悪党退散。
ギルドへと到着した。
受付で今までの経緯全て説明し証拠として襲われた時に暗殺者の持っていたナイフを提出して逮捕してもらうよう頼んだ。
ギルドから言ってもらったほうが握りつぶしなどもされないだろう。
それと同時にあることも尋ねた。
「すいません、一番偉い人にお話があります。さっきの件で他にも報告することがありますので。」
わかりました。といい少し待たされ奥へと通された。
ギルドマスターの部屋と書かれたドアをノックし中から返事が返ってきた。
「どうぞー。」
「失礼します。」
「私はここのギルドマスターのハウエルだ。」
「あっルークです。」
「それで他の話っていうのは?」
「一連の盗賊騒ぎの犯人から聞いたんですけどどうもギルド調査員のマットが情報を横流しにしてお金を受け取っていたそうで、さらに言えば他にも同じような事をしている人がいると言う情報がありまして。」
「あのマットがそんなことを・・・。」
「はいあのマットがです。そこでですが先にちょっとマットとお話がしたいんです。2人きりで。」
「うーん・・・。」
「・・・。」
「わかった。いいだろう手配しよう。」
そうして機会が設けられた。
そこそこ広くて座るところがある所と言うととある事務所の中に通された。
中には機材があり、物置として使っているわけではなかったのにいつのまにか物置になってしまっていたそうだ。
そこそこ広くて座るところがあるのはここくらいで他は全て使用中なのでここで我慢してくれと言われた。
色んなものがあった。
取り調べ用の嘘探知機、ギルドガードの発行や書き換え等を行うギルドカード編集機、危険な物を持っていないか確認する危険探知機などなどだ
もちろんスキルは取得。
そうして時間を潰しているうちにマットが部屋に入ってきた。
「よくもやってくれたな!」
「マット。お久しぶりです。」
「お前のせいで!捕まる上にあのお方にまで迷惑をかけてしまった!もう終わりだ!」
「あーその件なんですけどね。まうちょっとお話聞きたいなーって。」
「誰が言うか!」
そう言うと殴りかかってきた。
そういうことも見越して大きめの部屋を用意してもらった。ルークの読みはばっちりだ。
ルークは近付かれる前に少し強めに指弾を何発か撃ち込んだ。
「ぐががっ!」
次は左手を弱めに発電させ頭の上に乗せた。
「あがががががっ!」
効果はじゅうぶんだったようで、マットはヘロヘロの状態になった。
「で、他にあなたみたいなことをしてる人は?」
「へっ知るかよっ。」
そしてまた左手をさっきよりも強めに発電させて頭に乗せる。
「あがががががががががががががっ!」
「で、他にあなたみたいなことをしてる人は?」
同じ質問を繰り返した。
何度も、何度も、繰り返しついに7回目。
「わかった!言うから!言うから!もうやめてくれ!同じ調査員のアレンとエラリーだ。それから事務員のフレディとジョエルもだ。」
「他は?」
「いない!」
「それともう1つ、僕の情報は誰に売ったの?」
「それは・・・」
「んっ?」
左手をバチバチとスパークさせて脅す。
「わかっ!ちっ、勇者教団の連中だ。」
「ふーんなるほどね。」
「ほんじゃあ、さっきの話はギルドマスターに言っとくので。」
じゃあ。と部屋を退室した。
そしてギルドマスターへとそのことを伝えると、そうか。と短く呟きギルド内の悪党は全て一掃され、主さまも逮捕されたそうだ。
貴族だったそうだが爵位も剥奪され屋敷も取り上げられたそうだ。
「あーすきっきりした。これでもう当面は何も起こらないだろう。」
そうして村へと転移で戻った。
すると村では大騒ぎになっていた。特に母親が。
それもそうだ、死体があるわ荒らされているわ、息子がいなくなっているわということがあれば誰でも騒ぎ立てたくなる。
「ただいま。」
「ちょっと!どこいってたんだい!?」
ある程度事情を説明しなんとか落ち着いて貰った。
「そうかいそうかい。怪我は無かったかい?」
「特になにもないよ。それとお宝はやっぱり回収していくよ。代わりにこれ。」
お金を取り出した。
「別に元々いらないよ、お金に苦労してるわけでもないんだから。」
「ふーん、そっか。わかった。」
お金をしまった。
「それじゃあちょっとバタバタしちゃったけど行ってきます。」
「はいよ、行ってらっしゃい。まさたまには顔みせるんだよ。」
「はーい。」
家を飛び出し、風の迷宮の方へと向かい歩き始めた。
今度の移動は転移で向かうことにした。
転移と言っても一度行った場所ならば一瞬で転移できるが、行ったことのない場所は行けない。ただし、目に入る範囲は転移できるのでそれを使い高速で移動した。
そして休憩を挟みながら、野を越え、谷を越え、草原を進む、ここまでで5日ほどだ。本来なら8日ほどかかる距離を5日なのでかなり早い。
さらに草原の中を進んでいくと大きな竜巻のような物が見えてきた。
それは天まで届くほどで近付けば近付くほどとてつもない巨大さだということが分かる。
そしてついに安全圏の辺りまで近付いてきた。
この辺りまで来ると人が多くなってきた。みな同じように空から落ちてくるお宝や瀕死のモンスター狙いだろう。
「ついにここまできたかー。」
「坊主も空からの落し物狙いかい?」
「いえ、違います。」
「そうかいだったらいいけど。今はもう柄は悪いが運が悪いことに腕も立つ連中が独占してやがってな。文句言おうにも勝てる奴がいないから2日も独占されっぱなしなんだ。まぁでも落し物狙いじゃないなら関係ないわな。」
そう言い残しどこかへ去っていった。
そしてふと先の方をみてみると、同じ奴らが狩場を独占しているように見えた。
「あいつらどっかで・・・。あっそうかっ!」
村へ帰る途中に見かけた柄の悪い連中だった。
(これはお仕置きしないとな。)
そういい静かに近付いていった。
「おいガキ!ここは今俺達が独占してんだ!引っ込め!」
(狩場な独占は禁止ですっと。)
叫んでいる声の主の顔に拳が突き刺さる。どうやらちゃんと一撃で気絶してくれたようだ。
「おらぁーかかってこーい。」
緩く挑発しながらも、ボスの品格と鬼の気を纏って全力の威嚇をする。
全員が臨戦態勢に入った。だがこの程度のレベル帯はもはやルークの敵ではない、全員の顔に拳、または足、または膝を突き刺し全員気絶させ一纏めにしてそのへんに置いておいた。
ついでにスキルも取得した。
みていた周りの人たちも口々に感謝の言葉を告げて、落し物拾いの作業へと入った。
(これでよしっと。悪党は滅ぶべし。)
そしてまた入口をみた。
物凄い速さで風が動いていて、穴から飛び出してくるモンスターの速度も尋常じゃない速度になっている。
(ここ、入れるかな・・・。)




