1話目 1027回目のガチャと7年間引き続けた俺
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名前:ヴァルキリー
階級:SS
属性:光
モンスター#:3
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出た。
ヴァルキリーだ。
俺は《発掘クエスト》の給料を握りしめて、満身創痍真っ黒の泥まみれのまま、その給料を全て《召喚》に投入する為に神殿に居た。
今回の給料では5回が限界。
通算1026回目に、E級の《マタンゴ》が出た時は、マジで心が折れた。
ほぼ諦めていた最後機会。
俺は拳を握りしめ、1027回目の召喚を終えた。
そこには神々しい《乙女剣神》が出現したのだ。
思い返せば長い月日だった。
周りの奴らは、《召喚学校》を卒業した後は、2、3回の召喚で満足してやがった。
B級やC級を出せば御の字と言った具合。
皆喜んでダンジョンタワーに挑んでいった。
D級なんかで満足した奴も居たけど、
「冒険しながらモンスターを育てるもんだ」
なんて、クソ生ぬるい事を言ってたヤツも居た。
バカかと!!アホかと!!!!
あいつらは何にも分かっちゃいない!!
良いか!?
強えモンは、強えんだ!!!!
だから俺は、召喚学校を卒業しても、冒険に出ず、バイトをして、ガチャを引き続けた!!
今思い返せば、それまで親、友人、後輩からは、散々な事を言われてきた。
「いつまでガチャ引いてんだ!!C級でも良いからさっさとタワーに行け!」
「友人としていう。悪い事は言わん!!SS級なんて超極レアは狙うな!」
「うっは先輩!まだ町でガチャ引いてんスか?マジ笑えるんスけど!!」
その間実に7年だ!!
オリンピックが二回来る直前だ!!
でも今日ダメなら、マジで冒険者廃業しようと思った。
でも本当に本当に、辞めなくて良かった。
本当に良かった!!
◇
日の出前の未明と言われる時間帯。
俺はヴァルキリーを出した事を、敢えて誰にも言わないでダンジョンに入った。
今までバカにしてた奴は、風の噂で驚くが良いぜ!!
俺はダンジョンに入ろうとすると、その大きな正門の前で突然呼び止められた。
「ちょっとお待ち!」
俺が振り向くとそこに居たのは、耳の尖った《精霊族》の幼女。
幼女だけど、神官帽とその制服、神官の杖を持っている。
つまりダンジョンを取り仕切るダンジョン神官とかいうヤツだ。
『とかいうヤツだ』というのは、俺もあまりダンジョンに詳しくないからだ。
召喚学校もギリギリで卒業して、ガチャを引く為のバイト生活中は、冒険者の欠片も無かったからな。
「君こんな時間にダンジョン入りするなんて、マトモじゃないね?冒険初心者かい?」
その通りだ。
初心者以下とも言っても良いだろう。
甲高く可愛らしい声だが、なんとなく古臭い言葉を使うその幼女は、
「で、初心者君。《冒険者登録》はしたんだろうね?」
と、そのチビッちゃい身長で仁王立ちしながら、俺に何とか登録というのを持っているか確認をした。
は?
ナニそれ?
美味しいの?