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凍玻璃でできた水泡  作者: 西埜水彩
銀皀村にて、迷走
9/12

「とりあえず旧都へ行こう」


「そうもこね。銀皀村へ行く途中に旧都はあるもこ」


 ということで歩いて、初都から旧都へ向かう。


 初都から旧都へ行く間の人は大体和服だ。とはえい初都では古い印象を持つ柄が多かったけど、この道だともっと新しそうな柄もある。


 私が住んでいた冴夜村よりも、そして今までいた初都よりも旧都の方がもっと栄えているかもしれない。


「旧都は新都に負けず劣らず栄えているもこ」


「大きい街だ」


 私が住んでいた冴夜村とは比べものにならなくて、初都よりも栄えているのが旧都。


 ここから銀皀村へ行かなくちゃいけない。そう思いつつも、足がうまく動いてくれない。


 そこで近くの喫茶店で休むことにした。新都だとコーヒーやクッキーを頼むのだけど、旧都にはない。


「クリーム大福と抹茶、お願いします」


 ということでこれにしてみた。


 クリーム大福を何かは知らない。でもクリームは新都で食べたときにおいしかったから、これにしたんだ。


「クリーム大福と抹茶です」


 少ししたら店員さんが注文した物を運んできてくれた。


 和風テイストが強くて和っぽい店内で、私は初めてクリーム大福を見た。


 米で作られた生地に生クリームらしきものがくるまれているみたい。米で作られた生地が透けて、中に入っている物が見えるんだ。新都にはこういうお菓子がないから、新鮮。


 ということで食べてみる。


 ばくっ。そうしたらクリームがコクのある甘さ、あんこのさっぱりとした甘さがそこにはあった。ついでに米のもちもちとした味もする。


 うん、とてもおいしい。そこで大福を食べた後で、抹茶も飲む。とてもおいしい。さっきまでの甘さとうまく調和しているから。


 うん、クリーム大福と抹茶の取り合わせがとってもおいしい。


「今から銀皀村へ行くもこ?」


「そうする」


 旧都から銀皀村まで遠くない。なんせ短時間で行き来できる距離だから。


 そこで今から銀皀村へ向かおう。


 旧都から銀皀村までの道は、新都から冴夜村までの道と同じような感じがする。旧都っぽいおしゃれな服の人、そして銀皀村っぽい落ち着いた服の人。


「命の実が多いもこ」


 銀皀村に近づくと、命の実が増えていく。


 冴夜村とは比べものにならないくらい、たくさんの命の実の木がある。この村では命の実以外は作っていないのでは、そう思ってしまいくらい。


 そして命の実に埋もれるようにして、村がある。ここが銀皀村なんだ。


「こんにちは、新都の人がどうしたの?」


 後ろから声をかけられた。そこで振り向く。


 凝った髪型、そしてパステルカラーが特徴的な二尺袖と袴。少なくとも洋服姿の私と同じくらい銀皀村で浮いているのではないか? いや私は洋服だけど、この子は和服だから、和服の人しかいないこの村ではそうでないかもしれない。


「私は幼なじみを探しに来たの。普段は新都で暮らしているけど、別の村出身なんだ」


 話しかけてきた子は年が近そうだから、丁寧な口調じゃなくていいか。


「私は旧都の学園に通っているの。だから髪型は旧都で今流行のマーガレットだし、服も旧都風なの」


 話しかけてきた人は、私と同じく都の学校に通っているらしい。年が近い少女のこともあって、親近感がある。


「私は夜々(よよ)。よろしく」


 そこで簡単な自己紹介をしてみた。六神様のいる村だから、月場(つきば)とのつながりを疑われないように村名は言わない。


 新都の近くには村がたくさんあるから、言わなければどの村出身かは分からないはず。


「私はろいろよ、よろしくね。普段は新都で暮らしているけど、この村出身よ。それにしてワンピース良いな。新都の洋服かわいい」


「ありがとう。旧都の服もかわいいよ」


 冴夜村や銀皀村とは比べものにならないし、初都よりもおしゃれな和服。それは素直にうらやましい。


 旧都で服を買おうかな? 初都ではそんなこと思わなかったけど、旧都の服はおしゃれだからほしくなっちゃう。


「新都では洋服オンリー?」


「新都で暮らす人は和服なんて着ないよ。新都でいる和服の人は、ほかの村の人」


「そーなんだ。旧都にも洋服の人はほとんどいないから、お互い様かな。あと新都にはクリーム大福ってある?」


「新都にはクリーム大福や大福はないよ。クリームはあるけど」


 新都は新しい物好きということがあってか、外国の文化を多く取り入れている。それでこの国にしては珍しく洋風がメインで、和風とされる物がほとんどない。


 そこですべてのお菓子を知らない私でも、新都でクリーム大福がないことは断言できる。


「和のパフェも?」


「そうそう。そもそも小豆や抹茶を初都や旧都に来て、初めて知った」


「じゃあ新都の人は3食ハンバーガーで生活しているっていうのも、本当?」


 どこからその情報が出てきたのだろうか? そもそも新都以外ではハンバーガーって食べ物のことが知られていないはずなのに。


「それはうそ。よほどのハンバーガー好きじゃなければ、そんなわけない」


「じゃあ納豆って食べたことある?」


 なっとうってなんだろう? 知らない食べ物が出てきた。


「ない」


「旧都では普通だよ」


 このことだと、旧都ではなっとうは当たり前なんだ。


 とまあろいろと新都や旧都の話をするだけで、時間が過ぎていった。


「新都いいな。私も新都で生活したい」


 少し話した後、ろいろはうらやましそうに私のことを見た。


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