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父の夏  作者: 稲永 桂
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7月8日

実話を元に一部フィクションにしています。

7月8日、大阪の南にある田舎町。

お経と蝉の音が混ざり合う。

慣れないスーツで汗だくになりながら、

陳列者に挨拶をする。


皆が家族を見て、かわいそうと呟く。

58歳という人生の終わりは世間でいうと

早すぎるようだ。


同情と表現は正しくない。

何も感じないからだ。

葬式の忙しさからなのかどうかさえわからない。


ただ間違いないことは、父が死んだ。


生死の実感さえわからないまま、

父は火葬され、骨と化した。



その時、走馬灯のように頭を駆け巡る。


俺が殺した。

お読みいただきありがとうございます。

これから毎週日曜日に更新していきます。

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