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凍玻璃でできた水泡  作者: 西埜水彩
初都にて、探し人
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「7月29日の記憶が六神、五神、七神の初都やしきの管理人から消えているのって、おかしい」


 七神の初都やしきからでて、始祖神様は首をかしげる。


「そうですね。3人とも7月29日に記憶がないのはあまりないと思います」


 私も首をかしげる。


「そうもこ。3人は別々の人間なのに、なんでそろって記憶がないもこ」


 もこはふわふわ浮いたまま、不思議そうだ。


「とはいえ7月29日の記憶は、八神様はあるみたいです」


 八神様は7月29日に月場と会っていないと断言していた。ということは7月29日の記憶が八神様にはあるってことだ。


「私も7月29日の記憶があるよ。六神が初都にいるのを見かけて、珍しいなって思ってた」


「六神様がいらっしゃったのでしたら、六神の初都やしきの人には7月29日の記憶がありそうです」


 なんせ初都に神がいらっしゃることは少ない。


 初都で暮らしている神はともかく、ほかの神は初都へ来ることはほとんどない。そして初都へ来た神は、初都やしきで泊まることが多い。


 そこを考えると、初都へ来た六神様は、六神の初都やしきへ行っているはずなのだ。そして六神の初都屋敷の人が、六神様が初都へ来たのを知らないのもおかしい。


 ちなみに神の集まりは旧都であるので、神様が初都へ行く用事は基本的にはない。始まりの都だからという理由で初都に神やしきはあるものの、基本的にはあんまり注目されてはいない。


 七神様も初都へ行くことはあんまりないはずだ。初都のやしきは使わず、好きな場所で暮らすのが神様にとっての当たり前だから。七神様は冴夜村でずっといて、たまに旧都へ行くくらいだった。


 そこは六神様も同じだと思う。


「あっ始祖神と冴夜村の子。何か手がかりがあった?」


 八神様がこっちに向かって歩いてきた。少し前にあったときと同じく青だらけの格好で、黒色の日傘を持っている。


「六神、五神、七神の初都やしきを管理している人が7月29日の記憶が無いの。それも月場がいなくなったとされる日ね」


「六神が記憶を消したんじゃない?」


 始祖神様の発言に対して、八神様が突っ込む。


「六神様が来た日と同じらしいですし、ありえるかもしれません」


 始祖神様は六神様が7月29日にここでいるのを見て、同じ日に記憶を失っている人がいる。それならとってもありえそうだ。


「六神様は記憶を消すことができますから」


 六神様は人の記憶をいじることができる。そこで記憶を消すこともできる。


 だとしたら六神様が月場を連れて行って、それを隠すために人の記憶を消したのかもしれない。


「だよね。六神ならやりかねん」


「そうそう。六神だもん」


 始祖神様や八神様も同意してくれた。


 ということは六神様がここへ来たのは本当なのか、それを調べよう。


「一応また六神やしきへ行くか」


 そう始祖神は言う。だけど記憶を消した証拠なんて見つかるのだろうか?


 始祖神様は私とは違って、神様の能力について詳しいはずだから、何か分かるのかもしれない。でも私にはその何かが想像もできない。


「そうですね。行きましょう」


 どこへ行けばいいのか分からないから、とりあえず同意する。


「頑張ってね」


 八神様はにっこりと笑って消える。


 八神様は移動する能力を持っている。そこで能力を使って、どこかへ出かけのだろう。


「記憶を消したのは六神だとしても、何のためにしたのかな? そもそも七神のところで働く人を誘拐するために記憶を消すとかもありえない」


「そうですね。月場は七神やしきの下っ端手伝いですから、さらうほどの価値はないはずです」


 月場は有名人でもないし、学歴が高いわけでも、特別な仕事をしているわけでもない。


 七神やしきで働いている単なる下っ端が、月場なのだ。そりゃあ八神様の婿候補になれそうなほど、イケメンではあるけど。


「六神は夫もいるし、愛人も何人かいる。だから七神につかえている人を連れ去る意味が分からない。間違いなく、七神よりも恵まれている生活をしているから、嫉妬もないだろうし」


「愛人が六神様に何人もいるのはびっくりです。七神様には愛人はいらっしゃいません」


 七神様は私のいとこと結婚している。そして夫以外の人と付き合っているという話は聞いたことがない。


「神様は愛人が基本いるよ。愛人がいない神は私、七神、八神だけだよ。ああっやっぱり時間が経っているから、分からないや」


「そうですね」


 六神の初都やしき周りに、六神がいたことをしめすのはなかった。


「これは六神様のいらっしゃる村に行くしかないようです」


 本当は初都でずっといたい。初都から出て、村になんて行きたくない。


 でも初都でいても月場に見つからないので仕方ない。六神様のいる、銀皀村へ行くしかない。


「六神様が今いらっしゃるのは銀皀村もこ。そこに行くしか、方法はないもこ」


 ふわもことも、六神様のいらっしゃる村へ行くことに賛成みたい。


「頑張ってね。月場とも会えるよ」


 始祖神様は遠いところを見ながら、そう答えた。


 ということで私は1人で、七神の初都やしきへ戻る。


 銀皀村までは旧都から30分歩く。そして初都から旧都まで2時間歩くから、合計2時間30分。冴夜村から急とまで5時間かかるのを考えたら、あんまり遠くはないかもしれない。


「きっと再会できるもこ」


 ふわもこはとても呑気だ。


 月場がいなくなり、初都から遠く離れ銀皀村にいるかもしれないってことをもこは信じているみたい。


「でも旧都じゃなくて、また村か」


 旧都は新都ほどじゃなくても、初都よりも栄えている。そこで旧都を調べたかった。でも六神様は銀皀村で住んでいるのだ。


 銀皀村には行ったことがないけど、冴夜村と似た感じでしょう。そう考えた私は気楽に準備する。



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