表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
98/206

98 デイビッドの処遇



時間は3時になっていた。

もう早朝だ。

寝られなかったな。

デイビッドはしばらく下を向いていたかと思うと顔を上げて俺に言う。

「テツ君、よろしく頼めるかね」

俺は軽くうなずいた。

そして善は急げという諺がある。

俺はデイビッドに今から行こうと提案。

デイビッドも快く受け入れてくれた。

真夜中、いや早朝だが俺はまたクソウのところへ向かう。


早朝ということもあり、人通りは少なくなっている。

ほとんどいない。

静かな街を急ぎ足で歩き、到着。

俺のネームプレートを見せて中に入らせてもらう。

俺はいつも待機しているところへ向かい、部屋の前まで来た。

ノックしてみる。

コンコン・・

「はい」

中から山本の声がした。

時間は3時20分。

俺はドアを開けながら中へ入った。

「失礼します。 山本さん、まだ起きていたのですか?」

俺は驚いた。

「まぁね・・閣下は会議中だし・・そういう君もどうしたのかね?」

山本は笑顔で答えてくれる。

「えぇ、実は・・」

俺はそう言って、デイビッドを中に入れて山本に紹介した。

そして簡単にデイビッドの成り行きを説明。

・・・

・・

「なるほど・・・」

山本はそう言葉を出すと、黙って考え込んでいた。

俺は立ったまま待っていたが、デイビッドは勝手にソファに腰かける。

山本も気づいたのか、俺にも席についてくれと言ってまた考えていた。

・・・

「う~ん・・テツ君、難しい課題を持って来たね。 しかもこの時期に・・」

俺は黙って山本の顔を見る。

俺の視線に気づいたのか、山本が俺の方を見て言う。

「いやね、受け入れるのはいいのだよ。 だが、彼はアメリカから殺されそうになった人物だろ? その重要人物を日本が受け入れるとする。 日本が仮想敵国になる可能性がある。 だからと言って追放しても、彼はどこかの国に行くだろう。 そこでアメリカと敵対している国ならば大歓迎だ。 ただ、軍事利用されることは間違いないと思うがね」

山本がそこで一呼吸置き、続ける。

「デイビッド君、君は本当に母国に未練はないのかね?」

「山本さん、俺に家族はいない。 それに俺が帰ってもまた殺されるだけだね。 仮に俺の生存を確認すれば、それこそ間違いなく軍事兵器利用だよ。 上空2000メートルの航空機爆発でも無事な人型兵器。 考えただけでも先行き真っ暗だね。 その点、この国はあまり軍事利用には考えていないようだけど・・」

デイビッドが話す。

「デイビッド君・・我々も軍事利用を考えないわけではない」

山本の言葉に俺は席を立ちそうになった。

「いや、言葉が悪かったねテツ君・・すまない。 だがね、できないのだよ。 君たち帰還者は我々では制御できない。 その気になれば自国が破滅する。 本人の前で言うのもなんだが、友好的な関係を築ければ、後は自己防衛で自分の所属している場所くらいは守ってくれるだろう。 だからこそ友人として接するようにしているつもりだがね」

山本が肩をすくめながら言う。

俺は聞いていて思った。

この人って案外いい人なのかもしれない。

本人の前で、平気でズケズケという。

・・・

いや待て!

確か情報って、良い悪いをうまく混ぜて使うと絶大な効果があるって言ってなかったっけ?

そんな言葉が俺の頭に浮かんだが、俺の頭では山本などが考えているようなことはわからないだろう。

ただ、何かあった時には俺は自分を守る。


デイビッドが山本の言葉を聞いて少し考えていた。

・・・

「山本さん・・あんた、策士だね。 だが、その考えには賛成だね。 俺の母国もそうだが、大国はどうも兵器をして利用したがる癖がある。 あんたのように友人として傍に置いておくと、強力な番犬にはなるね。 それも絶対的な安全が保証された番犬だ」

デイビッドはそう言葉を出すと立ち上がり、山本の前に行って頭を下げる。

「山本さん、俺みたいな男を本当に受け入れてくれるのだろうか」

俺は驚いた。

アメリカ人には頭を下げる習慣はないはずだ。

それに下げても単なるパフォーマンス程度。

だが、デイビッドは本気で頭を下げている感じがする。

この男・・結構相手の文化を理解しているのだろうか?

見た目や言動では中身はわからないな。

とても教養があるのかもしれない。

俺はデイビッドを見る目を修正した。


「デイビッドさん、頭を上げてください。 我々もリスクと共に受け入れなければいけません。 それに少し変装と名前も変えてもらうかもしれません。 まぁ、私の一存では約束はできませんが、クソウ閣下に伺ってみてからの回答ということでいいですか?」

山本が答える。

デイビッドは微笑みながらうなずいていた。

後でわかったことだが、クソウは二つ返事で山本に丸投げしたそうだ。



最後までお読みいただき、ありがとうございます。


これからもよろしくお願いします。


よろしければ、ブックマークなど応援お願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ