表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

22/37

怒り

 ……こんなことが出来るのは、あの人しか居ない────『魔導王』と恐れられるあの人しか……。


 タラリと冷や汗を流す私は、恐る恐る父の方に目を向ける。

そこには、案の定とでも言うべきか……憤怒の炎に燃えるネイト・ホールデンの姿があった。


「貴様の愚行は報告で聞いていたが、まさかここまでとはな……私の愛娘を『芋女』呼ばわりするだけでは飽き足らず、あまつさえ殺そうとするとは……さすがの私も堪忍袋の緒が切れたぞ!」


「きゃっ!?何これ!?」


 珍しく怒りを露わにする父は、風の魔法でリナさんを宙に浮かせる。

魔法を間近で体験するのは初めてなのか、彼女は空中でジタバタと暴れ回っていた。


 不味いわね……。

お父様は普段全く怒らない分、一度怒ると手がつけられなくなる……。家族や家臣に手を上げることはないけど、気に入らない相手には何をするか分からない……。


「どいつもこいつもニーナを馬鹿にしおって……!絶対に許さん!」


「ぐっ……!は、離して……!」


 胸ぐらを掴まれるような状態で宙に浮くリナさんは、苦しそうな表情を浮かべる。

だが、父の怒りはまだ収まらない……。


「離して欲しい?ならば、お望み通り離してやろう!ほれっ!」


「きゃっ!?」


 何か投げるような動作をすると、リナさんの体は遠くへ投げ飛ばされる。

ろくに受け身も取れず、壁に激突した彼女は涙目になりながら、その場で蹲った。

痛みのせいなのか、はたまた恐怖のせいなのか彼女はもう喋らない。

静かになったリナさんの姿に満足したのか、父はカイル陛下に視線を移した。


「私の娘をさんざんコケにしてくれたな?カイル・キャンベル……」


「は、ぇ……ぁの……」


「婚約も平和条約も全て無効だ!そちらがその気なら、我々エスポワール王国は一ヶ月後に戦争を再開させる!我が娘と我が国を甘く見た罪、その身で償ってもらうぞ!」


「ひぃっ……!!そ、それだけはご勘弁を!」


 カイル陛下は崩れ落ちるようにソファから降りると、床に額を擦り付けた。

どこまでも情けない彼の姿に、私と母は溜め息を零す。

『王としてのプライドはないのか』と呆れ返る中、父は怒鳴り声を上げた。


「我々は何度もチャンスを与えてきたつもりだ!それを無下にしたのは、貴様らだろう!今更、懇願されても遅いわ!」


「そ、そこを何とか……!!」


「くどい!男なら、いい加減腹を括らんか!」


 必死に食い下がろうとするカイル陛下の態度に、父の怒りはヒートアップしていく。

そして、テーブルの上に一枚の紙を叩きつけた。


「婚約解消の書類にサインして、即刻この場を……いや、我が国を立ち去れ!」


「ひぃぃぃいいいい!どうか、それだけはご勘弁くださ……」


「────その書類、私が書きましょう」


 顔面蒼白で懇願してくるカイル陛下の言葉を、誰かが遮った。

諸事情により、今日から一日一回更新に切り替えます。

(23時45分の更新が無くなります)


本作の更新を楽しみにしていた方が居たら、申し訳ございません┏○ペコッ

気長に更新を待って頂ければと思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ