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凍玻璃でできた水泡  作者: 西埜水彩
銀皀村にて、迷走
10/12

「銀皀村はこの国で一番寂れた村だよ」


「いやいや私が住んでいた村と変わんないよ、あんまり」 


 ろいろにはそう答えた物の、銀皀村は冴夜村よりも寂れているところもある。例えばぼろい木材で作られた小屋。一応冴夜村にある家は、きちんとした木材で作られていた。


「あそこにあるのは物置小屋?」


「違うよ~。あそこにあるのは旅人(たびびと)さんの家」


 穴があちらこちらにある木を三角に組んだ、1人しか入れない小屋が家とは思わなかったから、びっくりする。


「ろいろちゃん、どうしたの?」


 無地の茶っぽい着物を着た人が、私たちのところへやってきた。この人は私やろいろと同じ年くらいの女の子だ。


「この人の幼なじみを探しているけど、それらしき人見た?」


「まーね。それにしてもろいろちゃん、旧都っぽくなったね。私は学校に通っているから、格好変えられないんだ。じゃあね」


 ろいろの質問には答えず、女の子は立ち去った。


「学校に行きましょう。小学校と学園が一緒になっているんだ」


「村の学園って気になる」


 私は新都の学園に通っているから、村の学園とは縁遠い。そこでろいろについて、歩く。


「ここが村の学校だよ」


 冴夜村の小学校よりも、少し大きい学校。ここが小学校と学園が一緒になっているらしい。


「銀皀村の人しかこの学校には通っていないから、ほかよりも小さいかも。寮もないし」


「銀皀村専用の学校ってこと? 学園って寮付きが当たり前なのに、そうじゃないのも珍しい」


 他村の学校に通っているってことはよくあるので、一つの村に住む人専用の学校って珍しい。


 何よりも寮がついていない学園も珍しい、学園に通う人は寮生活をするって決まりになっているはずだから。


「そうそう。銀皀村の人しか通わない学校だから、特例で寮がないんだ。まあこの村は別世界だから、他の人にはなじめないと思うから、これでいいと思うよ」


「その学校に幼なじみを探すヒントなんてある?」


 とはいえほかにツテがあるわけでもなく、私はただろいろについていく。


「こんにちは~」


 つぎはぎのある着物を着た女性に、ろいろが話しかけた。


「お久しぶり。旧都から帰ったの?」


「そうです。少し帰省しています。ところでこの人の幼なじみが見つかっていないのですが、この村では見かけましたか?」


「覚えていない。多分そういうことが気にできる状況じゃなかったんだ、多分」


「そうですか、ありがとうございます」


 ろいろが色々な人に話を聞いているけど、誰からも私の幼なじみの話を避けようとする。


 私の幼なじみの話題はこの村では駄目とされるのかな?


「学校から出ようか」


「それがいいかも」


 この学校は冴夜村よりも寂れている感じがする。


 冴夜村の小学校はこぢんまりとしつつも、きれいだったけど。ここはあちこち掃除が行き届かないみたいで、端っこの方とか汚い。


 それにここに幼なじみはいなさそうだ。寮のない学校で、小学校を卒業した男子をかくまいつづけるのは無理だろう。


「命の実が多いね」


「この村では命の実が大事とされているの。なんなら命の実以外は植えられていない」


「それは珍しい」


 冴夜村では命の実以外の物がたくさん植えてあったし、なんなら命の実だけを植えているのはあまりない。


 だって命の実はあんまりおいしくはない。生きるのに大事だけど、おいしさはないはずだ。


「珍しいよね。旧都じゃあさ、銀皀村じゃあ想像もできないほど食べ物の種類が多いよ。肉や魚が毎食のように出てくるのなんて、銀皀村にいたときは想像すらできなかったけど、旧都じゃあふつーだし」


「うらやましー。私が住んでいた村では、肉や魚は出なかったもん」


 新都では肉や魚出ていたけど、冴夜村では全く出なかった。初都でも肉や魚を見ることはあんまりなかったから、旧都は新都ほど栄えている街だろう。


「ここは光が多いね」


 建物から離れて、命の実が多い場所。そこではほかの場所では見たことにない、光であふれていた。


「そうそう。命の実が多いと、こんな光が出るの」


 水色の光はふんわりと地面から出ている。


 一つ一つ小さな丸みたいで、ぼんやりとした光。それらはそれに向かって、少しずつ登っていく。


「それにしてもいなくなった人いない」


 光から離れていくようにゆっくりと歩きつつ、周りを見ているろいろ。どうやら見覚えのない人はいないらしく、時々会った人と話している。


「本当だね。いない」


 月場らしい人はいない。月場は顔立ちが整っているのもあって、出会ったらすぐにわかりそうだけど。


「ここが六神様のやしきだよ」


「きれーな色」


 壁がきれいなオレンジ色で塗られている。こんな家新都にもないほど、派手できれいなやしきだ。


「ここで今日は泊まっていって。私六神様の妹で、ここに住んでいるんだ」


 いざとなったら七神の旧都やしきで泊まろうと思ったけど、誘われたからここの方がいいかな。


 それに銀皀村と旧都の往復の時間も節約できるし。


「ありがとう。六神様の妹なんて意外」


 ろいろは色々な人と話してはいたけど、六神様の妹っぽい偉さはなかった。そこでかなり意外だ。


「普段は旧都にいるから、銀皀村の人とはあんまりなじみがないのよ。じゃあ行こう」


 そこで初都やしきではない、神様が住んでいるやしきへ私は入るのであった。


 そういえば月場がいなくなったことに、六神様が絡んでいるんだった。だとすれば六神様と会うことが大事、なのかな?



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