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すると、兄が一人で僕の部屋に入ってきた。
僕は兄に言う。
「兄さん、腰、大丈夫?」と。
兄は、そんな僕に言った。
「痛いといえば、まだ、痛いんだが、
兄は、それより、おまえに、伝えたいことがある…。」
「なに?」
「…実は、俺、今日この1日を無限にループしている…。」
僕は、続きを待った。
兄は、言う。
「おまえの部屋を出たら俺は、己の部屋で就寝するが目覚めると、また『今日』なんだ……その暮らしが、もう10年くらい続いている…にわかに信じてもらえないだろうがな…。」
「そりゃそうだよ、兄さん!腰も痛いんだろうけど、兄さんは精神も参っているんだ…。とにかく休みなよ、兄さん。」
それで、
兄は僕の部屋を出ていくと思ったが、
まだ、
僕の顔を凝視して
話を続けた。