壁に咲く、運命の一輪の花。
月明かりが夜を美しく魅せる、満月の日。
いい歳になっても浮いた話がない私のことを心配した父が、舞踏会を開いた。
城に集まる美しい女性たち。
色とりどりの煌びやかな衣装がふわふわと揺れてる。
その様がまるで咲き乱れる花のようで。
私はぼんやりと、その美しい花々を見下ろしていた。
すると、後ろの壁のところ。
壁に咲く一輪の花。
一人佇む女性。
ドレスとはとても呼べない、みすぼらしい格好をしていた。
けど…なぜだろう。
その女性を見つけたとたん。
『彼女だ』
と、心が叫んだ。
まっすぐに、その女性のもとへと向かう。
すると、城の者がその女性に無礼なことを言っていた。
私はその城の者に下がるよう怒鳴り、そして。
「私と踊ってほしい…」
その女性に手を差し出した。
その女性が。
常に私の隣に立つ、美しくて愛しい妃となるなんて。
その時はまだ、知るよしもなかった…
これを詩と呼んでいいのやらです。
あなた様の刹那の時を下さり、ありがとうございます。