強盗
拙い文章です読んでいただけるとありがたいです
「 遠い昔、この世界に一人の魔法使いが生まれた。
彼は二百年と言う年月生き続けた。
そして死んで彼は星になった。
その星は地上に住む人に魔法の力を発現させた。」
有名な昔話だ。
この話が嘘か真実かは分からない。
だが、確かな話として今、この世界は魔法が存在している。
この世界で魔法使いに生まれ それを極めた者は星になる。
この世界一人目の魔法使いと同じ道を辿るわけである。
そしてこの世界で魔法使いに生まれた者は例外なく星になることを目指す。
いや、その言い方は正確ではない。
僕、カイルは魔法使いである。
だが、星になりたいとは思っていない。
「おい、そこのお前」
それが自分にかけられた言葉だと認識するのにカイルは少し時間を要した。
「えっ?僕?」
「当たり前だろ。ここには、お前しかいねぇじゃねぇか」
カイルは周りを見渡す。
すると、さっきまで沢山いた人達はどこかに消え去っていて、目の前にいる男一人になっていた。
「人払いの魔法か…」
「そうだ、よく分かったな。普通なら何が起きているかも分からないやつが多いんだが」
その次の台詞は分かっていた。
「痛い目に遭いたくなけりゃ、持ち物置いていきな」
カイルは大人しく持ち物を地面に置く。
財布を下に置く時あることに気づいてカイルは口を開く。
「あっ、全部置いてくと今日の夕飯のお金なくなっちゃうんだけど。ちょっと持っていってもいい?」
「ああ、やけに素直だな」
「まあね、慣れっこだし」
カイルは少しのお金を手に持ち、あとの持ち物をまとめて男に投げた。
…と同時に男に急接近して拳を向ける。
「へっ、餓鬼にしてはいい動きだがまだ駄目だな」
男はカイルの拳をがっしりと片手で受け止めていた。
「くっ…」
カイルは下がって距離を取る。
こいつ、強い。そこらの雑魚魔法使いとは違う。
【チェインロック】
男が魔法名を唱える。
地面に魔方陣が現れ、鎖が伸びてくる。
束縛系の魔法だ。
その鎖をカイルはするりと躱す。
「まったく、束縛系の魔法を使うなんてね。捕まるのは自分の方じゃないの?強盗さん」
「ふっ、減らず口を」
【チェインロック】
【チェインロック】
男は次々魔法を繰り出す。
「くっ…」
一つならなんとでもなったがこの数はやばい。
避けきれない。と、カイルが捕まる覚悟を決めたその時、
「こんなところに人払いの魔法なんて張られていたら気になって入ってしまうではないか。まったく」
そんなすっとんきょうな声がどこからか聞こえた。
読んでいただき、ありがとうございました。
次話もお楽しみに