35 これを、信じろというのか
俺は常盤のところまで戻ってきて常盤の服を脱がせる。
男の服を脱がせるのは気持ちのいいものじゃないな。
だが、まぁ仕方ない。
常盤の服を全部脱がせてパンツ一丁にする。
服を丁寧にたたんで武藤の机の上に置く。
弾丸の横に並べた。
後は・・うん!
常盤の身体に落書きをする。
えっと乳首を真っ黒の油性マジックで塗ってと・・。
キュッキュといろいろ落書きをした。
マジックも元の位置に戻し、俺は常盤の前に立つ。
これでいいだろう。
俺は集中力を解いた。
ァアン。
銃の発射音が響く。
ほんの一瞬後、みんな何が起きたのか状況が把握できていない。
!!
みんながまず俺のわき腹を見ていたようだ。
続いてさらに驚く。
「「ブーーーー!!」」
武藤が噴き出していた。
「ゴホ、ゴホ、ゴホ・・と、常盤、お前・・」
「キャーッ、常盤さん!」
女の人たちの悲鳴が同時に聞こえる。
常盤は俺のわき腹を見て驚いていた。
「あ、当たって・・いない?」
そしてゆっくりと武藤の方を向く。
!!
全員が噴き出していた。
「「ブー!! ブワァハッハッハッハ・・・」」
常盤はキョトンとしている。
また俺の方を見る。
俺も常盤の顔を見て可笑しさが込み上げてきた。
「プププ・・アッハッハッハッハ・・」
「な、なんだ?」
常盤にはわからない。
俺も自分で落書きをしたが、改めて動いてる常盤を見るとたまらない。
目の周りは真っ黒に塗りつぶしている。
パンダだ。
鼻と唇、耳も真っ黒。
乳首の周りに大きくヒマワリを描いている。
背中は鳩のような羽を描いている。
常盤はキョロキョロとしていた。
しばらく爆笑していたが、すぐに現実に引き戻されると静まり返る。
そして俺は武藤と目が合った。
「武藤さん、机の上をどうぞ」
俺は手を指し伸ばしてみる。
武藤は目線を机に移動して絶句する。
「・・・」
武藤の机の上に、きれいにたたまれた常盤の服と弾丸が置いてあった。
武藤は動かない。
常盤が俺の方を見ながら言う。
「さ、佐藤・・どこも怪我していないのか?」
「えぇ、どこも何ともありません」
俺は肩をすくめる。
「ど、どうやって避けたんだ?」
「避けてませんよ」
「な、何を言っている・・」
常盤がそこまで行った時だ。
武藤が声を出す。
「常盤、こっちへ来い」
常盤はゆっくりと武藤のところへ歩いて行く。
パンツ一丁でだ。
武藤のところの集まったみんなは、常盤の姿を見ても笑わなくなった。
「常盤・・これを見ろ」
武藤が机の上を指さす。
「え? この服って・・俺の・・え? どういうこと?」
常盤は慌てて事務所にかけてある姿見の鏡を見に行く。
・・・
「な、なんだこれぇ!!」
常盤の大きな声が聞こえた。
しかし、誰も笑わない。
常盤が武藤のところに帰って来て、全員の視線の先を見る。
!!
弾じゃないか。
なんで・・え、撃った後の弾だ。
は?
どういうことだ?
常盤は混乱している。
武藤を含め、全員が混乱しているだろう。
佐藤に向けて常盤が銃を撃ったはずだ。
撃った次の瞬間に、常盤がパンツ一枚になり、武藤の机の上に常盤の服がたたまれて置かれており、しかも弾丸が一発置いてあった。
何が起こったのかはわからない。
ただ、銃声がした瞬間に今の状態になっていた。
「武藤さん、これで理解できましたか?」
俺が声をかけてみる。
武藤が俺の方を向く。
「さ、佐藤さん・・これが魔法というやつですか?」
武藤の言葉が重い。
「まぁ、正確には魔法ではありませんが、そう思ってもらって構いません」
俺が答えると武藤は周りを見てうなずく。
「佐藤さん、状況を整理させてください」
俺はどうぞと手を差し出した。
「常盤があなたに銃を発砲した。 しかも30㎝くらいしか離れていない距離でだ」
「えぇそうですね」
「その発砲した瞬間に、常盤が服を脱がされて弾丸が俺の机の上に置かれていた。 しかも常盤の身体に落書きまでしている。 これをそのたった一瞬の時間に行ったということかね?」
「う~ん・・そうなりますね」
そう言われると、俺も自信はない。
「バカな!」
武藤の声が大きくなった。
「そんなバカなことが・・」
武藤はそこまで言葉にしたが、後は沈黙する。
目の前で起こった現象を信じろといっても無理だろう。
見た我々ですら信じられない。
だが事実だ。
佐藤は無傷どころか、弾丸を受け止めて常盤の服を脱がせる余裕すらある。
人間か?
武藤がいろいろと考えている所へ俺が言葉を被せる。
「武藤さん、こんなのは魔法でも何でもありませんよ。 ただね、本気で魔法を使ったら・・そうですね、この東京なんて消し飛ばせますよ。 間違いなくね」
俺はそう言いながら、掌の上に炎の塊を作って見せる。
「これが魔法ですよ」
!!
全員が俺の方を見る。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。
よろしければ、ブックマークなど応援お願いします。




