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「お兄ちゃん、おたんじょーびおめでとう!」
「ありがとなリナリー。」
「いやー、でも驚いたよ。私が仕事に行っている間にすごく賢くなっているんだからね。リオルはもう何でもできるな。」
「あなた、その言葉、家に帰ってくるたびに言ってますよ。」
「しょうがないだろ。家に帰ってくるたびにリオルが賢くなっているんだから。」
「ふふ、まあそれは否定できませんけどね」
「だろ?(笑)」
「いえいえ、お父様、お母様、僕なんてまだまだです。特に魔法に関する知識は全くと言っていいほどありませんからね。」
「リオル、お母様はやめてといつも言っているでしょ?それに魔法に関する本は、全て魔法化学園に貯蔵されていて、貴族くらいしか持てないのだからしょうがないわよ。ねぇ、あなた。」
「リオル、君ならそう言ってくると思っていたよ。だから君に素晴らしい誕生日プレゼントを用意したよ。」
「それって、まさか魔法書のことですか!?」
「いいや違う。それよりもっと凄いものだよ。いや、この言い方は失礼かな。実はリオルに紹介したい人がいるんだ。」
「紹介したい人?」
「そう、クルーナさん、入ってきてもらえるかい?」
「はーい。どうもご紹介にあずかりましたクルーナ・エバンスよ。」
「この人は宮邸魔術師長を務めてた、魔法の第一人者なんだよ。そして今日から君に魔法を教えてくれる家庭教師だ。」
「きゅ、宮邸魔術師長!?いや、それよりそんな人が僕の家庭教師でいいんですか?」
「元の話よ。今は現役を引退してるし、街で君のお父にあった時に凄い剣幕で頼まれたからね。こっちとしては暇だったし、衣食住も確保してくれるって言うから軽い返事で受けたんだよ。でも君を見て受けて正解だと思えたよ。」
「はぁー。あなたったら今日やたら元気だと思ったらそういうことだったんですね。それならそうと先に言っておいてくださいよ。クルーナさんの歓迎パーティーの準備、早速やらないといけませんね。」
「おかーさん。私も手伝う!」
「あら、リナリー。偉いわね。」
「よろしくな、リナリー。」
「うん!お兄ちゃん。」
「それで、クルーナさん、なぜ僕を見て、正解だと思ったんですか?」
「君、見たところすごい魔力量だからね。磨けばすぐに私なんかを追い抜く逸材だわ。」
「な?魔法書なんかよりも、素晴しいだろ?」
「はい!お父様ありがとうございます。」
「いいんだよ。私はリオルや、リナリーの為なら何だってできるよ!」
「いいお父さんをもったわね。これは期待にそった働きをしないとダメね。じゃあ、早速明日から魔法の特訓よ。覚悟しなさい!」
「わかりました!よろしくお願いします!」
「よろしい!ビシビシしごいてやるわよ。」
「お兄ちゃん、ガンバってね。」
「うん、可愛い妹の為にも頑張るよ。」
「えへへ。」
と、まあ、先生が来てから1日目は無事に過ぎていったんだけど・・・。