1話 突然現れた女神
この地はカハサリン。
3年以上雨が降っていない干ばつの大地。
ここでは水が高値で売買されている。
近くに町はないので貧乏人は遠出もできずに困っている。
「ノドが乾いた、どなたか水を・・・・・・」
老人がそう呟く。
しかし、誰も耳をかさない。
誰もが水を欲しいのだ。
もうこの土地に未来は無い。
『・・・・・・』
そんな地に女神が降り立った。
『水の神ポセイドンよこの恵まれなき大地に祝福を』
そう杖を持った少女がぼそぼそ言うと杖が光を放ち、天に指し空が曇天になった。
ポツポツ。
なんと空から冷たい水滴が落ちてきた。
「雨だ!!」
町人の一人がそう言うと町は歓喜に沸いた。
少女の杖から光が放たれたのを見た町人が彼女に感謝を言うが。
彼女は軽く頭を傾けるだけで何も言わなかった。
それでも町人はとても喜んでいた。
彼女がひっそり町を去ろうとすると。
『へぇー、面白い能力持ってるね。そして、それが君の代償かい?』
『!?』
そこには黒マントを羽織った男がいた。
『君の能力は気象を操ることだね』
そう黒マントの男は言った。
『そして、君の能力の代償は・・・・・・』
男は続けて言った。
『聴覚を失うことだね』
『!?』
少女は驚いた。
『さっき町人からの感謝の言葉に対して頭を傾けることしかしなかった。それに詠唱をはっきりさせた方が具現化させやすいのに、ぼそぼそとしか唱えてなかった』
『だから君は聴覚を失っていると思った』
『・・・・・・じゃあ、なんで私に話しかけられるの』
少女は久々に人に話しかけた。
『そう、聴覚を失っているのになぜ話しかけられたのか?それは・・・・・・』
『俺は脳に直接思念を送れるからだ。テレパシーとも言うね』
男は続けてこう言った。
『だから君の声も聞こえる、ただ能力を持った人にしか話せない。だから普通の人には普通に話かけようとしてもこの呪縛のせいで話しかけられない』
『・・・・・・そうなの』
『だから俺も久しぶりに人と話せて嬉しいよ。ちなみに俺の名前はアクス』
『・・・・・・私の名前はレイン』
少女はか細い声音で言った。
『俺はこの呪縛を解くために旅をしているんだが一緒に来るか?』
『・・・・・・うん』
こうしてレインとアクスの旅が始まった。
レインとアクスは15歳です。
レインは雨が好きで、アクスは斧が好きです。
安易に名付けてないよ!?