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謝罪

 ルーメン帝国は魔法大国と呼ばれるエスポワール王国でも迂闊に手が出せない相手だ。

魔法技術では圧倒的に我が国が上だが、ルーメン帝国はとにかく規模が大きい。どんなに魔法技術に優れていても、数の暴力には敵わなかった。

と言っても、ルーメン帝国とエスポワール王国が本気でぶつかった事は、一度もないが……。


 まあ、とにかく我が国でも迂闊に手が出せない相手にカラミタ王国が敵う訳がない。リナさんが今やっていることはカラミタ王国を滅亡へ誘う行為に等しかった。


「で、貴方は誰なのよ!?私にこんな無礼を働いたのだから、きっちり責任は取ってもらうわよ!」


「責任、ねぇ……はたして、責任を取るべきなのは私なのだろうか?」


「はぁ?何言っているのよ!?私は王女よ!?王女の体に勝手に触れたんだから、責任を取るのは当たり前でしょう!?事と次第によっては即刻打ち首にしてやるわ!」


「打ち首……出来るといいね?まあ、無理だと思うけど」


「な、何ですって!?」


 無知を晒すリナさんに対し、オリヴァー様はクスクスと笑みを漏らす。

彼の笑い声が癪に障ったのか、リナさんは顔を真っ赤にして口を開くが────彼女が何か言う前にオリヴァー様が声を発した。


「もうそろそろ、この茶番にも飽きたし、私の正体を明かすとしよう。私はオリヴァー・ランドルフ。ルーメン帝国の皇太子だよ」


「ルーメン帝国の皇太子……?」


「な、なっ……!?オリヴァー様だと!?」


 オリヴァー様の自己紹介を得て、コテンと首を傾げるリナさんと、目を見開くカーティス様。

リナさんは事の重要さを理解していないようだが、カーティス様は瞬時に全てを察した。

そして、躊躇なくガバッと頭を下げる。


「オ、オリヴァー様!我が妹が大変な失礼を……!!本当に申し訳ありません!!」


「え?どうして、お兄様が謝っていますの?相手はただの皇太子でしょう?」


「ふっ……ふははっ!ただの皇太子と言われたのは生まれて初めてだよ。君の妹はかなり世間知らずだね」


「も、申し訳ありません!後でしっかり言い聞かせておきますので……!!」


 深々と頭を下げるカーティス様に、オリヴァー様は哀れみの目を向けるものの……その瞳の奥には軽蔑が込められている。

妹と性行為に及んだ男というレッテルは、そう簡単には剥がれなかった。


「君が謝るべき相手は私ではなく、婚約者のニーナ王女だと思うけど……大国の皇太子には頭を下げられるのに、裏切ってしまった婚約者には頭を下げられないのかい?」

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