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クルーナ先生がくれた魔法書を読み出して今日で5日。今まで一睡もしていない。ご飯もたまにしか食べてない。なんでかって?そりゃ、魔法の奥ぶかさを堪能しているからだよ。正直な感想、魔法があったら何でもできる。1000冊全部覚えるなんて無理な話だと思ってたけど、赤ちゃんの時の記憶力は健在だったみたいだな。一度読んだらだいたいの事は覚えれる。もうすぐ読み終わりそうだし、そろそろ本格的に魔法を教えてもらえるかな?あ、読み終わった。よし、先生に報告だ。
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「先生、リオルもう5日も書斎にこもりっぱなしですけど、何をさせてるんですか?」
「実の所私もこんなに彼が部屋から出てこないとは考えていませんでした。今、魔法関連の本を読ませているのですが、意外と早く覚えてくれるかもしれません。」
「あの子に魔法書を渡しているんですか!?それなら納得です。あの子多分一睡もしていないと思いますよ。昔から集中すると、絶対にやり遂げるまでは寝ようとしない子でしたから。」
「そ、そうですか。少々彼を見くびっていたかもしれません。」
「バタン!」
「せ、先生。魔法書1000冊全部覚えました!」
「せ、1000冊!?そんなによませていたんですか!?」
「ま、まあ。この子がどれくらいで投げ出すかで、教え方を考えようと思っていたのですが。リオル、さすがに5日で1000冊の魔法書を読み終えるなんて無理よ。嘘はいいからどれくらいまで読んだのか教えて頂戴。」
「いや、本当に読み終わりましたって。なんなら先生がテストしてくれても大丈夫ですよ。」
「へー、言うわね。なら基本問題から。人がそれぞれ持つ魔法属性で、生活、身体強化系魔法以外の基本属性を答えなさい。」
「火、水、風、土、光、闇。それぞれ火は土に強く、水は火に強く、風は水に強く、土は風に強い。また、闇と光は相互相殺の関係を持ちます。さらに上位クラスの使い手になると、水を氷に、風を雷に変える力を持つこともあります。属性は1人1つが定石ですか、稀に複数個持っている人もいます。基本属性はこの6つですが、家系や遺伝子の関係で幻血属性といい、特別な属性を発現させる人もいます。」
「素晴しい。120点の回答よ。次に魔法を発動する条件を答えなさい。」
「魔法は想像、発現、解放の三段階があり、特に想像は魔法を発動する上では最も大切とされています。どのような魔法を創り出すかを、頭の中で構成する必要があるからです。その構想が間違っていると、どんな魔法も発現しません。次に魔法の発現には詠唱を行います。この詠唱が魔法発動の鍵の役割をしています。自分に馴染んだ能力ならばこの段階を飛ばして魔法を発動する詠唱破棄が可能です。最後の解放は発現した魔法を標的に放つことで、距離をとるには相応の魔力量が必要です。」
「うん、満点よ。最後の問題。これが解けたら全て覚えた事を認めてあげる。では、超級魔法の詠唱を答えなさい。」
「火の精霊よ我は汝の力を借り天上の炎を司らん。火の神マルスより与えられし、火の加護を受け、この力を発動する。火属性超級メテオブラスト!これでいいですか?」
「本当に覚えてるみたいね。まさか5日で1000冊の本を覚えるなんてね。どんな脳の構造をしてるのかしら。じゃあ、明日からは魔法の練習よ。今日は取り敢えず寝なさい。顔がすごいことになってるわよ。」
「ホントですか!明日から楽しみだ。今日は大人しく寝ることにします。」
「ええ、そうしなさい。」
「クルーナ先生、魔法の練習で、リオルは怪我とかしませんよね?」
「それはなんとも言えません。魔法に危険はつきものですからね。もちろん細心の注意は払います。私を信じてください。」
「はい・・・。改めてリオルをお願いします。」
「任せてください!」