しあわせの履歴書ー幸せになる覚悟を決めるまでー
しあわせの履歴書-幸せになる覚悟を決めるまで―
いけ蔵
新卒で5年間勤めた障がい者向け支援施設を退職した。はじめての社会人経験を学ばせてもらった法人でもあり、男性職員が少なく、働くママさんが多い職場だった為、いい意味でプライベートでの関係は無かった。
入職して、試用期間が明けるタイミングで地元の立川から、職場のある八王子に引っ越した。JR八王子駅の南口から5分ほどで付く5万円程の東向きの1k。バストイレ別な所がかなり気に入っていた。「意外と自分に合う物件もあるんだなと感じていた」
矢吹建一の職場は、どの建屋においても10分ぐらいで付く。正規職員として入職したため、パン工房にヘルプに行くこともあれば、ダウン症の方たちと一緒に作業をして、利用者の皆さんが帰宅すると、事務作業をして帰宅するというのが全体的な流れだ。
3年目になり時折、金銭的な管理が必要な利用者さんの代理人である、行政書士の先生が主に主任とやり取りをしている時に、同席させていただくことがあった。あくまでも見学の様な立場だった為、挨拶をして離れた席に座る。初めての事であるが、過度にメモを取りすぎると、利用者さんがびっくりしてしまうから、「矢吹さんはメモを取らなくていいからね」と事前に言われていた。
“あーイケメンだな”“同じ人間なのか”と思うぐらい、行政書士の矢吹修一はダンディなイケメンであった。次の日程などを主任と利用者さんと決めていた。しばらくは会うことは無いだろう。その時はそんなことを考えていた。次回の日程も必ず自分も同席できる訳ではない。当日のシフトや利用者さんの様子が不穏なら、現場に残るということになる、「また会えたらいいな」そんなことを思いながら行政書士の先生を主任と伴に見送った。
職場とは違うところで、再会することとなった。東京都社会福祉協議会主催の半日研修に建一は参加することとなった。有名な弁護士の先生が講師を務めるとの事。社会福祉法人は、職員にしっかりと研修を受けさせることにより、「福祉サービスの質の向上」に務めているという判断をしてもらえて、法人としても参加してもらいたいらしい。そして、建一目線で見ても、無料で勉強ができるからラッキーぐらいで参加していた。唯一の欠点としては、働くママさんが多いため、近くの養護学校の見学などにいけないところだろうか。「来年ね」と言われ早3年という感じだ。講義を聞くメンバーはおそらく東京都内の福祉施設に務めている職員だろう。初対面は苦手だし、報告書を書くときに楽なため、空席が目立つ二列目に着席する。トイレに立った時に、他の人よりも頭一つ分飛びぬけた、矢吹修一を見かけた。声をかけようか迷ったが、修一の方から声をかけてきてくれた。
「矢吹建一さんですよね。同じ苗字はめずらしいから印象に残っていて」
「矢吹先生お世話になっております、先生も研修に参加されるんですね。」
「今日の先生と知り合いなので、手伝い兼講義の内容も気になっていたので」
「席指定の無い講習で、前に座るなんで、まじめですね。この後は職場に戻るんですか?」
「半日の研修ですが、直行直帰です。八王子は遠いですもんね。」
建一はびっくりした。約60名はいる大学の大教室のような所で行われている講習。そして1度しかお会いしていなかったのに、よく席も含めて覚えていてくれたなとびっくりした。ノンケにときめくのはいい加減卒業しなければいけないが、なかなか難しいのが現状なのだろう。
午後の研修も15時には終わり、帰路につく。法人に最後まで講習を受けたことを証明するための電話をかける。壁の陰で電話をかけていると、
「矢吹さんご飯食べに行きましょうよ」と音が聞こえた。声をかけられたというには大きすぎる声。当然電話先の主任にも聞こえていた。
「横のつながりも大事だから行っておいで、」
「いつもお世話になっている矢吹先生なんですけど、平が一緒に行っていいんですか?」
「え、普通に良いでしょ。割り勘か自分で食べた分は自分で払ってね」
「わかりました」
そんな会話を横で見下ろす形で修一は聞いていた。
「黙っていれば、わからないのに」
「そんな器用なことは出来ないですよ。あとお誘いいただいて恐縮ですが、僕お酒飲めないので、小江戸屋とかでいいですか?」
「もちろんいいよ」「自分も家に帰ったら少し仕事するから」
茗荷谷での研修は、ごはん難民になりやすい。新宿に地下鉄で出て、京王百貨店のレストランフロアで食事をする。以外にも自分のお財布でも払える金額でホッとしたことを覚えている。
仕事の話でもなく、かと言って研修の話でもない
「矢吹さんは職場では建一さんと呼ばれていますね。」
「僕の職場だけかも知れないのですが、女性が多い職場だと、苗字が変わることが多いから親しみも込めて、下の名前で呼んでくれています。まあその中でも男性職員が下の名前で呼ばれるのは珍しいですけど、3年たっても一番の下っ端ですから(笑)」
そんな会話をして、建一は京王線で八王子に帰宅し、修一は事務所には帰らずに、小田急線祖師ヶ谷大蔵駅の自宅で仕事をするそうだ。そんな話を聞きながら、そんなプライベート住んでいる場所までも教えていいものなのだろうかと疑問に思いながら話を聞いていた。
名刺交換はしたが、プライベートの連絡先は交換していない。当たり前の事ではあるが、これでいい。憧れの人と食事を一緒にできたことだけでもうれしいことだ。それ以上を求めては辛いだけである。帰宅したらすぐにお風呂に入って、そして報告書をまとめよう。いつもなら報告書をまとめてから、お風呂など寝る準備をするが、今日はなぜか先にお風呂と思ってしまうぐらい。なんか倦怠感がある帰路であった。
小田急線では、約190センチの男が食事の事を思い出していた。少し遅めのお昼ご飯とも、早めの晩御飯ともとれる食事をした取引先の若手職員。おそらく165センチほど小柄な人だ。お酒は飲んでいないがアイスウーロン茶でお疲れ様の乾杯をした。自然と小柄な男はグラスを下げた。おそらく20代前半だと思うが、そういう古風な姿勢がどこか守ってあげたくなるし、また会いたいなと感じてしまった。
“いい歳して”、また“若い子”にときめくなんて、もしかしたら女性が多い職場だし、ノンケではない可能性もあるが、年齢差を考えると自分が恥ずかしいと思う限りである。
連絡先も交換していない。職場に行く機会もほぼない。
そんなに親しくもなく、なのにお互いに存在を気にかけている。不思議な両想いになっていた。
3度目の再会は思わぬところだった。建一は腐男子デビューをしていた。大学で仲良しの友人に誘われて、好きになるととことん一途。頭に馬鹿が付くほどに。そのため、いろんな作品を見たいというよりも、お気に入りのBL小説を見つけたら、その本をまるで受験生の単語帳の様にしてしまうぐらいだった。
今日は女友達に誘われて、初めての池袋に来ていた。“乙女ロード”を散策しているのである。正直人が多いことに驚いたし、出来たら実写版のコーナーが充実していればと思っていたが、見透かされたように、「執事カフェもあるし、コンセプトカフェもあるんだから、これからだよ。」と言われながら、歩いていた。ハロウィンが終わってまだ間もないが、キャラクターのグッズにはサンタやトナカイ。クリスマスツリーと映っている。缶バッチなども売ってあった。
そんなところでまさか、あの人に再会するとは、「あの人イケメンじゃない、建ちゃんの好きそうなスパダリ感漂うww」と言われた。自然と目をそらし、路地に置かれているガチャガチャに見て体を傾ける。
小声で、「お世話になっている行政書士の先生だから気づかれたくない」
「何、悪いことしたの」
「違うよ、福祉施設に来てくださっている先生」
「あー」
「でも、ワンチャン腐男子だったりして」
「あ、矢吹さん」
「お久しぶりです、先生、研修ぶりですね」
「俺も結構アニメとか見るんですよ。出来たら内緒にしてくださいね」と修一に言われた。
「では、」とお互いに会釈をして離れようとしたときに、
女友達が、「私たちもアニメ好きで、よかったらこの後一緒にコンセプトカフェ行きませんか?」
「じゃ、いこうかな、、、」すこし語尾の声が小さくなっていたが、しっかりと聞こえる声で言っていた。
美咲はこういう時に、すぐに人と仲良くなれてしまう。羨ましい性格であるが、お互いに腐女子腐男子なわけで、美咲の魂胆はすぐに気づいた。僕らで妄想をしている。
執事カフェへ美咲が予約人数の変更ができるかと電話連絡を行った。日曜日の夕方だったお陰か何とか変更を受け入れてもらえた。どこか別のカフェに行くには時間が短いし、並んで待つには時間が長い気がしたが、
「みんなで話しながら、待てば順番なんてすぐですよ」という、言葉でビルの2階で待つことになった。矢吹たちは初めてであったが、美咲は常連であった。おすすめの紅茶など教えてくれた。食べ物はやっぱりベターにオススメとうたっている、アフターヌーンだろうということになった。
完璧なテーブルマナーでは無いが、ナフキンで口を押える姿がなんかエロいと思いながら修一は見つめていた。そして、美咲は妄想モード兼壁モードに突入していた。
なんせ、初めて見たこの矢吹修一という男は、ここの執事よりも執事のコスプレが絶対に似合う。もちろん執事なら同じテーブルで食事をすることは出来ないが、私服のジャケット姿。
一方、建一は今風な少しタイトな薄手のセーターを着ている。コートは入店時に預けた。うまく言えないが、世間知らずなお坊ちゃまが、わがままを言って、外の世界を探検するために、私服で護衛についている執事のような感じがたまらない。
美咲が見過ごすことは絶対にない、建一のテーカップが空き、ティーポットカバーを外した時、ティーポットの向きを変え修一が注いだのだ。そして、建一はお礼を言うことは無く、自然と紅茶を飲み、スコーンを口に運んだ。そして、建一ではなく、修一がティーポットカバーを元に戻す。この時、美咲はうれしさと驚きでいっぱいだった。
建一は、お冷をついで貰う際にも必ずお礼を言う。その他にも乾杯の時にはグラスを必ず下げている。大学時代は世間知らずなお坊ちゃまみたいと男子からは陰でからかわれ、女子と一緒にいることの方が多いような人だ。まして今回同席しているのは、日頃お世話になっている行政書士の先生となると、“まるで本当は付き合っているか”、もしくは“緊張しすぎて頭の回路が遮断されている事”しか考えられない。回路が遮断されてしまうほど好きなのだろうか。そして、この先生自身も無言で紅茶を注いだのだ。
タイプの違うイケメン二人のこの様子を見れただけで、ここのお代は全部私が持っていいと思うほどであった。そして、3人が案内されていた席はいわば“華席”一番目立ってほしいお客様だったのであろう。他の席の女性客、荷物などはオタ活感のあるものは無いが、絶対に腐女子だ。あたしと同じことを考えていると思っていた。
「紅茶は久しぶりに飲んだので、少し失礼します」と低めな声がテーブルに響いた。
その言葉に一番安心したのは紛れもない建一だ。まるで背骨が抜けたように背もたれに腰が吸い込まれる。
「僕のタイプ知っててやったでしょ」
「何言ってんの、建ちゃんだって、注いでもらった紅茶無言で飲んで、先生の事振り回してたでしょ」
全く覚えていない。顔面の血の気が引いた。できたら好印象な自分でいたかったのに。
そして、会計時に使う番号札が無いことに気が付いた。
修一が戻ってきたタイミングで尋ねる。
「先生、僕たちがお誘いしたわけですし、自分たちの分はしっかりと払わせてください」
「二人の休日にお邪魔させてもらって楽しかったから、では、次回は二人に払って貰うということでどうだろうか?」
「じゃ、グループトーク作りませんか?」美咲が言う。
その言葉に、「俺詳しくないからやってよ」と修一が自身のスマホのSNSのホーム画面を出した状態で、建一に渡す。自分よりも10歳ぐらい上ぐらいだろう、そんなに出来ないものなのか?不用心だなと思いながら。
「先生、この人型とプラスの記号を押してください。そして友達追加を押してください」
修一と建一が友達になっている間に、美咲がグループトークを作り、建一を追加し、建一が修一を誘い追加した。
みんなでスタンプを送りあい、つながっていることを確認した。
明日は月曜日みんな次の日に仕事があるため少し早めにお開きとした。
二人の親密な出会いは不思議なぐらい“フワフワ”と、でも着実に仕事抜きの場所で会うなど親密になる気がしていた。
35歳にもなると周りは結婚をしている人が多い。数少ない法学部からのゼミ仲間の女性陣の既婚率は100%であった。もちろん結婚こそがすべてではないが、4歳年下の妹も結婚をしている。そして何よりも自分自身がゲイであったとしても結婚もしくは結婚に似た制度を利用して、幸せになりたいと考えている。制度を利用しなくても幸せの人たちはかなりいるだろう。でも30歳を過ぎたころ、おそらく今の建一ぐらいの年だっただろうか。
「自分だって幸せになる権利はある」「自分だって、好きな人を大切な人たちに紹介したい」という気持ちが強くなった。まぁ当時の修一の欠点としては、想いは強かったが、相手がいなかったことだろうか。
35歳、事務所も色々と詮索をしてくる。決して自分のプライベートに興味がある訳ではないことは重々知っている。ただ、いくら親がボスだとしても、「このまま仕事一筋なのか」「それとも独り立ちの準備をしているのか」それによっては、事務員さんに任せる仕事や今後の採用などにも関わってくるため当然なのだが、一緒に幸せを一生経験してくれる人に出会うまでは、カミングアウトは出来ないと考えている。幸い、自分の男友達となると、結婚していない人も多い。そして、女性からもそれなりにお声がかかる。決して女性になびく事は無いが、それでも悪い気分はしない。
相手を気付けない為の言い訳の「過去に失恋しているので、今は一人が気楽なんです。将来の準備もできるので」というセリフを何度言った事か。それでも何度も「私も過去の恋愛を引きずっているから素敵な人を探しているんです」とそれでも立候補してくる人には「素敵な人がいたら、自分から立候補しますけどね」「今はその時ではないと神様が言っているんですよと思うようにしてます」と自分から防火シャッターをすぐに下ろし、危険性が無くなったらすぐに上げるという人間関係を継続してきた。
福祉業界の結婚適齢期は少し特殊な気がする。早めかもしくは晩婚かの二択のような気がする。3年目になり、大学時代から付き合っていた恋人がいる友人は結婚を決めたし、高卒で働いている友人はもう既に保育園の子供がいると、別の友人経由で連絡を貰うくらいだ。
まるで自分のさみしい気持ちを見透かされているかのように。でも26歳で経験が無いとなると、妥協したくないという気持ちが強くなる。今まで好きになった人がいないわけではないが、告白をしたいと思えるような、すべて投げだしてでもいいから、想いを伝えるという心が揺さぶられる経験がない。そんな経験はBLの世界で十分なのだ。いつから自分がBLに興味を持ったのだろうか?
中学生の時に少し年の離れた女子高に通っている姉が、地上波デビューしたてのアイドルのオフの様子を写した動画を見ながら、「この二人付き合っているのかな」「恋人かよ」などと言いながらスナック菓子を食べていた姿をダイニングテーブルでアイスを食べながら聞いていたのを今でも覚えている。
「BLというものが女性にも人気なんだ。」「女子高だからかな。」「僕がゲイだと伝えたら壊れてしまうのかな、芸能人という他人だから許されても、身内なら話は別かな」などと考えていた。
すべてを失ってもいいと思う片想いは26年間生きてきて一度も経験が無い。素敵な人ができたら、姉にだけは報告をしようと心に誓ったが、一向に相手が現れるわけもなく、気が付いたら26歳。知的障害を持っている利用者さんからは、「なんで矢吹さんは奥さんがいないの?」とドストレートなボールが飛んでくる。
もう慣れたけど、「もっと夢見させてよ」と思えば思うほど、ノンケへの恋心が強くはなるが決して一線を越えることは無い。BLのきれいな世界。アダルトな映像とは違う。女性が見ても不快にならない非現実の世界から抜けたくないと思いながら日々を過ごしていた。
仕事をする上でたまたま、出会い。休日にも出会い食事をする。とても不思議な相手。
あくまでも同じオタ活仲間。でもお互いに美咲のおかげで連絡先は知っているという不思議な関係。恋に発展してほしいとお互いに想いながら、なぜか知らないが、箇条書きのメッセージだけが続いている。
「今度、新車が納品されるから楽しみだ」
「すごいですね。お車好きなんですか?」
「運転が好きなんだ。高速はもちろんだけど、駐車しづらい駐車枠に一発で止められたときの快感が最高」
「ゴールドの初心者なので、わからないです。(笑)」
友達にしては車というお金が関わる話をしている。
恋人にしてはなんか、他人行儀というなんとも言えない空気感に、建一は寂しい思いと、これがこのまま続くなら、それもいいのかも知れないと思うようになった。
壊れるぐらいなら、避けられるぐらいなら、このままで居させて、メッセージだけでいい近くに居たい。
そばに居たいという気持ちが強く、独占力ともいえるのかも知れない。こんなにも子供が駄々をこねるような気持ちが心にあるなんてびっくりした。
進むときは自分でもびっくりするぐらい進展するものである。
新車の話は聞いてはいたが、でもだからと言って、デート?のような約束をした覚えはないし、ましては自分には好きになった人はいたけど、付き合いをしたことは無い。それ以上の関係ももちろんない。
スマホのメッセージが通知される、修一からだ。
いつものように自然とメッセージを開く、当然“既読”がつく。
そして、既読をつけたことに焦りを感じて、スクショを撮る。
送り先はもちろん美咲だ。
既読の表示とともに、電話が鳴る。
「ただの、ドライブデートの誘いでしょ?のろけ話聞かせてね」
「付き合ってないし、今までは現地集合現地解散だったから、迎えに来てくれると言われてどうすればいいの?」
「日程調整して、行先は矢吹先生に任せればいいじゃん、建ちゃんなんで、人の恋愛相談はしっかりとのれて、自分の事は出来ないの!!」
そんな野次のようなセリフを言われながら、
空いている日程を報告する。
自分が住んでいる八王子。そして修一の自宅がある祖師谷大蔵。車を仕事でしか運転しない建一にもわかる。かなり距離があることを。9時には迎えに行くとの事だ。
そして葛西臨海公園に行こうと誘われた。「運転が好き」ということで、お言葉に甘えることにした。期待しすぎるのはよくない事なのかもしれないが、一番に助手席に乗せてもらえるのは、うれしい限りである。建一自体は父親が車好きなので、新車をわが家に迎え入れると、進んで家族で遠出に連れてって貰った記憶がある。
八王子の自宅近くのコンビニの駐車所を、「彼を待つ」
ドライブだからお菓子だろうか?それなりの距離だからお弁当のようなものを買うべきかなと思いながら、待っていた。
この気持ちを伝えて、次のステップに進むために、もし玉砕でもいい。
せっかく2人きりになれる環境が今から用意されているのだ。自分なんかなんて思わずに、幸せになる覚悟を決めるんだと心に決めた。