4の29
今回は中盤から、第三者の視点でのお話しがあります。
1時間くらいシャルと駄弁って、ついに決勝戦が始まる。
「さぁ、これから始まりますのは実技テストの最終幕にして、大行事であります闘技大会の決勝戦でございます。えー、実況を担当しますのは当学校1の美少女である私、キト・ゼトシです!」
実況の自己紹介と同時に、
「「「「「キトちゃん可愛い〜」」」」」•「「「「「シャシャるなぶりっ子!」」」」」
と、男どもの合唱と女子の罵倒が聞こえた。女って恐いな。だが訂正を入れよう。この学校1、しいてはこの世で1番の美少女はノースだ!ま、同じような事をアルルがミレイに対して言っているけど無視でいいな。
「そして、解説を行いますのは実技の授業の担当でお馴染みアール・フラン先生です!」
「「「「「脳筋教師帰れ!」」」」」•「「「「「キャー、アール先生素敵〜」」」」」
今度は男子の罵倒と女子の黄色い悲鳴だ。てかうちの担任ってあんな名前だったな。全然覚えてなかった。ま、顔だけはいいからな。性格は絶望的だがな。
「ではでは、あらゆる猛者を倒し、決勝に勝ち残った2名の紹介です。」
すると左右にある門のうち片方の門が開く。
「えー、右ゲートから現れましたのは、我らが生徒会長にして3年生主席エル・コーフ様!!」
まさかの様付け。
「コーフはここまで初級魔法しか使ってないからな。どんな闘いになるのか楽しみだな。」
解説(笑)が、コーフ先輩の説明をする。いや、初級魔法だけってどんだけ凄いんだよ。
「続きまして、左ゲートから現れましたのは生徒会の勧誘を断り続けているという2年生のエース。強いのに、筆記試験でいつも底辺をさまよっているためなかなか主席になれないという悲しい実情のマルコ・ノウベル君です!」
なにそれ可哀想。それをほぼ全校生徒がいる前で言ってやるなよ。
「マルコは恐ろしいくらいの高速詠唱が得意だな。ここまで上級魔法を使いながらも試合開始の15秒以内で終わらせている強者だな。」
解説(笑)がノウベル先輩の説明をする。上級魔法を15秒以内に放てるのは凄いな。
「それでは、いよいよ試合開始です!」
☆
ー闘技室の中央の2人ー
「コーフ先輩、今日は負けませんからね。」
マルコが自信満々にそう言う。
「マルコ君こそ、今日負けたら生徒会に入ってもらうからね。」
エルはそれに軽い口調で返す。
「あーもう、先輩のその余裕の顔もすぐに苦しく歪んだ顔にしてあげますから!」
マルコはイライラしながらエルを挑発する。
「うん、楽しみにしてるよ。」
「くっ!」
逆に挑発で返されて口ごもるマルコ。その時、
「それでは、いよいよ試合開始です!」
と、実況の声がした。
「では行きますよ先輩。火の精霊よ、我が呼びかけに応えて我が敵に怒りの鉄槌を『火属性上級魔法バーニングハンマー!』」
上級魔法を軽々と詠唱省略して放つマルコ。しかし、
「流石に早いね。でも、我が標的を水の壁にて防げ『水属性初級魔法ウォーターウォール』」
エルの前に立ちはだかる水の壁によって火の金槌はあっけなく消失した。
「なっ!初級魔法で上級魔法が消されただと!なら少し時間がかかるが、火の精霊よ我は汝の力を借り天上の炎を司らん。火の神マルスより与えられし、火の加護を受け、この力を発動する『火属性超級魔法メテオブラスト!』」
1音1音噛み締めるように時間をかけて詠唱を行ったマルコ。その間エルは楽しそうに彼を見つめていた。
詠唱が終わると同時に超大爆発が結界内のエルを中心に起こる。マルコは爆発に巻き込まれないように結界の端の方に逃げる。これは決まった。そう誰もが思った。
☆
ーリオル視点ー
あれでは逃げ場が無い。この勝負はノウベル先輩の勝ちだな。俺はそう思った。
爆煙が晴れて、皆がコーフ先輩のいた筈のところに目を向けた。あれだけの爆発だ。決して無事なわけがない。下手したら消し炭になっている可能性すらある。しかし、コーフ先輩は悠々とその場に立っていた。俺以外の人は一体何が起こったのかと、驚愕の顔を浮かべている。だが俺には分かった。なぜコーフ先輩があの場に立てているのかが。
「あれは…。」
あぁ、続きが気になる!という方は明日まで待ってて下さい-w
さぁ、次回は3年生主席のエル・コーフの知られざる秘密が明らかに?