7 悪魔の一目惚れ
それは大林たいがという男が『スダ高の天使』と呼ばれるようになる前の、新入生オリエンテーションの日のこと。
初登校の初日から既に一際目立っていた彼は、しかし周囲の興奮気味の目も気にすることなく堂々と歩いていた。
その姿はまるで下界に舞い降りてきた天使のようであるが、彼の性格をよく知る家族からは「悪魔」
のようだと言われているのを誰も知らない。
「おはよ!たいちゃん!高校でもよろしくな!一緒のクラスだったらいいなぁ~」
「おー」
中学の時からの知り合いに適当に相槌をうちながら、クラス分けが貼り出された掲示板の前に来た。
「あ、俺たいちゃんのクラスも見てきてやるよ!」
「頼むわー」
顔を照れ照れさせながら新入生の群れを押し分けていった中学の知り合いに適当に返事をし、ふわぁと欠伸をする。
なんとなく目の前の掲示板に群がる生徒たちを見ていると、不意に背の高い女に目がいった。
(でっけー)
その女子生徒はたいがより20cmは身長が高そうだ。
お尻も大きめで、他の女子より短めのスカートからスラリと長い足を晒しながらもじもじと動かしている。
(エロ…)
と内心思っているとは露にも思わないほど清純な顔をしながら、たいがはその女子生徒(の体)をしばらく眺めることにした。
その女子生徒は掲示板に貼り出されたクラス名簿から自分の名前を必死に探していたが、新たにクラス名簿を見に来た生徒が後ろに連なりはじめると、自分の大きな身長を気にしてまた一番後ろに下がった。
そしてその顔が、徐にこちら側を向いた。
「!」
その女子生徒は顔を少し赤く染めて、ブレザーの袖からのぞく長い指先で短めのスカートの裾をぎゅっと握っていた。
その瞬間、大林たいがは人生で初めての一目惚れを経験した。
そしてその後、結局同じクラスにはなれなかったが、
「わたし、自分よりも小さすぎる男子と付き合うのはちょっと…恋愛感情より男子に申し訳ない気持ちが勝ってしまうというか…」
「めいこー、そんなこと言ってたら恋愛できないよ。」
「だ、だよね~。」
という会話を廊下ですれ違いざまに聞いていた悪魔は、いきなり告白すると彼女が逃げそうだと判断し、計画的に彼女が自分を男として意識するようになるにはどうしたらいいだろうと舌なめずりをしたのだった。
悪魔が計画を実行するまで、あと一年。
fin
ここまで読んでくださり本当にありがとうございました。
ちなみに余談ですが、鷲尾くんは寸止め蹴りされてめいこのことが気になるようになります。
こちらの小説は今後漫画にするつもりなので、その辺をもう少し分かりやすく描けたらなと思います。
その際はtwitterや自サイトに漫画投稿しようと思いますので、よろしければフォローよろしくお願いします。
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