3の3とクルーナ視点
「さてと、今日から本格的に魔法の練習に移るわよ。」
「お願いします、先生。」
「まずは貴方のステータスを教えて頂戴。ステータスの見方は分かるわよね。」
ステータスは魔力が少しでもあれば使える魔法。自分の種族、魔力量やら、使える属性を確認できるようになってる。発動する時は自分のことを覗く感じでイメージして、念じれば完了。簡単な魔法だから本で見つけた瞬間、使おうかとも思ったが、我慢した。俺、グッジョブ!
「大丈夫です。『ステータスオープン』」
「なら見えた内容を、私に報告しなさい。」
「はい。」
名前・・・リオル・マルクス
種族・・・人族
外的魔力量・・・1万5千
内的魔力量・・・測定不能
使用可能属性・・・火、水、風、土、光、闇
保有特殊能力・・・完全記憶能力
「え、えっとこんな感じです。」
なにこれ?内的魔力量ってのがリンクの言ってたやつだと思うが、測定不能?自分の体だろ!でもって全属性使用可能だし。なんの冗談だよ。極めつけは完全記憶能力チートだろ・・・。見たもん全部覚えて、忘れないんだろ。完全にとある禁書目録じゃねーか。現に魔法書全部覚えちまったし。
「先生?大丈夫ですか?」
クルーナ先生機能停止ナウ
「確認だけど嘘は言ってないよね?いや、嘘だと言って。」
「すべてホントのことを言いました。自分でも信じられません。」
「そんな莫大な力、見たことも、聞いたこともないわよ。」
「やっぱり、全属性使用可能は有り得ないんですか?」
「いや、全属性を使用できる人は何回かあったことがある。それでもかなり珍しいんだけどね。」
「なら、保有特殊能力の方ですか?」
「これも珍しいけど、これて先天的なものだから、持ってる人はいるわね。」
これでもないのか?ま、まさか・・・
「一応言っておくけど、私も人族だからね。」
「で、ですよねー」
「本当は分かってるんでしょ?自分の魔力量の多さが異常なこと。」
「う・・・。はい。これ、何がきっかけで暴走するか分からないんですよね?」
「そもそも外的魔力量と内的魔力量とで分かれてること自体貴重なのよ。その上内的魔力量は言うまでもないとして、外的魔力量も鍛錬し続けた魔法使いがやっと到達できるくらいの量よ。私のステータスも教えてあげるわ。」
名前・・・クルーナ・エバンス
種族・・・人族
魔力量・・・1万
使用可能属性・・・火、風、光
保有特殊能力・・・状態異常治癒
「魔力量ならあなたの外的魔力量だけで負けてる。正直ショックでしかないわよ。」
「で、でも先生だって3属性使えるんでしょ?それに保有特殊能力だって有りますし。」
「なに?嫌味言ってるわけ?全属性使用可能なくせに。それに状態異常治癒なんて風邪にかかってもすぐに治るぐらいなものよ。麻痺や毒になる事がそうそうないからね。」
いや、風邪が早く治るのはいいだろ。
「そんなことよりも、あたなそのままだったらその内死ぬわよ。」
「はい?言っている意味がわからないのですが。」
「ホントに全部覚えたわけ?魔力暴走がなぜ起こるか答えなさい。」
「それは、例えば火属性の魔法を使う際に、1点に魔力を集中させすぎた結果、膨大になりすぎた魔力が制御を失い暴れだすから・・・。つてことは」
「そうゆうことよ。あなたは今その現象を自分の身体の中でやってるってことなの。むしろ今までになんで暴走しなかったかが不思議なぐらいよ。あ、そうゆうことね。」
「あのー、一人で納得してないで何に気付いたか教えてもらえます?」
「あなたの魔力が外と内に分かれている理由よ。普通なら魔力は魔力溜りと呼ばれるところにたまっているってゆうのは知ってるわね。」
「はい、人間の体内を酸素と一緒に循環している魔力を溜めて、不足分を補う場所です。」
「そう、普通の人なら魔力溜りが満たされることはまず無いの。基本的に魔力が不足しているからね。ただ、リオルの場合はおそらくその魔力溜りが満たされるほどの魔力を持っている。そんな莫大な量は制御しきれない。あなたは多分だけど1度魔力暴走が起こっているはずなの。それを誰かが抑え込んで、リオルの体内をめぐる魔力量を一定値でキープしたのよ。ま、そんな事をしたら、した方は魔力が尽きて死ぬだろうけどね。そしてその一定値の魔力が外的魔力量になり、魔力溜りの中の膨大な魔力が内的魔力量になったってわけね。」
俺の魔力暴走を未然に防いでくれたのは、本当のお母さんだったってわけか。
「それでもね、このままだと外的魔力量は底をついて、魔力溜りから内的魔力が流れ出る。そうなると魔力の暴走が始まるわ。」
「そしたら僕は魔力を制御しきれずに、最悪死ぬと。」
「そうゆうことね。だからその前にリオルにはしっかりと魔力制御の力を身につけてもらいたいの。」
「魔力制御ですか。」
「正確には魔力の運用ね。これは魔力の基礎中の基礎で、本当なら一週間もせずに終わらせることなの。でもあなたには5年間みっちり魔力の運用をしてもらう。」
「ご、5年間ですか。」
「そうよ。それに基礎だからって魔力運用を舐めてもらったら困るわ。魔力の運用にちょっとした工夫を加えたら、こんなことも出来るの。」
ん?先生が庭の木の近くまで歩いていった。
「ちょっと来てみなさい。リオルこの木を全力で殴りなさい。そして出来れば倒しなさい。」
「え?殴りで木を倒せる訳ないじゃないですか。」
「いいからやるのよ。」
「は、はあ。」
しゃーなしか。おらよっと!
「っいてー!!」
「ま、普通ならそうなるわね。ただ殴るだけじゃ、木を倒すどころか傷すらつけられないものね。だから人差し指で軽くふれるだけなんてなんの意味もないわよね。普通なら。」
「ベキ!バリバリ。ドン!!」
は?この人今何を?人差し指が木に触れた途端に木がへし折れた。
「驚いたでしょ。これが魔力の運用を極めたところにある能力よ。体内をめぐる魔力を指先1点に集中させることで、異常なまでの破壊力を発揮するの。」
「何かの奥義ですか?」
「いや、ただの魔力運用よ。基礎の基礎よ。」
さいですか。
「こんな技術魔法書に書いてありませんでしたよ。」
「当たり前よ。魔力の運用を極めようなんて物好き、私の師匠ぐらいなもんよ。だからこの技術を知ってるのは、師匠と私、リオルだけよ。あ、これ口外したら許さないからね。」
先生、顔は笑ってるけど目が怖いです。
「わ、分かりました。絶対に黙秘します。」
「よろしい。で、あなたにこれを教えるのはさっき言ったように魔力暴走が起きても、その力を自力で制御してもらうためよ。ま、あなたの魔力量なら今みたいに人差し指でだけで、地割れくらいは起こせるようになるでしょうね。」
「やっぱりそれなんかの奥義でしょ!!」
「だからただの魔力運用だって。」
「ま、それはいいですけど、今先生が倒した木、お母様が大切にしてた木ですよ。」
「…。」
☆
クルーナ視点
まさかここまでおかしな力を持ってたなんてね。保有特殊能力だってなんの冗談よ。完全記憶能力?勉強しなくていいじゃん。見ただけで覚える能力なんて需要高すぎるでしょ。しかも全属性使用可能ね。さっきはああいったけど、私が知ってる限り使えるのは師匠だけよ。で、極めつけは魔力量か。とんでもない子供を見つけたみたいね。めんどくさいけど、やる気出さないといつか訪れる魔力暴走でこの星1個ぶっ壊されかねないね。彼が内包している魔力が暴れるなんて考えたくもないわ。手始めに木を倒したこと謝りに行こ。