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作戦会議《カーティス side》

 は、母上に嫌われてしまった……いや、軽蔑されたと言った方が正しいだろうか?まあ、なんにせよ……悪いのは僕だ。母上を責めることは出来ない……。

それでも、やっぱり実の母に拒絶されるのは辛いけど……。


「ケイトのことはとりあえず、放っておくとして────カーティス」


「は、はい!父上!」


 突然名前を呼ばれた僕は、慌てて顔を上げる。

怯えた様子で身を固くする僕に、父上は呆れたように溜め息を零した。


「恐らく、近日中に我が家とホールデン王家との話し合いの場が設けられる。そこでお前とリナの関係について、言及されるだろう。だから、とにかく知らぬ存ぜぬで押し通せ。どうせ、相手に証拠はないのだ。リナの妄言だったと証言すればいい」


「わ、分かりました……ですが、リナはそれで納得するでしょうか?無駄に正直……というか、嘘を吐けない子なので『妄言なんかじゃない!』と否定するのでは?」


 リナは僕のことが大好きだから、事実を否定されれば、きっと激怒する筈だ。たとえ、それが嘘だったとしても……。

昨日のようにまたペラペラと詳細を話されては、困る。


 一抹の不安を覚える僕に、父上は『大丈夫だ』と言うように首を横に振った。


「話し合い当日は適当な理由をつけて、リナを欠席させる予定だ。だから、失言をされる心配はない」


「そうでしたか……なら、安心です」


 僕がホッと胸を撫で下ろす中、父は言葉を続けた。


「とりあえず、婚約解消だけは絶対に阻止せねばならん。結婚式中止についてはこちらに非がある故、舐められない程度に下手に出ろ。分かったな?」


「はい、父上」


 ニーナは最初から僕に親切だったし、大なり小なり好意を抱いていることだろう。そこを上手く利用すれば、破談は何とか避けられる筈……。


 ─────と呑気に考える僕だったが、後日現実はそう甘くないと思い知らされることになる。

何故なら、ニーナは─────僕のことなんて、これっぽっちも愛していないから。彼女が僕に親切にしてくれた理由は、愛なんて美しいものではなく、ただの同情心。


 そんな大きな勘違いにも気づけず、僕は父の命令に盲目的に従った。

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