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ー5年後ー
で、なんでこうなったー!!
「ほらほら、逃げてるだけじゃそのうち潰されて死ぬわよ。」
ただいま先生の放った岩石から必死こいて逃げてます。なにこれ、ワラ無しで死ぬからね。どうやって防御しろって?魔力を濃くして体に覆ったら、岩が体に当たった瞬間壊れるだ?当たれるか!怖いわ!いや、そもそも先生の思考が怖いわ!
「ちっ!しぶといわね。さっさと諦めて当たりなさいよ。めんどくさいわ、ならこれよ!」
「うわっ!て、火の玉は無しでしょ。燃えますから!」
「何言ってんのよ。火の玉じゃないわ。爆弾よ。避けるだけじゃ落ちた瞬間爆発するわよー。」
「それを先に言えー!!」
「ドカーン!」
ほんとに爆発しあがった。爆風が。このままだと飛ばされる。確か魔力のオーラの濃度を濃くして、全身に鎧を纏うイメージ。お、体が安定した。でも爆風と一緒に火が広がってきてるな。なら、鎧にしてる魔力とは別に、手のひらに魔力を凝縮。集まってきたら一点集中で、ぶっぱなす!
「よし、火も消失。」
「やっと出来たわね。もう教えだして5年たったわよ。」
「先生の教え方が強引だったんでしょ。何回死にそうになったか。軽くトラウマができましたよ。」
「マジでやばかったら止めたじゃない。私の師匠は止めてくれなかったからね。ホントに6回死んだわ。」
「死んだって、心が折れたとかの比喩ですか?」
「いやいや、ホントに死んだの。地獄みたいなところにも行ったわよ。その度に鏡に自分の罪を映し出されるし。あれはホントに嫌になるわよ。」
え、鏡って涙脆い閻魔様の所にあったやつか?なら本当に
「地獄・・・。じゃあ先生は死人?それともゾンビ?」
「失礼ね。いや、あながち間違ってはないのかしら。師匠がね私が死ぬたびに光属性の禁術で蘇生させたのよ。」
き、禁術!?それって禁止されてるから禁術なんじゃ。いや、もうこれ以上考えないどこう。
「なら先生もその禁術を使えるんですか?」
「バカ言わないで。禁術は一回使うだけで寿命が50年減るのよ。そんな危険な技教えてくれるわけないじゃない。」
「でも先生6回死んだって。50年の6回だから、350年・・・。先生の師匠って何者なんですか!」
「言ってなかったかしら。ハイエルフよ。」
この世界には人間以外にも色々な種族がある。エルフは長寿で有名で魔力の才に秀でている。平均寿命は500歳くらいで、美形が多いらしい。その為、人さらいや愛玩具の対象にされることがしばしばで、エルフ族はかなり減少している。そしてハイエルフとはエルフの中でも長年魔術の修練を積み、進化した個体らしい。そんなのはただでさえ少ないエルフのほんのひと握りしかいない。ちなみに平均寿命は1000歳である。
「あ、納得だ。」
「それよりもリオル。あなた自分で何したかわかるかしら?」
「はい。魔力を濃くして体に覆ったのと、魔力を凝縮して放ちました。」
「大丈夫そうね。無自覚でやったなら自覚できるまで続けようと思っていたけれど、これで魔力操作について教えることは無いわ。」
「え、5年もやって覚えた技は2つだけですか?」
「ええ、覚えた技は2つだけよ。でもね魔力を体に纏わせるだけならともかく、魔力を自分の体から放出させられたのなら、あとは自分で応用するだけよ。」
「なるほど。で、この技名前とかないんですか?」
「名前?何言ってるのあなた。この技の最大の利点ってなにか分かる?」
「利点ですか?遠距離攻撃とかですか?」
「そうね。でもただの遠距離攻撃なら魔法でもできるわ。問題はこれが精錬された魔力ってことよ。」
「あ、自分以外の他人には不可視。」
「そうゆうことよ。見えない玉。それも威力を自在に操れる。そんなのがボコスカ飛んできてみなさいよ。それだけで相手は恐怖よ。」
「確かに。でもそれ名前をつけない理由になりますか?」
「いい、魔法に名前がついてあるのはあくまでも発動するキーってことだけよ。でもこれは名前をつけなくても魔力だけで発動できるの。隠密行動の際に相手に奇襲をかける時、わざわざ名前なんて言ってられないでしょう。」
「それもそうか。なら、隠密行動の時は言わないようにしますから、名前付けてもいいですか?」
「どんだけこだわるのよ。別にあなたが持ってる技なのだから好きにしていいけど。」
「よっしゃ!じゃあこの技を応用して色々な技を生み出すぞ。」
「まずったわ。応用の事は伏せておくべきだった。この子やる気出すと、とんでもないことし出すから。」
「先生、心の声漏れてますよ。」
「えっ!な、何のことかしら。」
「別にいいですけど。そう言えば先生ってあと何年ぐらいここにいられるんですか?」
「あと3年よ。その間にあなたが知りたいことを教えてあげれるけど。」
「ぜひ!魔法を教えてください!」
「そう来ると思ったわ。3年もあればあなたの魔力量と私のスパル・・・優しい教え方で、上級魔法を二属性くらい教えられるわね。でもせっかく全属性使えるのだから、全属性の初級、つまり基礎を教えてもいいわね。どうする?」
「今、スパルタって、言いかけましたよね。なら基礎を教えて下さい。少しでもいろいろなことが出来れば、それがベストなので。」
「分かったわ。でも詠唱は全部覚えてるから、上手く行けば中級まで行けるかもね。ま、全てはリオルの頑張り次第ね。」
「はい!」