31 リカとケン
ここであまり考える時間を費やしてはダメだろう。
だが、すぐに答えを出せるはずもない。
俺は武藤を見ながら考えている。
「・・武藤さん、魔法ですよね? そんなおとぎ話が実在するのですか? それに現場近くで確かに俺はいましたが、何て言うのかな・・冷たいようですが、俺って人に興味がないのですよ」
最後の方は少し笑いながら話した。
武藤はジッと俺を見ている。
相手が黙っていると、どうしてこうも意味もないのにしゃべろうとするのか。
俺は余計に言葉を出す。
「興味ないというと語弊があるかもしれませんね。 ただ、自分さえよければいいような人間なんですよ・・ハハハ」
「ふむ・・そうですか。 わかりました。 今日のところは夜も遅いですし帰らせていただきます。 ですが佐藤さん、もし魔法なるものを使えるのならこの国ために是非お力をお貸しください。 よろしくお願いします」
武藤はそう言いながら立ち上がり、俺に名刺を渡した。
丁寧に俺に挨拶をして部屋を出て行く。
俺は武藤を見送るとベッドに横になり考えていた。
みんなの目線か・・そんなことから俺を割り出して来たのか?
暇なのか執念なのか、凄いな。
今の俺の返答でも、何か感じたのかもしれない。
バレるのは時間の問題か?
わからない。
だが、バレた時にどうするか。
国のために働くのか?
・・・
バカらしい。
国が何をしてくれるというのだ。
国民から搾取するだけじゃないか。
俺たちの安全を守っている?
違うな・・特権階級にいる存在を維持しているだけだ。
だが・・そういうところに潜り込む機会なのは間違いない。
リカさんの言っていたような連中を突き止める糸口になるかもしれない。
!!
俺はそこまで考えて、跳ね起きた。
ヤバい!
俺が調査を受けているということは、リカさんやケン君もバレているかもしれない。
彼らは高校生だ。
武藤のような連中にうまく丸め込まれる可能性がある。
俺はそう思ったが、どうすることもできない。
今さら俺が動いても、あんな連中だ。
疑わしい連中には同時に行動を起こしているだろう。
俺はまたベッドに横になった。
・・・
なるようになるか・・。
俺はそう思うと目を閉じた。
◇◇
<武藤サイド>
武藤はとある事務所の中にいた。
数人の男女がテーブルを囲んで話している。
時間は22時過ぎ。
「武藤さん、どうでしたか?」
「あぁ、おそらく彼はクロだな」
「おそらく? 武藤さんらしくないですね」
若いキリッと引き締まった男が答える。
「かなり警戒心の強い奴でな。 なかなか難しそうなんだ」
「ハハハ・・そうですか。 だが、本当に魔法使いなんているんでしょうか?」
「わからんな。 だが、事実を集めると不思議な現象だよ」
「えぇ、そうですね。 いきなり新型コロナウイルスがなくなったのですから。 それに海外からの旅行者が入って来ても広がらない。 その感染者も検査しても陰性ですからね。 わからないことだらけですよ」
武藤は微笑みながら聞いている。
「おっと、そうだ。 名古屋の方の学生はどうなった?」
「えぇ、中部地区の連中が武藤さんよりも早くに接触したはずです。 まだ報告は来ていませんが・・」
「そうか」
武藤はうなずくと椅子に座ってコーヒーを飲んでいた。
◇◇
<リカとケン>
リカとケンはそれぞれ家に帰って行くところだった。
別々になり、家の前に到着した時だ。
2~3人の男女に声をかけられる。
どちらも内閣情報調査室付の名札を提示して、リカとケンに接していた。
ケンは慎重に応対していたようだ。
リカの場合、スキルで相手の嘘がわかる。
話を聞いていると、テツの話が出てきた。
テツはすでに協力すると確約したと嘘をついて話してくる。
リカが地雷を踏んだようだ。
「そんな、テツさんが協力すると言うはずがありません。 あなた嘘ついてますね」
言葉にして言ってしまった。
そこからはなし崩しにリカに迫ってくる。
リカに耐えられるはずもない。
一気に魔法で周りの連中を吹き飛ばした。
全員が壁に激突し呻いている。
リカは驚いて急いで家の中に入って行った。
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