武闘大会の終わり。そしてなにかの始まり。
まずは軽くだと言わんばかりにエイブラムの連撃が始まった。
ルークはそれを軽く素手でさばきながらエイブラムに隙ができるのを待った。しかし待てども待てども隙は一向に見えない。
(無ければ作るしかないか。)
ルークは地面を踏み抜き飛び散った破片も割れた破片も全てエイブラムの方へと弾き飛ばした。
「ふん、下策だな。」
そういうとエイブラムは剣で払うように全てを斬り刻んだ。
観客には速すぎて一回斬っただけで全て刻んだようにみえたことだろう。
(まぁこんなんじゃ無理だろうけど連撃は止まった。)
そしてルークは物魔結界を発動させて攻勢に出て今度はこっちから連撃を仕掛けた。
エイブラムはルークの拳を剣一本で防いでいる。がやはり手数はルークのほうが上でじりじりとエイブラムが押されてきた。そしてついにエイブラムに隙を突き一撃入れることができた。
一撃入れると同時に剣で腹を斬られたが結界により阻まれた。
その後も一度同じような展開になった。
「じいさんそれは物理結界か?」
「さぁの、なんのことじゃろうか。」
「ふん、まぁなんだっていい叩き斬るだけだ。」
そういうとエイブラムの剣に白色の鋭い光を纏い始めた。
そしてまた同じように腹を斬られた。すると今度は結界が裂けてそれに気付かず避けていなければ危うく腹を斬られているところだった。
「ほほぉ、これは凄いな。」
「そいつぁどうもありがとよ!」
エイブラムがさらに加速して襲いかかってきた。
「速っ!」
ルークはそれを結界を解除して同じ様に気を纏い捌いていった。
「じいさんも気が使えるのか。だがまだ甘いな。鋭さが足りない。」
(くっさすがはSランクだ一筋縄では行かないか。)
「それはどうかのぉ?」
そしてルークの気は更に大きくなりエイブラムの気は更に小さくなった。
(小さくなった?)
「いくぞ!!」
スパーンという音がしそうなくらい小気味のいい斬れかたでルークの気は斬り裂かれた。
これもまた寸で躱したがかなり危なかった。
「今のは?!」
解析してみると気を凝縮して更に切れ味を強化しているようだ。
(なるほど気を凝縮か・・・。)
「ふんっ!!っていきなりできわけないよね。」
「さぁどうするじいさん!!」
「はぁ仕方無いのう。」
するとルークは帯電し始めた。
そして次の瞬間にはエイブラムの懐に入って電撃を浴びせて無理やり一瞬の隙を作り出した。そしてスキルを頂いてまた電撃を浴びせて今度は掌爆撃を放った。だがしかしその一撃は剣によって相殺されてしまった。
「ちっ!この技を使わされるとは思ってもいなかったぞ。」
「年寄りを舐めるからそういうことになんじゃよ。」
「ふん!そんなもんもう関係ない!」
エイブラムは今までで一番早い速度で突っ込んできた。
そしてルークはそれを食らった振りをして場外まで飛ばされたように見せかけてわざと負けを演出した。
「勝者!!やはりエイブラム!!」
ワァァアアワァァアアワァァアアワァァアアワァァアア
「くっ!今のは何だ!!やる気あるのか?!」
ルークは倒れたまま動かず答えずにそのまま待機し、そしてそのまま救護室へと運ばれていった。
(悪いことしたかな。でもあのまま続けてもろくな事にならなかっただろうしなー。)
そしてルークは救護室は運ばれている途中で起き上がりもう大丈夫ですからと言ってその場を後にした。
周りに誰もいないのを確認してから擬態でまた別の姿へと変えてまたリングまで戻って行った。
そこではすでにパーティの儀が行われていた。
形式的なものだが会場にいる人達に対してのアピールも兼ねているのだろう。
そうパーティ全員は今リングの上にいるんだ。




