最終決着!!?
先ほど師匠の残りのHPを確認し、残り1000を切っていることに気付いた。
「あと一息だ!」
気合を入れ直し、先ほどまでと同じ調子で、フェイントをかけつつ、右から胴目掛け、剣を薙いだ。
師匠の胴体に、直撃したかに思えた一撃は、胴を通り抜けた。
「えっ?!」
それを皮切りに、師匠の姿は、だんだん薄くなり、最後には、姿は見えなくな剣、だけが浮いている状態になった。
その剣も宙を舞い、壁に軽く突き刺さった。おそらく投げ捨てたのだろう。
「もしかして・・・これが霊体化か?」
ルークは、探知スキルを起動させると、位置は表示されているが、その位置を肉眼でみても、なにもみえなくなってしまった。
鑑定スキルで確認しても、霊体化と、霊剣が、使用中と表示された。
「勝負はここからってこと?」
探知スキルでは、こちらに近付いて来ているのを、確認できる。
霊体に攻撃するには、同じく霊体になるか、魔法を当てるか、弱点を攻撃するかが主に挙げられる。
「風魔法で削りきれるかな・・・。」
探知スキルで位置を、確認しながら、近付かないようにし、風魔法主体の攻撃に切り替えた。
ビュゥゥゥ! ガシャアアン!
音だけが、ボス部屋の中に響き渡る。
しばらくは、魔法で戦えていたが、ただでさえ少ないルークのMPは、すぐに底がみえた。
「MPが底をつきそうだ、ちくしょう・・・。」
ルークに残された道は、師匠と同じように、霊体化することだが、一度、霊剣をつくろうとして、失敗している。
「ぐっ!!いてっ!」
思考していて、位置から一瞬目を話した隙に、接近していた師匠に、左肩と左足を斬られた。
すぐさまそこから離れ距離をとった。
「やっぱり霊体に、物理結界は発動しないか。」
あてにはしていなかったが、やはり物理結界は、発動しなかった。
「斬られた時に、普通の剣で斬られる時とは、違う感じがした。」
その感覚の違いが、霊体化のヒントだと思い、その感覚を思い出しながら、霊体化のスキルを、発動させた。すると、目の前に、師匠の姿が再び見えた。
「成功か・・・。」
同じように、霊剣も作りだし、これで同じ条件だ。
お互いのHPを確認する。
ルーク残りHP 462。
師匠残りHP 621。
「決着をつけましょう。」
両者剣を構え、じりじりと、距離を詰めていく。
両者、お互いの剣が、届く位置にまでになった。しかし、まだ動かない。
その時、壁に軽く刺さっていた剣が、抜け落ち床へと落ちた。
サクッ
それを合図に、攻防は開始した。
まずは、師匠が先に動いた。
剣を、上から振り下ろしてきた。
ルークは、それを弾き、左足と、左肩を、斬りつけた。
それでも、一歩も下がらず師匠は、一刀連斬を使用し、こちらを攻撃してきた。
ルーク。同じスキルを使用し、迎撃したが、お互いに、2発ずつくらい痛み分けとなった。
ルークは、距離をあけようと後ろへ下がったが、師匠はそれを許さず追撃してきた。
「くっ!!ちくしょう!」
こちらのHPにも、余裕はないがあちらにもないはず。
同じスキルでは埒が明かない、そう悟ったルークは、霊剣を解除し、全力で距離を稼いだ。
そうして稼いだ時間でスキルを、合成した。
舞連踏斬+ 一刀連斬=舞連速刀斬
「よし!さぁこい!」
霊剣を作り直し、構えて叫んだ。
それに答えるかのように、師匠は、こちらに向かって走ってきた。
ルークも同じように、走り出す。
そして、お互いにすれ違うようにして、スキルを使い、斬りあった。
互いに背中を向けたまま、時間が過ぎた。
ガシャァン
勝ったのはルークだ。
「やったぁぁああああ!!!勝ったぞぉぉおおお!!」
ボスを、倒すと、真ん中の辺りに門のようなものが出現した。
「あれが地上へといける転移門か。あそこを潜れば戻れる。」
長かったダンジョン生活も終わった。
師匠の剣を壁際まで取りに行く。
「この剣は、貰っていきます。」
そう一応言い、門へと、一歩、また一歩と、近付いて行った。
そうしてさぁ入るぞぉと言うところで気がついた。
「ちょっとまてよ・・・、もしかしてこの門。」
門を鑑定してみた。
転移門
スキル
限定転移 Lv.MAX
説明
ボスを倒すと、出てくる門。
これを通れば地上に出られるもん。
「ほうほう。」
ルークは、ニヤニヤしながら、門のスキルを取得し、地上へと戻った。
門を通ると、光がつき、その光の中を歩いていると、いつのまにか地上へ、出ていた。そこにはなぜか、泣き崩れているキャサリンと、慰めているボブがいた。
そしてルークは、こう言った。
「2人共、こんな所でなにしてるの?」
「えっ・・・?」
「・・・えっ?」
「えっ?なに?」
「えっ?」
しばらくのえっ?合戦のあと沈黙が訪れた。
・・・・。
沈黙を破ったのは、あまり状況の飲み込めていない、ルークだった。
「・・・?じゃあ、僕は、街に戻るから。」
「「ちょっと待て!!」」
2人から一斉に、待ったがかけられ、心配したんだぞ!ということから始まり、1週間以上もなにをしていたのかとか、どうやって帰ってこれたのかとか、心配してたのが腹立ってきたー!とか色々言われた。
「全部、また今度、話すよ。」
「無事だったんだから、キャサリンもそれくらいにしときなよ。」
ボブもどこか、納得していない様子だったが、いつまでもぐだぐだ言っても仕方ないと思ったのだろう。
「みんなで街へ帰ろう、2人も疲れてるでしょ?」
「あぁ、そうだな。そうしよう。」
「・・・わかったわ。」
「しかし、ルークがなにか切り出すなんて、珍しいな。」
「男は、ダンジョンに潜ると、成長するんだよ。本に書いてあった。」
「なによそれ、アホらし。」
仲良く会話をしながら、3人は、街へと帰っていった。




