遅れてくる者
「隠れろ!」
ソウマは叫んで、2人はカズサから距離を置く。
「ほほう…どこかに身を隠したか。まぁ、次の戦闘で終わりなんだ、策を巡らせてくれよ?」
セツナは近くに身を潜め、ソウマがカズサに向かって走っていく…
「雷斬!」
今までの、振り下ろす動作や、突き上げる動作ではなく、横に放った新しい動きだった…
ソウマの技のレパートリーは、班の中で1番多いと思われた。
「おっと、まさか横に放つとは、範囲も様々で面白いな〜その技」
カズサには当たる気配などなく、岩の表面にも傷を与える程度だった…
「もう1回…!雷迅!」
「そんなんじゃ当たらんよ!」
カズサはソウマの両腕を掴み、地面に倒す。
その後、追い打ちをかけるよう、セツナが来る…
「もらった…!」
ものすごい勢いのかかと落としは、カズサに当たるはずだった…
「グハッ…!」
「ごめん、ソウマ…」
「なにしてるんだか?私を狙いなさい?」
「卑怯ね。」
「戦場ではそんな事言ってられないのよ〜?さぁ!早く来なさい。」
セツナは無理矢理ソウマを起こすと、2人でカズサに掴みかかる。
「まだなの…?」
「もう少しだ…耐えろ…セツナ」
カズサは2人に腕と脚を掴まれ、身動きが取れない…しかし、セツナとソウマも身動きが取れない状態になっていた。
「このままじゃ決着つかないわね?」
「そうだな…でも、あと少しだ。」
「なにを言ってるの?終わらせる気がないなら、私も能力を使いたくてウズウズしてるのだけど。」
…その時、カズサから見えない位置で、洞窟には住みそうにもない、似ても似つかない、不穏な影が近づいてくる。
最後の一行でお察しとは、思いますけど…静かにして上げてください。




