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30 内閣情報調査室?



ピンポーン。

突然、俺の部屋のベルが鳴った。

ん?

時間は21時前。

ドアのところまで近づいて、覗穴から外の様子を見る。

何やら手帳を広げて男の人が立っていた。

確か俺を尾行していた人のようだが、よくわからない。

俺は一応鎖をつけたまま少し扉を広げてみる。

「はーい」

ガチャ、ガチャ。

鎖が引き延ばされてドアが止まる。

その隙間から男がこちらを見ながら手帳を見せる。

警察手帳のようだ。

俺は疑いもせずに話を聞く。

「夜分にすみません。 佐藤鉄さんですよね? 私は武藤といいます。 少しお話を伺いたいのですが、よろしいですか?」

男が丁寧な口調で言う。

なるほど、まるで刑事のような感じだな。

俺は少し迷った。


「刑事さん・・ですか?」

扉の鎖は外さずに少し慌てたように返答する。

「はい、突然で申し訳ありません。 外で大きな声で話すことは苦手です。 よろしければ中に入れてもらえませんか?」

男は遠慮なく言う。

決して無礼な感じではない。

だが、こういったタイプは自分の考え以外信用しないんじゃないか?

そんな感じだ。

「先日も警察の方が来られて、いろいろとお話させてもらったのですが・・」

「えぇ、それは承知しております。 それでもう一度お話を伺って回っているところなのですよ」

俺の言葉に微笑みながら回答する。

俺は少し迷ったが、一度ドアを閉めて鎖の鍵を外す。

そして、ドアをゆっくり開けていった。


男は首からぶら下げているネームプレートを見せながら挨拶をしてくる。

ゆらゆらしてよく見えないな。

「佐藤さん、本当に夜分にすみません。 失礼します」

男は迷うことなく俺の部屋に入ってきた。

勝手に椅子に座る。

「佐藤さん、単刀直入に伺います。 あなた魔法使いですか?」

俺は一瞬、ほんの一瞬だが迷ってしまった。

相手が気づいたかどうかわからない。

だが、プロなら気づいたかもしれない。


「は? いったいどういうことでしょうか?」

その言葉を出すまでに少しのタイムラグが確実にあった。

全く知らない人が答えるような自然なラグじゃない。

また知っている人が確信的に返答するほどの間でもない。

微妙な、不自然なタイムラグを作ってしまった。

相手は気づいていないように話してくる。

「ハハハ・・これは唐突でしたな。 いやね、実は私どものところで不可思議な現象の調査をしているのですよ。 最近、人が燃えているといって警察が行ってみれば何もない。 だが、確実に燃えていたというのです。 燃えカスすら残っていなかったというのにですよ。 また、六本木の森ビルから落下した学生がいたのですが、無傷だったとか」

相手は俺の顔を見ているようで見ていない。

だが、確実に観察はしているだろう。

「えぇ、そんな話を聞きましたね」

俺が答えると相手が俺をチラっと見る。

「なるほど」

男は懐から写真を取り出していた。


写真をテーブルの上に置く。

置いて俺の反応を見ているようだ。

「佐藤さん、この2つの事件の時にこの近くを通っておられましたよね?」

写真を見ると、俺が映っているようだ。

はっきりとはわからないが、俺だろうと思える。

「えぇ、仕事でいたはずですが、それが何か?」

別に隠す必要もないし、こんなプロの連中が来ているんだ。

ほとんど確信的に聞いているのだろう。

それにこのタイミングで、この武藤という男は自分の身分を明かしてきた。

内閣情報調査室に所属するという。

刑事じゃなかったのか?

完全に俺に揺さぶりをかけているだろう。


「ふむ。 それでその奇妙な事件について何か知らないかと思いましてね」

この武藤という男、明らかに俺を観察しているな。

「武藤さん、ちょっと変じゃありませんか? そういったことは警察が調査するようなことでしょう。 それを国家機関が調査して、しかも個人に接触してくる。 誰でも警戒しますよ」

俺はそう答えてみる。

昔の俺なら決してこんなことは言えなかっただろう。

だが、今の俺は一応は聖戦士。

しかもこの世界ではほぼ無敵だ。

そんなことを感じてみると、何ら怖いものはない。

だからこそ切り返して聞いてみた。


「フフフ・・佐藤さん、しっかりしていますな」

武藤は笑いながら静かに答える。

そして続ける。

「えぇ、その通りですよ。 時間が惜しい。 私たちはあなたが魔法を使える人物ではないかと思っているのです。 警察は知らないでしょう」

俺の中ではかなり警戒している。

確か人を騙すのには、嘘と真実を織り交ぜて伝えるのがいいという。

この男は明らかにそういったタイプだろう。

俺は無言で武藤を見つめる。

「佐藤さん、私を完全に疑っていますね。 無理もありません。 ただね、日本以外の国では魔法使いらしき人物を国が認識して登用しているようなのです。 我々も出遅れたとはいえ、日本にもいるはずだと思いましてね」

武藤は俺の仕草を観察しながら話す。

「佐藤さん、まぁそう警戒なさらずに・・といっても無理ですな。 何故あなたなのかという理由をお話しましょう。 不思議な事件が起こった時に近くの防犯カメラなどの映像を解析していたのです。 みんな事件の方向を向いているのですよ。 だが、あなただけはそんなに気にしていない。 そりゃ無関心な人間はいますが、それでもあなただけは当たり前のような感じで行動しているのです。 妙な動きは全くありません。 言うなれば気になる程度なんです。 警察もそんな違和感には気づかないでしょう」

武藤は両手を組み合わせて膝の上に置く。

そして目線は俺をしっかりと見つめていた。



最後までお読みいただき、ありがとうございます。


これからもよろしくお願いします。


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