正体
石レンガで敷き詰められた地面の上にある椅子に腰を掛けとある人物を待っていた。
「やっと来たか。大丈夫か?」
俺は魔法病院から出てきた仲間に声をかけた。
「ああ。おかげさまで。ほんとにありがとう。あと少し遅れてたら手遅れだったらしい。じゃあ俺あ帝国に戻る」
「ああわかった。帝国は現在戦争中だ。気をつけろ。嫌な予感がする。」
「いやな予感?なんだそれ」
「気にするな。ただの感だ。」
「はは、お前の感はよく当たるからな。気に留めておくよ」
「ああ、そうしてくれ。」
そうして仲間は帝国に転移で戻った。
じゃあ俺は戦争の偵察してこよう。
ーーーーーーーーー
ふぅ。
成功だ。
帝王の自室に転移することに成功した俺は部屋を出て出口へと向かっていった。
音魔法でこの城の内部は完全に把握してあるので迷うことはない。
出口の外は緑で埋め尽くされた庭園だった。
俺はアーチ状のつるの中を通り音のするほうへと向かった。
「帝王様!帝王様!」
ん?
誰かが呼んでるな。
「なんだ。」
「何か不吉なものが帝国へと接近しています!説明するのが難しいので見に来ていただけますか!」
「ああ、わかった。ついていこう」
そういうと俺に話しかけたやつは走り出した。
「な、なんだこれ。」
俺がついた先にあるのを一言で表現するならば"地獄"黒っぽい赤色の煙がとてつもなく広い範囲に広がっている。
これは猛毒だ。
ドロドロした黒い液体は重力を無視するかのようにすべてを包み込む。
ありえない。
そして一番恐ろしいのは地獄の中心に何かがいることだ。
人の形をしている。
おそらくあいつが元凶だろう。
どうしようか俺が悩んでいた時に俺を連れてきたやつが何かをつぶやいた。
「おそらくあれは…………ま、まさかな。そんなわけ」
「なんだ?何かわかったのなら言え。」
「わかりました。俺はあのようなものを本で見たことがあります。俺は魔界に存在する魔物です。伝説上の魔物。魔界とはこの世の理から外れた場所です。この世界の常識など通じない。そんな世界にいる魔物がこの世界に来たようです。」
「悪魔……か」
「悪魔ですがあれはその最上級。上級悪魔を超える存在。最凶の悪魔。デーモンロードです。」
「勝算はあるか?」
「ないです。もし勝算があるとするならそれはただ一人。」
「だれだ?いってみろ」
「条件があります。スパイ。」
「気づいてたのか」
「はい、その人とはハル様です。本当の帝王様。」
「わかった。村長に伝えておこう。で、条件とはなんだ?」
「とらえられた帝王様を返していただきたい。」
「それも含めて村長に伝えておこう」
「感謝する。」
「じゃあお前は時間稼ぎと帝国民を避難させろ」
「もちろんだ」




