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星ノ子と天使ノ子

作者: Mark.Ⅵ.

 この天界では、現世で善良な行いをした死者がやってきます。

 人間も、動物も、等しくやってきます。

 天界には、死者を楽園へと導く使徒…天使がいます。

 天使は、天界を統べる神の従者の使徒なのです。


 ある時、小さな小さな子どものシャチが天界へとやってきました。

 シャチの導き手へと選ばれたのは、まだ幼い天使です。

 幼い天使は、これが初めての仕事でした。

 天使は内心でドキドキしながらも、シャチを楽園へと導きます。

 雲をジャンプして渡ったり、虹の橋を渡ったり。

 楽園に行く間にシャチと天使はとっても仲良くなりました。

 でも、楽園に着いたら別れなければなりません。

 それが天使の掟だからです。

 掟は必ず守らなければなりません。

 それでも天使もシャチも、別れたくありませんでした。

 ついに楽園へ辿り着きました。

 幼い天使はこう言います。


「怒られるのは私だけでいいから、これからも一緒にいよう。」


 シャチは心配そうな目で天使を見つめます。

 天使はシャチを優しく撫でながら言います。


「大丈夫だよ、見つからないように隠れていよう。」


 それで納得したのか、シャチは頷きました。

 それからずっと、たくさん、たくさん遊びました。

 お話ししたり、一緒に寝たり、時には喧嘩をして、それはそれはとても幸せな時間でした。


 でも、ある時見つかってしまったのです。

 シャチに渡すためのお花を積んでいる時に、楽園の様子を見にきた天使に見つかって幼い天使は、楽園から連れ出されてしまいました。

 まだ、さよならが言えてない、そう言っても、何一つ聞いてくれませんでした。


 それから、カミナリかみさまのかみなりの檻の中に閉じ込められ、長い長い時間が経ちました。

 檻から出され、大きい天使に連れられたのは、祭壇がある星空の間でした。

 祭壇の上に何かがのっているのに、気がつきました。

 天使は、恐る恐る祭壇に近寄ります。

 そして、天使の目から熱い何かが落ちました。

 祭壇の上には、ピクリとも動かない、小さな小さな子どものシャチが1匹、寝かされていました。

 そして、シャチの体は半透明で、溢れ出したキラキラしている生命のみなもとが、空に流れ落ちています。


 天界で死んでしまった者は、星に還ると言われています。

 天界は、本来は現世へ死者を新しい生命として送り出すところです。

 でも死んでしまった者は、星として世界と溶け合うのです。


 なので、もう仲良かったシャチとは、もう逢えません。

 また、あの頃のように遊ぶことはできません。

 幼い天使は、祭壇の下で、とても悲しみました。

 まるで、止まない雨のように。

 ずっとずっと、泣き続けました。


 ある時、キラキラと空が輝いた気がしたので、見上げました。

 幼い天使は初めて、キラキラした星に囲まれていることに気がついたのです。

 天使は思いました。


「まるで、海のよう。」


 星と星を繋げば、くらげができます。

 また違う星と星を繋げれば、シャチもできました。

 そして天使は気づきます。


「お星さまが、世界が、わたしを呼んでる。」


 きっとあの小さなシャチも、わたしを呼んでる。

 幼い天使が、キラキラと星が輝く空に手を伸ばした時、星空の間には祭壇と果てしなく広がる星空だけがそこにはありました。

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