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スライムの抗議の助言

作者: 零位雫記

 

魔王に意見するため、勇敢な一匹のスライムがよいしょよいしょと長時間かけて魔王の住む魔城までやってきました。


「なんだ、貴様? スライムであるおまえがなぜこの魔王さまの居城にいるのだ?」


魔城の門番がスライムを見つけると尋ねました。


「そのことです。そのことについて魔王さまにお話しがあってここまできました。どうか魔王さまにお目通りをお願いしたいのです」


「そのこととはどういうことなのだ? なぜ魔王さまに会いたいのだ?」


「はい、ご説明します。今、門番さまは、わたくしがここにいることに不審を抱かれ、なぜスライムであるおまえが魔城にいると尋ねられましたね?」


「そうだ」


「わたくしたちスライムは、この魔軍の本拠地である魔城から遠く離れた地で、人間から勇者と呼ばれる存在ともっとも多く遭遇し戦っています。そこでわれらスライムたちは、毎日毎日勇者にボコボコ倒されまくっています。わたしたちでは勇者の一行は倒せません。束になってむかっていっても勝てません。わたしたちの力では勝てないのです。わたしは日々、自分の仲間が多数倒されていくのを見たり聞いたりしてもう堪えられなくなり、わたしがスライム族の代表として魔王さまに現状の報告及び打開策についてご相談したくここまでやってまいったのです。どうか、魔王さまにお目通りがかなうようお取次ぎをお願いしたいのですが」


「むむ」


門番は、スライムの熱のこもった発言に心を動かし、魔王にスライムの来訪を告げに行きました。

魔王は、すんなりスライムとの面会を許可しました。

スライムは、よいしょよいしょと時間をかけ、魔王がいる魔王の間までやってきました。

魔王と対面したスライムは門番に言ったことと同様のことを魔王に言いました。


「しかしそれは仕方ないことなのではないのか?」



スライムの発言を受け魔王はそう答えました。


「えッ!」


スライムは驚きの声を上げました。


「仕方がないこと、ですか?」


「そうだ。貴様らスライムがまずは勇者と戦い、いっぱい死んでいくということはもうすでに決まりきっていることで、貴様らスライム族は、そういう存在だからわたしは貴様らスライムを、旅立ち始めた勇者のもとに派遣しているのだ」


「そ、そんな。なぜそんな勇者側に有利なことをしているのですか?」


「勇者に有利不利は関係ない。そうなっているから、決まり切っていることだから仕方ないことなのだ」


「あ、の、質問なのですが、魔王さまの目的とはなんですか?」


「目的?」


「はい。つまり魔王さまは最終的にどういう世界になればよいと思われているのですか?」


「それはわかりきっていることではないか。この世をわれのものにしたい、征服したいと思っている」


「おそれながら言わせてもらいますが、では、魔王直々に勇者一行を討伐されればよいのでは。勇者一行は今、我々スライム族や他の戦闘能力が低いモンスターを練習台といっていいぐらいに剣技や魔法を繰り出しメキメキ実力をつけています。このままいけば奴らはどんどん力をつけ、魔王さまにとって驚異的な存在になるかもしれません」


「それは心配に及ばない。われには、魔王四天王である獣王レオックス、魔道王バーリン、不死騎士王トリュハン、屍術王ネンムという暗黒武技、暗黒魔法に長ける使い手がおるのだ。その実力者らを各地の要所要所に配置しておるのだ。勇者一行がどれだけ実力をつけようともその難関があるかぎり、この魔王がおるこの魔城まで勇者一行が辿り着くことは不可能ということなのだ、ははは」


高笑いする魔王を見てスライムは、自分の真意がまだ伝わっていないと感じました。だからふたたび魔王に直言しようと思いました。


「いえ、わたしはそのようなことを言っているのではありません。つわもののだれかをどこどこに配置しているから勇者たちはこの魔城まで辿り着くことはないということではなく、わたしは、魔王さまが直々に今すぐにでも勇者一行の目の前にむかいその強大な力を発揮して圧倒的にあいつらを倒し、そのあと、人間族を根絶やしにするべきと思っているのです。魔王さまの絶大な力をもってすれば、いともたやすく勇者たちを全滅させることができると思うのです。なぜ魔王さまは、やつらの動向をこの魔城で待っているのですか?」


「むむ」


ここにきて魔王の思考に変化がうまれました。


「たしかにそうだ。われがこの魔城の玉座に居座り、勇者一行の動きをただただ部下に聞き取り把握するまでもなく、われ自身があいつらのもとに赴きあいつらに鉄槌を下せばことはすむ。おお、そうだそうだ、なぜ今までそのことに気が付かなかったのだろう。スライムよ、よくぞわたしに忠言してくれた。よし、早速勇者らのもとにおもむきやつらを血祭りにあげ、そのついでに全人類を根絶やしにしてくれようぞ」


魔王は、勇者一行が現在よく出没する地域をスライムから聞くと、瞬間移動の魔法を使い、その地に身を移しました。

魔王はまず、近くにあった城を攻撃しました。

たまたまその城下に勇者一行が滞在しており、勇者たちは魔王に戦いを挑みました。

が、そのときの勇者たちの装備及び実力では、魔王には敵わず、一瞬のうちに全滅してしまいました。

魔王はついで近隣諸国の村や街を襲い、それから二年後には魔王は、惑星の全土を支配下に置くことできました。


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