に似た成分が混ざり、辛い為
子供には不人気、また鉤爪からは鷹の爪に似た成分が分泌されて掴んだ獲物に痛みを伴わせるが、爪は硬いが粉末の七味唐辛子の代用食として需要が高い
HP50
MP減らない
攻撃力30
防御力10
魔法攻撃力50
魔法防御力1
俊敏性MAX+α
称号:マーチヘア :イタズラっ子 :サポートスキルが遊び始めた者 :首狩り族 :サポートスキルがとうとう巫山戯だした者 :サポートスキルに嘗められし者
:ウサギマニア :空へ
【アクティブスキル】
【鷹の爪LV.1】
掴んでいる間レベル分のスリップダメージ
【美味しさLV.60】
食べ頃、フライドチキンが最適の調理法
【ジューシーLV.40】
肉汁じわじわ
スキル一覧
【飛行LV.MAX】
素早さによりMAXになりました
【啄みLV.20】
啄まれれば唐辛子エキスが染みる
「罰ゲームかな?」
凶悪な罰ゲームだなぁ
「何はともあれ
くらぇい!!
断頭台!!」
鳥となった僕の頭にウサギ耳が生えて
伸びて左右から鋏の様に、レッドホークの首を捉えた処で
寸前、レッドホークの瞳は……
僕が母親に殺される前……
まだ生きたい死にたくない……
やらなきゃいけない事がまだある
という死の恐怖、生への執着の宿った……
自分の為だけに僕を殺そうとする狂った母親の瞳に映る
…………僕と同じ目をしていた……
「駄目だ……僕には……できない……ごめんね……」
思わず、レッドホークへ謝り地へと降り立ってしまった……
▼▼▼
「僕はもう駄目だぁ……
殺される者の気持ちを知ってしまってるから
命を奪うなんてできない……」
【慰めの言葉を送りたいところですが】
【言葉が見付かりません】
「大丈夫〜?」
「僕、草食べる!!
肉食べない!
変身!
灰色ウサギ!!」
ムシャムシャ草うめぇ!!
【気分の浮き沈みが激しいですね】
【私の心配を返してください】
まあ、基本的にイタズラさえできれば大丈夫だから
【単純思考ですね】
「単純思考でいなきゃ……
死の恐怖に押し潰されちゃうよ……」
【( i_i)\(^_^)】
言葉が見付からないからって
ウインドウに顔文字出さないでよ
まあ、慰めてくれるのは嬉しいけどさ?
「トリック元気出して〜」
優しいウサギさん達だなぁ……
こういうので良いんだよ
「あ〜大丈夫、大丈夫〜
とにかくイタズラとかドッキリ仕掛けて成功したら
スッキリするから
でも、君が優しくて癒されたから立ち直ったよ〜」
さて行くか〜
▽▽▽
僕は
水無瀬 正太
ある日の事だ、僕へのイジメがエスカレートしてきた
親は天然で、僕がイジメられてるとは口に出さなきゃ気付かない
もっとも、言った言葉を理解するのにも長時間を要する天然度だ
仲の良い友達が泳ぎ方を教えると言っていた
と、信じきっている……救いを求める僕の視線に気付く事なく……
僕は湖に沈められた……
藻が絡み付き……
必死で空気を吸おうと、もがく。
水を吸った服が、藻と共に水中深くへ引き摺り込むかの様に重い
なんとか水面近くまで浮上
だが、水面上で少し息を吸った時
僕の頭を押さえつける……手……
体力も限界に近づいて……
岩と藻に捕らわれて
気が付けば……
水神が居た
『憐れな人の子よ
御主が望むなら、新たな人生を与えようぞ』
「それじゃあ、チート能力貰って異世界転生したいです
何か良い能力頂戴」
『そうかそうか、ならば
水神の権限で
日々、父親の手伝いで
この湖のゴミ拾いや掃除を手伝ってくれている褒美に……
水に纏わる能力……
水を操る能力……』
「強そうだなぁ……」
『は……
面白味が無いから、尿意を操る能力を授けよう』
「何で!?
水を操る能力の方が凄そうでしょ!?」
『何を言うか!!
失禁する女子が拝めるんじゃぞ!!
気丈な娘で有ろうと
誇り高き女騎士や姫騎士で有ろうと
赤面や羞恥により涙目になるんじゃぞ!?
強制排尿や
強い尿意を出して戦意を削ぐ事も出来るんじゃ!!
行け!!
利尿作用の有る薬や紅茶や麦酒も出せる様にしてやる!
持ってけ泥棒!!』
「いやいやいや!!
もっと使い勝手の良い……
本当にもう、水に纏わる能力の水を出したり操る能力で良いですから!!
そんなネタみたいなユニークスキル要りませんから!!
マトモに生き延びれる水の能力で良いですから!!」
『じゃあ、それも付けてやる!!
早く行け!!
戯け!!』
「何キレてんの!?
何で急に怒ってんの!?
逆ギレ!?」
『はっきり言うと若干の尿意を催す能力を押し付けたいだけじゃ!!
誰も選ばんから邪魔になっただけじゃ!!
大量に在庫が有るから全部付与するぞ!!』
「要らねぇぇぇぇ!!」
『大量に付与すれば
その分強力になり
尿意を操る能力に成り
強制排尿から尿をも操れる!!
尿の成分を変えて固める事も
ゼラチン質にする事にする事も
媚薬や催淫剤の様な成分や性的感覚を倍にする事も自在じゃ!!
行け!!
おもらし太郎!!』
「浦島太郎みたいに言うなぁぁぁぁ!!」
こうして僕は有無を言わさず
酷いスキルを付与されて異世界に送られた
掃除したのに……
恩を仇で返すとはこの事か……
▼▼▼
異世界に着いたようだ……
何の説明も無いまま、サポートスキルの一つや二つ付けてくれてもよかったのに……
茫然と立ち尽くす中、一匹の灰色のウサギが声を掛けてきた
「やあ、君は転生者かな〜?」
▽▽▽
立ち直った僕がウサギ達を引き連れて歩いていると
道から外れた草原に、突如として
人が現れた
【どうやら転生者の様です――】
【赤子からのスタートではなく】
【そのままの姿のままで異世界へ飛ばされたパターンですね】
丁度良いや!
色々吹き込まれて、魔物を狩る
人間面に堕ちる前に仲間に引き入れよう!!
「何も知らない状態だと思うし、味方にできそうだから殺しちゃやーよ?
敵を増やすより味方を増やす方が安全だからね」
「あ〜い!」
「首狩りた〜い!」
「トリック頭良い〜!」
さてと、先ずは
挨拶だ!
アイサツは大事!!
古事記にもそう書いてある
何て挨拶しようかな
「howdy!!
いや、これは駄目だ……
あのゲームを知ってると警戒される」
それじゃあ……
「やあ、君は転生者かな〜?
僕はトリック・スターだよ!
トリックでもスターでも好きに呼んでね♪」
「あ……どうも?
僕は水無瀬 正太という者だが……
ここは異世界?」
水無瀬 正太は
湖の掃除の際、水神の大事な宝物をゴミと一緒に処分した
エロ本とフィギアである
水神は、一応ゴミ掃除してくれたしでも、腹癒せに在庫処分として良いと思うのに不人気な能力押し付けて転生させてやるか
等と供述しており