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あれから3年経って、クルーナ先生が家庭教師の任を終える前日、先生がこんなことを言ってきた。
「リオル、あなた私と一騎打ちしない?」
「はい?」
「だから今日で私が教えるのは最後でしょ?ならホントに全力で魔法の打ち合いをしましょう。」
「いや、絶対に嫌ですよ。先生の本気に僕がついていけるわけが無いでしょ。」
「それがそうでもないのよね。あなた今ステータスを見てみなさい。」
ずいぶんと久しぶりに見る。というか今日で2回目だ。最初に見てからそれ以降忘れていた。
「わかりました。『ステータス』」
名前・・・リオル・マルクス
種族・・・人族
魔力量・・・∞(無限)
使用可能属性・・・火、水、風、土、光、闇
保有特殊能力・・・完全記憶能力
「えっと、こんな感じですね。」
「聞いといてなんだけど、相変わらずのデタラメさね。魔力が無限なのは、この前測定不能だったのが分かったからかしらね。」
「いや、これもう測定するの諦めただけでしょ!」
「そうとも言うわね。ま、とりあえず名実ともに魔力が底無しなのは実証されたわけ。この魔力で自分の体を覆ったら、無敵よ。」
「その言い方やめてください。あの技は『不可視の鎧』って命名しましたから。」
「なにその地味にカッコイイ名前。面白すぎ。」
「いや、この名前結構悩んだんですよ。ま、それは置いといて。僕のステータスの何が先生との一騎打ちの理由になるんですか?」
「さっきも言ったでしょ。そんだけの魔力量なら、えっと『不可視の鎧』だっけ?それ使えば私の攻撃の防御は簡単よ。それに昨日までにあなたは全属性の中級までの魔法は覚えてるのよ?初級までしか覚えれなかったら、勝負はやめようと思ってたけど、私の教え方が良かったせいで中級まで覚えちゃったもんね。」
「そこは素直に僕の覚えが早かったって言ってくださいよ。」
「嫌よ。褒めたらすぐに調子乗るでしょ。」
「そんなことはありません!・・・多分。」
「ま、中級魔法で攻撃の方も大丈夫でしょ。とにかく場所を変えるわよ。」
「分かりましたよ・・・。殺すのはなしですからね。」
「私が殺されないか不安よ。そもそも実戦訓練の希薄なあなたに稽古を付けるだけだから、そんなに気張らないの。」
「確かに実戦訓練はやったことないですけど。」
「ま、私がいなくなったら森で魔獣狩りでもしときなさい。」
「魔獣って確か魔力の膨張した動物が凶暴化したやつですよね。でもほとんど見たことありませんよ。」
「このへんは空気の魔力濃度が薄いからね。でももうちょっと行ったら魔力濃度の濃い森があって高頻度で強い魔物が出るわ。で、今からその森で実戦訓練をするから。とっとと行くわよ。」
あ、先生キレ気味だ。もしかして戦闘狂なのか?
「速くしなさいって言ってるでしょ!」
質問のしすぎで怒ってる。やばいな。
「分かりました。行きますから怒らないで!」
「怒ってない!!」
やっぱ怒ってる・・・。